或る双子座の日々

這是一個雙子座的生活日記。
つれづれなるままに

産院での食事 おまけ

2008年06月09日 | ハンガリー(妊娠・出産)
私の場合、出産で日曜の夜に入院し、土曜の午前に退院しました。
その間に、食事メニューも一通り把握してしまい、自分好みのもの
で注文が一定するようになってきました。

そのときから、思い違いかと思いましたが注文したのと違うものが
ドカドカとやってくることがありました。

私は、ハンガリー人が大好きなサラミが苦手です。
ハムは何とか食べますが、市販のジェムレ(丸いパン)にスライス
チーズとレタスなどが入ったものが一番口に合いました。

テルキ病院では、それだけ専門スタッフを用意している証でもある
のですが食事においては専属の栄養士さんがいらっしゃいました。

入院してすぐにご挨拶しましたし、ときどき部屋を回って食事の
ほうはいかがですか?と聞かれることもあったように思います。


退院を明日か明後日に控えた頃には、出産以来、慣れない授乳・
おむつがえ、babyの予防接種や生活リズムの記録をとるなど忙しく
退院後は夫の出勤後ぜんぶを一人でこなせるかなど不安で一杯
でした。

看護士さんやベビーケア専門スタッフさんの説明には辞書を片手に
ノートをとり、ケアの仕方で分からないことは質問事項を纏めて
おくなど、神経質に過ごしていました。

授乳が軌道に乗ると、じっとしていてもどんどん噴出してきて
授乳パッドを使用していても気が付くと上着に染みていて
日に何度も着替えなければなりませんでした。

それだけ多量の水分が出て行くわけで、飲んでも飲んでも喉は渇き、
体温が高く頭に血が上っているのか暑くてたまらない。空腹感も
強く、出産前後に見舞われるという精神的な不安定も、私とて
例外ではありませんでした。


給仕さんが食事を持ってくると、いつものようにテーブルに
置いてくれたのですが例によってオーダーと違う苦手なサラミや
ハムが見えた途端いらないといって泣いてしまいました。

我ながら子供じみていますが、いつも律儀にハンガリー語で
ご挨拶をし笑顔でお礼を述べるアジア人が突然泣き出した
インパクトは大きかったようで、すぐに栄養士さんが部屋を
訪ねてきました。

なぜオーダーしたのと違うものが出てくるのか?
チーズが好きなのにサラミやハムばかり出てくると訴えました。

すると彼女曰く、「あなたは出産後で栄養価の高いものが
必要です。あなたが毎日出してくるオーダーでは量も種類も少なすぎて
栄養が足りません。ですから、私のほうで相応しいものを幾つか
加えたり差し替えたりしたのです」と胸を張っています。

なんと、親切心、それも私の身の上を思ってのことでした。
しかし、このときばかりは精神的にも参っていたので
思っていることを率直に伝えるよりありませんでした。

「私は日本人です。お米が好きです。でも食べられないので
パスタやサンドイッチを頼んでいます。塩辛い食事は苦手です。
肉類のなかではサラミが特に脂っこくて苦手です。チーズが
好きなので、チーズ系のものをオーダーしています。」と。

泣きながら「いま、私が選べるのはチキンスープとチーズ系の
サンドイッチくらいで他には食べたいものがない」と訴えると
親切でしてきたことだけにショックだったようで、しばらく
話をすると「とにかく食べなければ。お好きなものを食べなさい」
という結論になりました。

いまとなっては栄養士さんに気の毒なことをしたと思います。
ですが、あのときは私も必死でしたし、やっぱり堪忍ね、という
キモチで振り返る出来事です。



注:
食事の好みには個人差があって、この先入院する日本女性が
皆さん私のようにしょげかえるとは思いません。
あくまでこんなことが在りました、程度に受け止めてください。
病院やハンガリーを中傷するものではありません。


追記:
毎日見舞いに来てくれる夫に頼んで、夏の買い物に使うような
プラスチック製の保冷ボックスを1つ部屋に持ち込んでいました。
そこへ、フルーツジュースやトマトジュースを買って入れて
おいてもらい、食事時間以外の喉の渇きや空腹を慰めていました。

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