汚れてる?
いや違うな。
乱れてる?
それも違う。
なんていうのだろう?
彼はまた、言葉の魔法をかけようとしている。
熟れている! それだ!
熟して、柔らかくなって、
香ってくる。
そんな感じだ。
私は、汚れてないと、彼は感じてくれていた。
だから、表現を真剣に考えてくれた。
良い響きだと思った。
果実が一番おいしい時。
まさにそんな時を私は彼と過ごしている。
いいえ。
正確には、時間を共有しているだけ。
この距離感は、とても心地いい。
なかなか会える距離ではない。
でも、無理したら、会える。
かもしれない。
私は、希望を持てる。
逆に、
電話で繋がる時でさえ、緊張感が凄いのに、
もし、会ったときに、心が通じ合うようになれるのか?
それが不安でもある。
私はきっと、ここの自分とは違うだろうから。
訓練?
日頃から、訓練が必要なのね。
わかりました。
まだ会ったことのない彼の為に、
その日に備える訓練をしていこうという気になった。
電波が途切れながらの通話だった。
彼は、いったいどこにいるのか?
空を見上げたら、今日も暑くなりそうな空だった。
同じ空の下で、今日も生きていくんだと思った。