晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

硬水と軟水

2012年05月05日 21時47分26秒 | 化学のお話
カルシウムイオンやマグネシウムイオンを比較的多く含んだ水を硬水、あまり含まない水を軟水と言います。

硬水の中でも、これらのイオンが炭酸水素イオンと共存する形で含まれている場合には、煮沸することでそれらが炭酸塩として沈殿し、軟水に変えられることから一時硬水と呼ばれます。

一方で、塩化物イオンや硫酸イオンなどが共存している場合には、煮沸してもこれらの塩は沈殿せず除去できないことから、永久硬水と呼ばれます。

※なお、永久硬水を軟水に変える場合には、イオン交換樹脂を用います。


水の硬度の単位は国によって異なっています。

硬度の1度は、それぞれ、

・ドイツ:酸化カルシウムに換算して水100ml中に1mgが含まれるとき

・フランス:炭酸カルシウムに換算して水100ml中に1mgが含まれるとき

・イギリス:炭酸カルシウムに換算して水70ml中に1mgが含まれるとき

・日本とアメリカ:炭酸カルシウムに換算して水1L中に1mgが含まれるとき

というようにかなり異なっていますので、海外では注意が必要かもしれません。


硬水中では、セッケン(脂肪酸のアルカリ金属塩)とカルシウムイオンやマグネシウムイオンから不溶性の金属セッケンができるため、洗浄作用がかなり弱められます。

※その一方で合成洗剤は硬水中でも洗浄作用はあまり変わりません。


お茶や和風だしには軟水を用いる方が風味やうまみ成分が際立ちます。

逆にエスプレッソには硬水を用いると、まろやかな味になりますので試してみるとよいと思います。