■裁判所の和解案――原告の専任教員化
東京地裁への提訴は2016年11月1日であった。
第1回口頭弁論(2016年12月12日)が行われた際に、東京地裁
吉田徹裁判長が、次回は法廷ではなく、別室での協議(「弁論準備」)に
したいと提案した。しかし、8人から成る原告弁護団はこれを拒否した。
多数の支援者が傍聴にきているのに、別室での協議では、支援者の目に
見えなくなってしまうからである。
そのため、第2回目、第3回目、第4回目の口頭弁論が開かれた。
もちろん法廷においてである。多くの支援者が傍聴した。第4回目の
口頭弁論の際に、再び吉田徹裁判長は、次回は法廷で行う口頭弁論では
なく、別室で行う「弁論準備」にしたいと述べた。しかも、支援者の同席
を認める、との案を出したのである。そのため、原告弁護団は、裁判長の
提案を受け入れた。その後は、弁論準備が続いた。
2017年6月30日の「弁論準備」において、異例のことが起こった。
すなわち裁判長が、原告側に、「小林先生が、専門科目を多数、長期に
わたって担当してきたので、おかしいと思っています。小林先生の年齢、
定年のこともあり、時間をかけることもできないので、2018年4月の
専任化に向け、裁判所も被告の説得に努力します」と述べたのである。
何が「異例」なのかは、次の理由からである。すなわち、原告の小林は、
中央学院から解雇されたわけでもなく、また雇止めをされたわけでもない。
ただ、専任化を餌に、不当な低賃金で20年間も働かされたことを理由に、
労働契約法20条を援用して、過去3年分の賃金差額等を損害として、
賠償するよう求めたにすぎない。
ところが裁判所は、単に金銭額での双方の合意―和解―をはかるのではなく、
原告が裁判所に求めてはいない専任化を、解決の唯一の方法だと理解し、
専任化での問題の解決に乗り出したのである。
さらに裁判長は、原告の労働組合と被告・学校法人中央学院との小林
専任化の団体交渉を、裁判官の立ち合いのもとで、裁判所内で行っても
よいと述べた。通常、労働委員会が立ち会って労使に団交させる「立会
団交」を、裁判所内で行う便宜を与えてもいい、という異例の提案をした
のである。しかし、これは実現しなかった。
■柴谷晃・法人顧問弁護士の情報操作
被告・学校法人の顧問弁護士は柴谷晃だ。この弁護士は、駒澤大学の
法科大学院の特任教授をしており、東京駅八重洲口近くに事務所を構え
ている。
この弁護士は、当組合との団体交渉に2012年頃から出席しており、
これまで数々の暴言・妄言、不当労働行為を行っている。
裁判所に提出した被告準備書面においても、不当労働行為を行った。
後日報告するが、原告弁護団の警告によって、これは撤回に追い込まれた。
当組合は、現在、この弁護士の暴言・妄言集を作成中であり、音声付き
で公開する予定である。
さて、先の2016年6月30日の「弁論準備」のあと、陪席裁判官が、
小林専任化を実現するために、この柴谷弁護士に電話を架け、小林を
社会システム研究所の専任教員にするよう提案した。もちろん、この提案
のあて先は、柴谷個人ではなく、被告である学校法人中央学院である。
ところが、なんとこの柴谷弁護士は、裁判所からの架電と小林専任化の
提案を、法人にまったく知らせていなかった。
情報操作をしているのである。
2017年7月11日の団体交渉であった。当組合が、陪席裁判官から
の柴谷弁護士への架電と法人に対しての小林専任化の提案の事実を指摘する
と、柴谷はあわてふためき、組合にあたりちらした。
出席していた法人の寺島常務理事は、そのことは柴谷弁護士からは知ら
されていない、と明言した。
情報操作が暴露された瞬間であった。訴訟について一任されているためか、
この弁護士、こんなことまでするのだ。
この弁護士、問題を円満に解決しようなどという気はさらさらない。無類
の格闘技好きだそうで、訴訟を自分の趣味である格闘を行う場と心得ている
ようで、そのため依頼者に簡単には「和解」をすすめないとのことだ。
自分の趣味を優先することが、すなわち和解ではなく判決で決着する
ことが、結局は依頼者の利益になるんだとか。
確かに、彼は我々との団体交渉でも小林訴訟でも、まさに格闘技をやって
いるかのようだ。反則(=不当労働行為)を平気で繰り出し、別の反則
(=暴言・妄言)も平気だ。法律家とは思えない珍論奇論も、恥もなく繰り
出している。被告準備書面で書き散らす主張の多くも、この珍論奇論の類で
あり、知恵を使っているとは思えない。いや、そもそも知恵が・・・・・。
<続く>