You got a movie

自分が見た映画をきままに記録したブログです。もしまだ見ていない人が御覧になっても興味を損なわないようにしています。

The Reader 「愛を読む人」

2009-07-04 12:34:04 | 映画[ア行]
監督   スティーヴン・ダルドリー
キャスト ケイト・ウィンスレット
      デヴット・クロス
    レイフ・ファインズ  
※下の音楽を聴きながらどうぞ

 ベルンハルト・シュリンクのベストセラー「朗読者」を原案に、スティーヴン・ダルドリー監督が映像化した静かな愛(心)の秀作.

 1958年のドイツを舞台に、21歳も年上のハンナ(ケイト・ウィンスレット)に恋し、愛の手ほどきを受けることになった15歳のマイケル。ハンナはマイケルに本の朗読を頼むようになる。ハンナにのめり込むマイケルだったが、彼女はマイケルの前から姿を消し、数年後、法学専攻の大学生になったマイケル(デヴィッド・クロス)の前に、無期懲役の罪に問われる被告として現れる。
戦争中の仕事を罪に問われる薄幸な女性のハンナを『タイタニック』のケイト・ウィンスレットが36歳から66歳までの30年を演じきる。
 
 愛の物語なのかも知れないが、戦争という逃れようのない歴史の中に隠れた悲しい女性の生き様と彼女を支えた心の物語。あのアウシュビッツ収容所をひとり歩くマイケルが描かれたことで観る者の心に強く残る。そし文盲であったハンナがどれだけそれを人に知られたくなかったか、その強い頑なな気持がハンナの一生を決めてしまったことがせつない。

 マイケルの心情、20歳も歳の離れた女性に恋をしたけれどハンナから愛情が得られない苦悩、集めていた切手を売ったお金での始めての小旅行で食事をしたときにウエイトレスからハンナのことを母親と言われた時の反発、突然に自分の目の前から消えたことでの失望、ハンナを助けるすべを知っていながら助けられない葛藤、映画ではハンナの心の中があまり表現されなかった分、マイケルの心情をこれほどまでに強くせつなく表現したところにダルドリー監督の手腕が伺える。

 彼女の朗読者になったことで彼の人生を変えてゆくのだが彼女のそれからの人生も変えてしまった。愛しているが愛される事がない故に距離を置いてしまうマイケル、ハンナのために朗読することだけが彼にできること。マイケルのせつなさもだが、最後に取ったハンナの行動そして、彼のために綴った手紙。ハンナの心情が表現されてこなかった分、そしてこれまで字が書けなかった分、その手紙が表現する心は強く、重い。
彼の中でも、彼女のなかでも朗読者であり続ける。
アカデミー主演女優賞受賞のケイト・ウィンスレットの演技は紛れもなく心に残る演技だが、若きマイケルを演じたデヴット・クロスも良かったと思う。

 ファミリー度 60点 カップル度 70点 映画好き度 75点

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