仕事の道中で、会おうなんて、そもそも、無理な話。
わかってたけど…期待もしてた。
その為に、
新しい下着を買った。
お土産だって、用意した。
自分の体をケアして、
彼に失礼のないように、少しでも良い状態にしようとした。
それが、プツンと切れた時、
私は、スマホを握ったまま、
絨毯の上に転がった。
夕べ、準備を終えた彼からのLINEで、
会うのが厳しいと聞かされた瞬間だった。
私は、今日、ずっと家にいた。
出かける気力もなく、
いつもと同じ一日を送った。
こんなはずじゃあ…なかったんだけどな。
でも、嘘を貫き通さずに済んだ。
嘘つく為に、
自分の娘も材料にしようとした。
私が、彼と結ばれるには、
相当なエネルギーがいる。
それは、
心の裏切り。
絶対バレないように、
あの手この手をつくす。
不自然にならないように、
前もってストーリーをちらつかせる。
全ては今日のその為に。
絨毯の上に転がりながら、
ある意味、ホッとしていた。
こんなことでは、
彼には、まだ会えない。
彼と、繋がることなんて、
まだ出来ない。
それでも、今日、同じ空を見たかも知れなかった。
そう思うだけで、しあわせだった。