独特の隠微かつ淫靡な世界観を持つ人形アニメで知られるブラザーズ・クエイの
新作『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』を、公開初日に見てきました。
この作品は実写が中心で、そこに人形アニメを組み合わせたもの。
ちなみに私は今回がクエイ作品初体験です。
異端の発明家であるドロス博士が、自分の理想とする音楽を完成させるため
歌姫マルヴィーナを連れ去り、自ら発明した7台の奇怪な音楽機械を用いた
恐るべき演奏会を計画する。
その機械を調律するために博士の島へと呼ばれた調律師は、歌姫の婚約者に
瓜二つの男だった。
そして彼を「地震を調律する男」と呼ぶ博士の助手らしき女、アサンプタ。
夢とも舞台劇とも思える島での日々と、愛憎もつれ合う4人の男女を描きつつ
やがて物語は演奏会の日である月食の夜を迎える・・・。
とあらすじを書いてみましたが、実際には筋なんてあってないようなもの。
全編に廃物趣味と懐古趣味が充満し、動きが少なくて脱色されたような映像が
延々と続きます。
コントラストが強調されて昼とも夜とも見える光の中でぎこちなくうごめく
俳優たちの姿は、まるで夢の中の人物か人形アニメのキャラクターみたい。
そんな実写の合間に「本物の」人形アニメが挟み込まれることで、人間と人形の
境界線はあいまいになり、現実と幻想の区別も失われていきます。
このうにゃうにゃ感が、たぶんクエイ兄弟の持ち味なのでしょう。
映像美がツボにはまる人には最高だと思いますが、物語性は極めて薄いので
映画というよりは一種の連続写真かビデオクリップを見ている感じでした。
あるいは、作家の脳内映像を撮った記録映画というべきかな。
シュール系の映像は意味わかんなくても見てて気持ちよければいいと思うのですが
この映画の場合はグロテスクさと若干のエロこそあるけど、後は淡々としたもの。
『アンダルシアの犬』とか『カルパテ城の謎』とかが好きな私としては、もう少し
ユーモアか残酷さといったスパイスも欲しかったところです。
おかげで中盤はつい眠気が・・・ちょ、ちょっとしか寝てないもん!(^^;
クエイ兄弟の本領を感じさせるのは、やっぱり人形アニメのパートでしょう。
グロテスクで人体のパーツを連想させる自動機械の数々、不気味な人形などは
キッチュで悪趣味なものならではの面白さを感じさせます。
ちなみに最後のシーンはまるっきりベックリンの「死の島」。
思い返せば、この映画全編がそのイメージに基づいているような気もします。
アート系、特にシュールな映像をお好みの方にはいいかもしれません。
ただし見る人を確実に選びますので、その点は覚悟のうえで。
新作『ピアノチューナー・オブ・アースクエイク』を、公開初日に見てきました。
この作品は実写が中心で、そこに人形アニメを組み合わせたもの。
ちなみに私は今回がクエイ作品初体験です。
異端の発明家であるドロス博士が、自分の理想とする音楽を完成させるため
歌姫マルヴィーナを連れ去り、自ら発明した7台の奇怪な音楽機械を用いた
恐るべき演奏会を計画する。
その機械を調律するために博士の島へと呼ばれた調律師は、歌姫の婚約者に
瓜二つの男だった。
そして彼を「地震を調律する男」と呼ぶ博士の助手らしき女、アサンプタ。
夢とも舞台劇とも思える島での日々と、愛憎もつれ合う4人の男女を描きつつ
やがて物語は演奏会の日である月食の夜を迎える・・・。
とあらすじを書いてみましたが、実際には筋なんてあってないようなもの。
全編に廃物趣味と懐古趣味が充満し、動きが少なくて脱色されたような映像が
延々と続きます。
コントラストが強調されて昼とも夜とも見える光の中でぎこちなくうごめく
俳優たちの姿は、まるで夢の中の人物か人形アニメのキャラクターみたい。
そんな実写の合間に「本物の」人形アニメが挟み込まれることで、人間と人形の
境界線はあいまいになり、現実と幻想の区別も失われていきます。
このうにゃうにゃ感が、たぶんクエイ兄弟の持ち味なのでしょう。
映像美がツボにはまる人には最高だと思いますが、物語性は極めて薄いので
映画というよりは一種の連続写真かビデオクリップを見ている感じでした。
あるいは、作家の脳内映像を撮った記録映画というべきかな。
シュール系の映像は意味わかんなくても見てて気持ちよければいいと思うのですが
この映画の場合はグロテスクさと若干のエロこそあるけど、後は淡々としたもの。
『アンダルシアの犬』とか『カルパテ城の謎』とかが好きな私としては、もう少し
ユーモアか残酷さといったスパイスも欲しかったところです。
おかげで中盤はつい眠気が・・・ちょ、ちょっとしか寝てないもん!(^^;
クエイ兄弟の本領を感じさせるのは、やっぱり人形アニメのパートでしょう。
グロテスクで人体のパーツを連想させる自動機械の数々、不気味な人形などは
キッチュで悪趣味なものならではの面白さを感じさせます。
ちなみに最後のシーンはまるっきりベックリンの「死の島」。
思い返せば、この映画全編がそのイメージに基づいているような気もします。
アート系、特にシュールな映像をお好みの方にはいいかもしれません。
ただし見る人を確実に選びますので、その点は覚悟のうえで。
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