7.本論に入る前に,ハーディの基本について補足しておきます.
7a.(3a.) m5枚丁度のFGも,6枚同様前稿(A)3が該当.
7b.(3b.)このビッドは多くの著者(確か林氏も)はM4枚保証にしているが,ハーディはそうでない.
7c.(4c.)ハーディは,スラムを誘う時の,各種TRFとmMの枚数の組み合わせについて,M5枚m4枚の場合にJTBから入る以外は明記せず,「ビッドしてみれば相手に伝わる.」という趣旨のことを述べているが,その精神に基づくならば,ほとんど一本道のmスラム誘いは,4スーツTRFの後RKCやCTRLビッドに入るべきであろう.
7d. また(B)6の付記のようにm5-4の手を捨てると言っても,それは4枚の方を無視して5枚の単独スーツとして扱うという意味です.
このようにmSTAYでは扱えるが,4スーツTRFで扱えない4枚mは,6の繰り返しになりますが,xx(45)とxx44の2つの場合に限られることが確認されます.(xはMの枚数で3以下)
(ここまでは準備的な議論でした.)
8.そこでmSTAYのメリットを追求するならば,確かにxx45とxx54の識別が,最も特長的な眼目になります.(b見よ)
8a.mSTAYをビッドした途端にm4-4以上は保証されているのだから,それについては特別な識別方法は不要.
8b.STAYと違い,mの片方だけが4枚で他方が3枚以下の場合を無視できるのは,それが3343に限られるから.(4333)の場合はたとえ9枚フィットが有ってもラフのメリットが無いから切り札コントラクトは考えないという習慣を継承するもの.
ゲームはともかくスラムを追求して居る場面だと,(4333)の手ではラフこそ期待できないにせよ,ウィナーが期待できるという意味では頭から5-4フィットを無視してよいかどうか疑問の余地無しとしません.この問題はMP採点ではもちろんとして,IMP採点でもmとNTでは2 IMP差が生じることの陰に隠れて居るのでしょうが,フランスの連盟の採点ではMPでさえも同点にするということなので,そのほうがブリッジ・ビッディングの数理的な知的レベルが上がるかもしれません.
というわけで,マスター様が提案されているmSTAYをビッドしたレスポンダーのリビッドの約束の基本線は,
mスラムに重心を置く立場からは至当だと考えられます.
9. これをそのままハーディのスタンダード篇(訳本有り)のシステムに当てはめたときに何が起こるか?
9a.m6枚以上でのNFビッド(A1)は失われる.
9b.在来のmSTAY採用者が14 HCP未満で使っていたかもしれないシーケンス,例えば4-4フィットと13 HCPで5台mゲームに行くとか,8 HCPで3台mパートスコアで止まるとかは失われる.ただし前者は(ナポリタン)CTRLやルーザー数で概ね妥当な線に落ち着くという考え方であろうし,後者はもともと基本構想で排除したもの.
ということは,要するに弱い手で3台mのコントラクトはやらない.m6-3フィットでレスポンダーが高い絵札1枚のときの3NTが見つからないという辺りでしょうか?
10.初中級教育の見地からだと,こういうところに新しく厳密な約束を導入することは,ただでさえ覚えることが一杯有る現代ビッディング システムの学習上の負担を増すことになる.
10a.アバウトにして置くよりもきちんと約束してもらった方が良いという学習者にとっては歓迎されるが,それはどちらかといえば少人数の優秀者では無いだろうか?
ただしマスター様の基本は
(Mの)STAYをmでほぼなぞっている(これがアイディアの根幹に有ると見られる.)ので,覚える気になればむしろ一様性,一貫性が増すだけにより好ましいかもしれない.
10b.覚えることを増やすなら,システム全体の中にもっと優先度の高いことは無いのだろうか?
10c. ここまではつくばSciのように4スーツTRFを採用している一つの簡明なシステムの目から見て来ましたが,見方を変えて,(林氏を含む)ハイブリッドで複雑な在来システムと較べた場合には,マスター様のアイディアは
mSTAYのスラム向き単独使用という割り切り方で,システムを大幅に簡明化できるものといえます.
遅かれ早かれ1NTに対してmSTAYを導入するという前提では,教育段階(ないしカリキュラム)に応じては相当に効果が上がり有意義であるかもしれません.
I understand what you said and improve the mSS easier for beginners by eliminating 3H,3S.
1NT 2S
3C 4C(C fit,Gerber)
3D,3H,3S(C fit and cuebid)
3NT(14,15HCP)
1NT 2S
3D 4C(D fit,Gerber)
3H,3S(D fit and cuebid)
3NT(14,15HCP)
1NT 2S
2NT 3C(C5D4)
3D(D5C4 or D5C5)
3H,3S(no use)
3NT(D4C4.14,15HCP)
4C(Gerber)
4NT(D4C4.16,17HCP)
1NT 2S
2NT 3D(D5)
3NT 4C(D5C5)
先日、これをレッスンしましたが、生徒さんは「難しいです~」でした。教えるのも難し~。
なお、レスポンダーの3NTは省いても良いのですが、オープナーがミニマムならスラムは無いだろう、でオープナーに下駄を預けるビッドとして残してみました。