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サワノのお気に入りだけで構成するブログ

木工家ウィーク 記念フォーラム

2008-06-11 | 木工・家具(全般)
木工家ウィークの期間中に行われた記念フォーラム
長大作さん、諸山正則さんをゲストに迎えた講演会に参加しました。



私が長大作さんの講演を初めて聞いたのは平成9年の夏。
当時の資料を見たら もう11年も前になる。
OZONEで開催されていた日本を代表するデザイナー
長大作さん、渡辺力さん、柳宗理さんによるそれぞれの新作椅子シリーズ展の
トークセッションに参加したのがそれ。
この新作椅子シリーズ展は
私がまだ美大の学生だった19の時
ある展示会がキッカケで関わる様になった家具屋の社長がプロデュースする企画展で
この頃聞いていた日本のモダンデザイン青春期は
デザイン飽和状態の時代をこれから駆け出そうとしている段階の私にとって
どこか羨ましいくらいの情熱を持っていた。
あの頃、三人並ぶと「まだまだ若手」のイメージだった長さんが 
今回の講演会では「大御所」だった。


写真:私と家具デザインとの出会いになった展示会(1995年 BC工房主催)。
   この展示会のセミナーにも長さんのお名前が。



坂倉準三は1930年代に渡仏してコルビジェの事務所に学んだ際
シャルロット・ペリアンと親交があった。
1940年の彼女の来日は坂倉準三の尽力が大きいとされている。
その後一年間で意欲的に日本中をまわり
「伝統・選択・創造(サブタイトルは「日本芸術との接触」)」展を開催する。
ここらへん→「リデザイン」 「モダニスト」



今回のフォーラムで何度か話にあがった
坂倉事務所で若き日の長さんが最初に関わる
竹材の籠をひっくり返して座と背にした低座椅子(1949年)に
私はシャルロット・ペリアンの存在を感じずにはいられなかった。
「伝統・選択・創造」展で彼女もまた竹材を用いてデザインをしている。
この二つの竹材の椅子が日本のモダンデザインとして成功したか否かではなく
単なるカタチにとらわれない 日本オリジナルを追求していくための
「創造は伝統の一部を形成する」というデザインの精神を継承する様に思えた。
なお、1960年に発表される長さんのベストセラー「低座椅子」は
この竹籠の椅子の流れをくんでいる。



また何度も話の中に登場した松村勝男さんのガマ椅子は↓
会場では写真がなかったのでココに来てくれる人にだけでも見てほしい。
お話にあった様に 戦後日本のローコストチェア代表。
これがまさに「構成力の強い品格ある直線的デザイン」

写真:「日本の木の椅子展」ポスターより

松村さんが手掛けた美しい家具を知るなら長大作さん監修の「松村勝男の家具」。
この本の見所は家具の写真だけではなく
ご本人による15Pに及ぶ「デザイナー巣立ち物語」で
今を生きる私達が誰でも手に取れる貴重な証言のひとつとなっている。
わずか17歳でシャルロット・ペリアンのデザインに衝撃を受けて
吉村順三さんと出会い、渡辺力さんと出会い、Qデザイナーズを立ち上げる。
建築家、インテリアデザイナーとあわせて
同時期の油絵画家やグラフィックデザイナーの名前もチラホラ。
この頃を知るには必読です。



この様な貴重な機会をくださった木工家の方々、
誘って頂いた工房悠の杉山さんに感謝デス。







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