サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

死と新生/完結篇

2008年05月18日 | 他の作品いろいろ
愛車シティを駆けて、愛知県の豊橋市へ参じました。
「DEATH & REBIRTH」を、ヨルク・シュマイサーさんにお渡しするためです。
豊橋市内のギャラリーサンセリテ「ヨルク・シュマイサー展」
http://www.sincerite.info

きのうがオープニングでした。
シュマイサーさんは来週には日本を発たれるとのことで、ぎりぎりセーフ!

で…GO!

とは言え、車は無謀だったか。
何せメーター読み往復710kmしかも高速走行、二十歳を越える我が愛車シティには正直、酷だったか、東名浜松あたりで悲鳴をあげました。
パーキングエリアで一息入れるも、コーホー コーホーというダースベーダー状態からの回復は見込めず…心配です。 

それでも正午過ぎには到着したのですが、シュマイサーさんは不在。
オーナーさん曰く、オープニングパーティーが始まる18時頃まで、取材やら何やらで予定がいっぱいとのこと。

…そうですかぁ。
じゃ、僕の用件はその後に、ですね。

時間をおいて出直すことにし、豊田市まで足を運びました。
豊田市美術館
「ドイツ・ポスター1890-1933」展
なるほど、ドイツ繋がりってことですね!

…違います。
目的は、常設特別展の「綯交 -remix-」
http://www.museum.toyota.aichi.jp/exhibition/2008/temporary/000004_st_2.html
フジイフランソワ作品展、なのでした。
まとまったカタチで作品を見る機会がなかっただけに、これは見ておきたかったから。

面白かったです。
いわゆる「和」テイストの現代的な解釈、そしてその有り様、展示形態も含めて、お見事。
イラストレーターとしての側面があるためなのか、画面処理も巧み。印刷されたときに最も作品が際立つように計算されている!
…と思う。
それ程に実物と印刷物、またはモニター上で見たものの印象が違うの。
変な話だが、同じ絵がそれぞれに別の印象でもって、それでもしっかりと成立している。
作品と対面した時に受ける印象、そしてそこから想起させられる脳内展開図が実物と印刷物で違ってくるような、妙な体験をしました。
図録等で見ると、随分とソフィスティケイトされた「技」を見る側が勝手に読み取ってしまうみたいで。
モチーフがモチーフだけに、知識があればある程キレ~イに、しかも心地よく、騙されちゃう。
実物を見ると、クククッと笑っちゃいますよ。単純で軽快で、洒落が効いてる。「生っぽさ」もしっかりとあって魅力的。
文字なんかグリグリの鉛筆書きなんだよ。書き直したりした消し跡までもが愛おしく思えたりするんだから不思議です。

何より展示そのものがイイ。わざと仰々しくしてやがる!
ニクい演出。キュレーターは共犯者である、という。美術館斯くあるべき、のカタチ。

…と、まあ長居してしまい、気付けば17時をまわってて。
ヤバい!スライドトークも予定されてる(!)オープニングパーティーに間に合わなくなっちゃう。
急ぎ、豊橋へ戻ります。

18時きっかり。滑り込み、セーフ!
扉を開けると、そこにはシュマイサーさんが(ことの外スムーズに)
「ドウデス?出来マシタカ?」
オー、しっかり覚えていてくれたんですね。ありがたい。
「はい!お持ちしました。是非見ていただきたく…」
会場内はパーティーの準備やらで何やら慌ただしいご様子。
「ソレデワ、外デ見マショウカ?」
「お願いします!」

ひとつひとつ、細部まで、その意図も含めて質問なされます。
「コノ人ハ誰デスカ?」
(ギクッ!)一場ですが…

一場が居るところには本来「南ドイツの人アルブレヒト・デューラーが制作した」という表記が入る重要な場所。
デューラーの版画作品でこのような書き込みが入るのは異例で、通常はA.D.のモノグラムと制作年のみが表記されました。
このことからも、この作品への思い入れが伝わろうというもの。
だとすれば、そこに描かれるは、この作品における重要人物であることに疑いようもないわけで。
ちょっと話が分かり難くなってしまうのですが、それも厭わず、一場について熱く語ってしまいました。
どれだけ伝わっているかは甚だ疑問ですけれど…
要はこれって、日常的な生活の柄が何の捻りもなく作品に表れてる。
「甘ちゃんでもいい、たくましく育ってほしい」そのように自分が言ってしまおう。
大自然、闇、焚き火する親子、そうだ。親父の前で、裸の自分を露呈する子供の心境だったわけです。


熱いアツい、ヘコタレシティのボンネット上でサインを頂きました。

 
シュマイサー先生、ありがとうございました!
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