
木嶋真優 ヴァイオリン・リサイタル
2018年2月2日(金)19:00〜 紀尾井ホール S席 1階 1列 5番 4,500円(会員割引)
ヴァイオリン:木嶋真優
ピアノ:柳谷良輔
【曲目】
ヴィターリ:シャコンヌ ト短調
バルトーク:ルーマニア民族舞曲
平井真美子:マゼンタ・スタリオン(世界初演)
スメタナ:「わが故郷より」より 第2番 ト短調
ラフマニノフ:ロマンス ニ短調
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ短調 作品80
《アンコール》
パラディス:シシリエンヌ
ブラームス:「F.A.E.ソナタ」より第3楽章「スケルツォ」
グラズノフ:瞑想曲 作品32
久し振りに木嶋真優さんのヴァイオリン・リサイタルを聴く。リサイタルを聴くのは、2012年3月13日の紀尾井ホール以来となる。その頃はまだ色々とコンクールに挑戦している時期で、リサイタルでの演奏も聴衆向けというよりはコンクールの審査員向けの演奏をしているように思えたのであった。木嶋さんは、一昨年2016年の「第1回 上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール」で優勝したことがひとつの区切りとなったようで、今回のリサイタルでは大きく変貌を遂げている演奏を聴かせてくれた。
ひとつには、かつて持っていた攻撃性のような要素が感じられなくなったことが上げられる。もちろん、タイプとしては押し出しの強い方ではあるが、押す一方だけでなく抑制的な部分との対比を鮮やかに描き出すことで、表現の幅というよりも奥行きが増したともいえる。音に質感がたっぷりと乗っている。濃厚な色彩感、それでいて透明感もあり、極めて美しい音質になっている。音楽的にとても豊かなものでと感じた。
もう一つは演奏の自由度が増したことだろう。表現力の奥行きが増したと書いたが、それには決められた殻を打ち破ったという意味もある。楽曲の造型が、誰もが演奏しているようなスタンダードなカタチではなく、木嶋さんなりの解釈に奔放さが加わり、個性が音楽に反映されるようになっていたように思う。
木嶋さんの個性は軟弱な要素が微塵もなく、決然としていて力強い。言いたいことがハッキリしていて、その表現には曖昧さがなく、聴く者の心にダイレクトに伝わる。濃厚な質感、圧倒的な力感を示す。とにかく存在感抜群の演奏であった。多くの人の心を揺さぶる演奏であることは間違いなく、素晴らしい演奏であったと思うが、後は聴く者の好み次第というところだろう。
どの曲も素晴らしかったが、とくに印象的だったのは本日が世界初演となった平井真美子さんの作曲による「マゼンタ・スタリオン」という曲で、濃厚なのにノリが良く、躍動的で推進力もある。カッコイイ曲をとてもカッコイイ演奏をしていた。
ひとつ付け加えておくと、本日共演したピアニストの柳谷良輔さんは、アメリカで活躍している人で、S&R財団の「ワシントン賞」を受賞している。2016年1月に「S&R財団 15周年記念 ワシントン賞受賞者コンサート」で一度聴いたことがあるだけだが、彼のピアノはかなり上手い。伴奏の上手さではなく、濃厚で雄弁な表現力を発揮してヴァイオリニストと対等に音楽を作っていく。彼もまた抜群の存在感を示していた。
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2018年2月2日(金)19:00〜 紀尾井ホール S席 1階 1列 5番 4,500円(会員割引)
ヴァイオリン:木嶋真優
ピアノ:柳谷良輔
【曲目】
ヴィターリ:シャコンヌ ト短調
バルトーク:ルーマニア民族舞曲
平井真美子:マゼンタ・スタリオン(世界初演)
スメタナ:「わが故郷より」より 第2番 ト短調
ラフマニノフ:ロマンス ニ短調
プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ短調 作品80
《アンコール》
パラディス:シシリエンヌ
ブラームス:「F.A.E.ソナタ」より第3楽章「スケルツォ」
グラズノフ:瞑想曲 作品32
久し振りに木嶋真優さんのヴァイオリン・リサイタルを聴く。リサイタルを聴くのは、2012年3月13日の紀尾井ホール以来となる。その頃はまだ色々とコンクールに挑戦している時期で、リサイタルでの演奏も聴衆向けというよりはコンクールの審査員向けの演奏をしているように思えたのであった。木嶋さんは、一昨年2016年の「第1回 上海アイザック・スターン国際ヴァイオリン・コンクール」で優勝したことがひとつの区切りとなったようで、今回のリサイタルでは大きく変貌を遂げている演奏を聴かせてくれた。
ひとつには、かつて持っていた攻撃性のような要素が感じられなくなったことが上げられる。もちろん、タイプとしては押し出しの強い方ではあるが、押す一方だけでなく抑制的な部分との対比を鮮やかに描き出すことで、表現の幅というよりも奥行きが増したともいえる。音に質感がたっぷりと乗っている。濃厚な色彩感、それでいて透明感もあり、極めて美しい音質になっている。音楽的にとても豊かなものでと感じた。
もう一つは演奏の自由度が増したことだろう。表現力の奥行きが増したと書いたが、それには決められた殻を打ち破ったという意味もある。楽曲の造型が、誰もが演奏しているようなスタンダードなカタチではなく、木嶋さんなりの解釈に奔放さが加わり、個性が音楽に反映されるようになっていたように思う。
木嶋さんの個性は軟弱な要素が微塵もなく、決然としていて力強い。言いたいことがハッキリしていて、その表現には曖昧さがなく、聴く者の心にダイレクトに伝わる。濃厚な質感、圧倒的な力感を示す。とにかく存在感抜群の演奏であった。多くの人の心を揺さぶる演奏であることは間違いなく、素晴らしい演奏であったと思うが、後は聴く者の好み次第というところだろう。
どの曲も素晴らしかったが、とくに印象的だったのは本日が世界初演となった平井真美子さんの作曲による「マゼンタ・スタリオン」という曲で、濃厚なのにノリが良く、躍動的で推進力もある。カッコイイ曲をとてもカッコイイ演奏をしていた。
ひとつ付け加えておくと、本日共演したピアニストの柳谷良輔さんは、アメリカで活躍している人で、S&R財団の「ワシントン賞」を受賞している。2016年1月に「S&R財団 15周年記念 ワシントン賞受賞者コンサート」で一度聴いたことがあるだけだが、彼のピアノはかなり上手い。伴奏の上手さではなく、濃厚で雄弁な表現力を発揮してヴァイオリニストと対等に音楽を作っていく。彼もまた抜群の存在感を示していた。

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