「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

奈良の旅 1日目

2006年12月10日 | 旅の足あと

 
本館 正面入口 重要文化財

 小倉を10時に出た“のぞみ”を京都で乗り換え、近鉄奈良駅に降り立つと、古都は細い雨でした。


 正倉院展は11月に終了し、応挙と芦雪の特別展も3日で終わっているので、奈良国立博物館の“仏教美術の名品展”を拝観、法隆寺金堂の飛鳥仏、多聞天立像(右 画像)や、多彩な仏像に会ってきました。
 約束の5時までに、2時間あるので、大和文華館にタクシーを走らせました。ここでは、“18世紀の日本絵画―屏風絵を中心にー“が企画展示されていました。 もしやと期待した松浦屏風は、今回も展示されていなくて、九国博以来の再会は叶いませんでした。
 始興、蕪村、応挙などの個性が一堂に、華を屏風絵に展開していました。


 雨の平日の閉館に近い時間とあって、私たち二人の他には誰もなく、存分に観賞することができました。
思いがけず、光琳の扇面貼交手筥がケースに入って正面で出迎えてくれました。金箔の地紙に扇面画と、団扇絵が琳派の鮮やかな色彩で挨拶してくれました。     
 始興の浜松図屏風、応挙の鱈の絵と、鳥獣戯画を髣髴させる、殿様蛙行列図の6曲一双の屏風絵が二人とも気に入って、表装が粋、筆の勢いがと、勝手な評論を遠慮なく展開しても、人の迷惑になることもなく、閉館までねばって、一味違った観賞風景でした。

 暮れなずむ蛙股池を見下ろすロケーションには紅葉がまだ彩りを残し、静かな別世界を構築していました。

尾形光琳 扇面貼交手筥
扇面貼交手筥 懸子表
殿様蛙行列図 6曲一双
同 右
丸山応挙 鱈
文華館より望む蛙股池