いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

雪の女王 5

2014年09月28日 | 雪の女王
〈あらすじ〉

ドックが、あの人だった。
ずっと好きだった、初恋の人。遊園地に来てくれなかったあの人……。
にわかには信じられないボラ。

経営数学の発表の時間、ボラは正直にレポートは写したのだと白状した。
教授は笑って、正直に言ったから歌1曲で許してやろうという。
彼女にアンチョコをわたしに来たテウンだったが、
ボラのかわりに1曲歌うことで教授に許してもらった。
テウンが歌ったのは古い歌謡曲で、ボラは恥ずかしい。
「なぁ、怒るなよ。歌だって歌ったろ?」
「感謝してるわ、これでいいでしょ」
「口だけか?これから俺のことはオッパと呼べ。年上なんだぞ」
躊躇しているボラに、テウンはあきらめたように言う。
「いいよ、お前には何も望まない。飯でもおごってくれ」
歩き出したテウンの背中に、ボラは思い切って声をかけた。
「オッパ」
出会った時、彼の名前も知らなくて、そう呼んでいた。
驚いてふりむいたテウンに、ボラは舌を出した。
「なんてね!あっかんべー!」

笑いながら走り出すボラ。
「こら!」と追いかけるテウン。
ところが、ボラは急に意識を失って倒れてしまう。

テウンはボラを病院に担ぎ込み、ゴヌが急いで手当をした。
「彼女は筋無力症なんです」

意識を取り戻したボラに、ゴヌは各種の検査をすすめる。
しかし、ボラはすべての治療を断って病院を出てしまう。
「癌病棟へ行ったことがありますか?みな必死に生きようとしている。
ぼくにはあなたが甘えているようにしか見えない!」
ゴヌは、ボラに訴えた。
「そうね、わたし、甘えているのよ。
本当はね、怖いの。病院がいまだに怖いのよ」
数えきれないほどの検査に注射、15年も治療を受けてきたのに、どうしても恐怖をぬぐえない。
ボラは、本当の気持ちをゴヌに打ち明けた。
ゴヌは、彼女のつらい心を理解する。
「ぼくが手伝うよ。怖くないようにそばでずっと見てるよ」
「あなたはいい人ね。きっと、いい医者、いい夫、いい恋人になると思う。
でも相手はわたしじゃないわ。わたしは誰とも結婚しないの。本当よ」
ボラは穏やかにそういって、去って行った。

テウンは、スンリと一緒に病院を出た。
彼女がそんな病気だったなんて。
「かわいそうよね。でもオッパのせいで倒れたわけじゃないでしょ」
スンリはテウンを励ますが、彼は気もそぞろだ。
そこへ、警察から電話が。
母親が警察署でもめているという。
どうしてか、テウンの用意した金を、返済にあてることを拒んでいたのだ。
小切手に裏書したテウン本人が、それを貸主に手渡すことで一件落着した。

実は、母親は、テウンに内緒でボクシングジムを訪れていたのである。
そこで会長に、息子が名前を変えたこと、傷ついていたこと、
母親を探し続けていたことを聞いていたのだった。
「母さん、なぜお金を使わなかったんだ?」
「あの金は何して稼いだものなんだい?」
「運転手だよ。本当だ。悪いことはしてない」
3000万ウォンもの大金を、どうやって用意したのか……。
「信じるよ。信じるからここにはもう来ないでおくれ」
「母さん……」
「本当は、お前に会いたかった。一目でいいから会いたかった。
でも会ってみたら違った。お前のそんな姿は見たくなかったよ。会うのはこれで最後にしよう」
テウンは、信じられない。
以前のように怒鳴るでもなく、穏やかにそう言った母の言葉が、彼の胸をえぐった。

テウンはジムに帰ってこなかった。
心配しているスンリのところに、ボラがやってきた。
仕事にも来ていないのだ。
ドックの過去について、ボラは知りたがるが、スンリも事情を知らない。
「話したくないことをしつこく聞かれるのは嫌でしょ?」

何もわからないまま、ボラはジムを出た。
すると、向こうからぼんやりとしたテウンが歩いてくる。
「ちょっと!ハン・ドック!どこで何してたのよ!」
「ごめん、気がまわらなかった。ほんとにごめん、だけど今はそっとしといてくれ」
謝るテウンを、ボラはヒステリックに責め立てる。
さすがのテウンも、思わず大声で怒鳴りつけてしまった。
「そっとしといてくれって言ったろ?なぜそんなにしつこいんだ!
ほっといてくれ!頼むよ!頼むから!」

怒鳴った後で、はっとした。
「……わかった。もう言わないわ……」
怒ったような、泣きたいような瞳で、ボラの表情は硬い。
「ごめん、怒鳴ってわるかったよ。ちょっとイヤなことがあって。ごめんな」
そう言って去ろうとするテウンに、ボラが声をかけた。
「ごはんは食べたの?」

テウンはボラを屋台のうどんを食べに連れて行った。
母親が屋台をやっていて、昔は毎日うどんだった。
あのころは嫌だったけど、今は無性に食べたくなる。毎日だってあきないと思う。
「お母さんのせい?昨日こなかったのも」
「鋭いな」
「病気なの?」
「そうだな、心が傷ついてる。8年ぶりに会ったんだ。それまで心配ばかりかけてた。
親孝行したいと思ったのに、許してくれないんだ。
もう会わないと言われて何も言えずに帰ってきた。
俺のことを心配してジムまで来てくれたのか?」
「心配なんて。犬がいなくなれば、飼い主は探すでしょ」
ボラの憎まれ口に、テウンはふと笑う。

ふたりはバスに乗って帰った。
「明日も行くのよ」
「ん?」
「お母さんのところ、明日も行って。明後日も、その次も。
許してくれるまで毎日行くの。お母さんは長く待ちすぎたのよ。わかった?」
「……きれいだ」
「今頃わかった?」
「君じゃない。夜景だよ」
「何よ」

テウンは、ボラの言うとおり、翌日も母に会いに行った。
寒くなるから、ヒーターを置いてきた。
「ぼくは母さんの息子だから、許してくれるまで毎日来るよ」
すごく、さっぱりとした気分だ。

学食で、テウンはボラに薬を差し出した。
「ちゃんと飲まないから倒れるんだろ?これからは俺が管理する」
「家政婦のおばさんにでも言われたの?」
「ボクシングの基本は目を開けることだ。俺は怖くていつも目をつぶってた。
そしたらよけいに殴られた」
「なんの話よ」
「本当は怖がりだろ?」
ボラははっとする。
「薬を飲むと病気だと思い知らされて、怖くて飲めないんだろ?
逃げたくなっても目をつぶるな。逃げちゃだめだ。怖がるな。大丈夫だから飲め」
ボラは薬を手に取った。
「勘違いしないでよ。うるさいから飲むだけよ」
「ありがとう。君のおかげで、母さんに会いに行けた」

海外に出張する父を見送りに、ボラは空港へ来た。
テウンと一緒に、飛行機を見送る。
「空港は2度目だ。前に話したろ?ラップランドに行きたがってた子とここへ来た。
滑走路も走って最高の気分だったな。飛んで行けそうな気分」
「どんな子だったの?」
「そうだな、ちびでかわいいこだった。でもどこか悲しそうだった。
そういえば、ボラに似てるな」
「そう、どんなところが?」
「わがまま。あの子もそうとうひどかったな」
ボラは、探るように会話を続ける。
「よく会ってたの?」
「いや、2回だけ。約束してた日に、行けなかったんだ」
「どうして、行けなかったの?」
テウンの心に、あの記憶がよみがえる。
親友ヨンギュの死。
「覚えてない」
もちろん、忘れるわけがない。
「覚えてない?何かわけがあったでしょ?思い出しなさいよ!」
「何も覚えてない」

テウンの言葉にショックを受けたボラは、思わず滑走路に駆け下りてしまう。
あの日のように。
後を追うテウンは、警備員に止められる。
飛行機の爆音の中、ボラは叫ぶ。
「何も覚えてない?
あの日、約束したのは私よ!ばか!どうしてわからないのよ!
名前を教えてといったでしょ?
キム・ボラ!わたしの名前はキム・ボラなの!」

ボラは走り出し、テウンが警備員を振り切って走り出した。
手をつないで、あの日のように走った。
変わってしまったけど、何も覚えてないというけど、
でも、こうして会うことができて、ボラはただ、うれしかった。

ボラは真面目に大学に通っている。
テウンは、数学の授業を覗いて、学生の答えが間違っているな、とつぶやいている。
そこへ現れたのは、以前学校で出会った老人だ。
テウンのことを財閥2世だと勘違いしていた老人は、大学の教授だったようだ。
「お?君か!君が解いてみたまえ」
テウンは慌てて逃げ出した。

ボラは、テウンを遊園地に誘った。
なんだかんだ理由をつけたが、結局本当のことをいった。
「そこへ行くと思い出す人がいるから行きたいの。でもひとりじゃ恥ずかしいでしょ」
「わかったよ。行ってやるよ。思い出す人って誰だ?」
「別にいいでしょ。土曜日の2時に遊園地でね!今度は絶対来てよね」
「今度?」
不思議に思いながら、テウンは帰っていく。
「ばか。あんたのことよ。どうして気づかないの?
まぁいいわ。土曜に種明かしだからね」
ボラは楽しそうにひとりで笑った。

ジムに、ゴヌが訪ねてきた。
ボラにふられてしまって、電話も出てもらえない。
でも、嫌われてはいない。
彼女は病気で、恋をすることを恐れているように見える。
だから、テウンの力を借りたいのだという。

テウンは、思い出している。
ボラはゴヌについて言っていたっけ。
「あの人はいい人だから、私なんかよりやさしくて素敵な人と会わなきゃいけないのよ」
やっぱりこの医者のことが好きなんだな……。

土曜日、ボラはおしゃれをして遊園地に出かけた。
急に雨が降ってくる。
ボラは、幼い自分の幻を見た。
雨の中、パジャマ姿で彼を待ち続けていた自分……。
そこへさしかけられた傘。

チュンシクの仕事を手伝ってジムに帰ったテウンは、ボラの姿を見つけた。
「こんなところで何してるんだ?酒でも飲んだのか?」
「なぜ今日、彼をかわりによこしたの?」
「昨日、ここを訪ねてきたんだ。お前と遊園地に行きたいって。
思い出す人って彼のことだろう?だから俺を誘ったんだろ?」
ボラは唇を噛んだ。
「そう言われたらそうかもね。
わたしが一番嫌いな人は、自分の過ちに気づかない人。
そして、同じ失敗を二度する人。一番嫌いで軽蔑する」
ボラは、そのままジムを出て行った。

家の前で、ゴヌに声をかけられた。
「ねえ、あった途端に行っちゃうなんてひどいよ。弁解くらいさせて。
好きな人を待ってたのに来なかったんだよね?
苦い思い出を、変えてあげたかったんだ。しあわせな思い出に変えたくて
ドックさんに頼んだけど、僕が間違ってた」
ゴヌのポケベルが鳴った。病院からの呼び出しだ。

「鳴らないポケベルを待ち続けたことあるかい?
僕はあるよ。
待ち続けるって、つらくて苦しいことなんだ。
だけど、胸が高鳴る。
君にあって久しぶりにドキドキした。ありがとう。
でもこれで、本当にさよなら」

ゴヌは去って行った。
ボラは、だまって赤いポケベルを見つける。
テウンはひとり、ボラの言った意味を考えていた。
そして気づく。
彼女が、ボラなんだ。
あの少女が。
そして走り出した。

ついていないことは続く。
ゴヌが車の不調で立ち往生しているところへ、ボラが走ってきた。
「わたし、気に入らないことは我慢できないの。忍耐力もないし。
筋無力症で潔癖症で躁鬱でわがまま。これも病気ね。
そしてなにより、まだ、あなたを愛してない。
それでもいいなら、付き合ってくれる?」

その光景を、テウンが見ていた。

(つづく)

このドラマはね、やっぱり「雪の女王」がモチーフなんだな、と思いました。

ボラも、ボラのお父さんも、テウンのお母さんも、
心が固く氷に閉ざされてしまってる。
もちろんテウンも例外ではなくで、彼自身の心も、
親友ヨンギュが亡くなってから固くなったままです。

そんな人々の心が、だんだんと溶けてゆく様子が、
このドラマのテーマなんですね、きっと。

カイの心を救おうとしたゲルダのような、明確な温かさをもった登場人物はいません。
ただ、誰もがカイであり、ゲルダである、といったようなメッセージが感じられます。
人は人とかかわることで、お互いに癒し、癒されるんだなーと思いました。

あえて言えば、ゲルダはスンリなのかな?
ボラという雪の女王(スンリから見れば、冷たくて意地悪で、でもかわいそうな人)に
魅入られてしまったテウンオッパを自分の愛で救い出したいんだね。
第1話のオープニングでゴロゴロと転がって行ってしまったテウンを助けてあげてほしいが……。
わからん。ラストは決定的悲劇なのかしら、このドラマ。
病気のボラに同情したり、彼女が倒れたのはテウンのせいじゃない!と
至極まっとうな感覚を持った子で、わたしは大好きです。
ほら、渦中の人たちって浸り過ぎっていうかさぁ。
なんかどっぷり悲劇モードになるじゃない?
彼女くらいの思考の健全さが好き。
こんな人たちばっかじゃドラマにならないかもしれないけど。

そういえば、ゴヌも素晴らしく光の中の人だよね。
医者としても誠実で、命に対して本当に真摯な人。
そして患者であるボラの本当の心に触れて、はっとする。
自分の過ちを素直に認め、人と共感できる人。
彼もまた、ゲルダ的人格の人だわ。

前言撤回。ゲルダはゴヌとスンリの人格に投影されているのね~。

テウンは、ボラがあの時の少女だったと知らず、
彼女に惹かれている自分にもまだ気づいていない。
それで「あの医者が好きなのか~」と勘違いしてしまうのね。
そこに一抹の寂しさがあることに自分で気が付けばいいんだけどさ。

そして、そこからの急展開。
ボラがあの少女だったと気づいた時にはもう遅い。
彼女はゴヌくんとつきあうことになってしまったという……。
もしかして、気づいていないふりをするんじゃないですかね、テウンさんは。

このへん、究極のすれ違いですね。
こういう気持ちのすれ違いが一番きくんですよ。
ボディブロー的なダメージがあります。
観ている方も、思わずでっかいため息がでます。ドラマだとわかっていてもねー。

しかし男性陣の性格設定がうまいね。
二番手のゴヌはやさしく寄り添う派。
「僕がそばにいて見守ってあげる」という。
医者っていう性格もあるのかな。
でも、時には恋の駆け引きをしてみたり、茶目っ気もある甘え上手。

本命のテウンは、やさしいけどけっこう俺についてこいってタイプ。
「これからは俺が管理してやる」っていう。
やさしく見えて、マイペースの学者タイプなんでしょうかね。
ボラより4つくらい年上だから、ってのもあるんだろうな。
ボクシングもできちゃうし、男くささがあるよね。

どっちも素敵~!みたいな、視聴女子のハートをくすぐる設定ですよ。
恋愛ものは、こういう「どっちもイイ!」と、「なんであいつやねん!」みたいな
二番手が存在する。
観る人の好みにもよりますが……。
わたしは今回、どっちも素敵よね、と思ってしまった。
影のある分、テウンに惹かれますが、実際つきあうとなると面倒だよ、実際。
金はないけど学はあり、心優しいゴヌくんにがんばってほしい!ぜひ!
ドラマ的に君とくっつくことはありえないとわかっていても!

もうとにかく、ひどいことばっか言ってたお母さんに憤ってたんだけど、
今回のエピソードでほっとしました。
やはり息子を愛する気持ちはあったんだねー。
ボラがそれを見抜いて理解できたのは、自分もそんな経験があるから。
自分のお母さんにひどいことを言ってしまったけど、
それは本当にお母さんが大好きだから。
いなくなってしまったお母さんをゆるせなかったのは、見捨てられて心が傷ついているから。

うう、かわいそうに。
でも、人間傷ついたことがある人は、人にやさしくできるって本当だね……。
彼女の助言のおかげで、テウンは心折れずにお母さんのもとへ通うことができたんだもの。
つらい経験も、無駄になることはないんだ……。
エエハナシヤナー。

ま、こういうことされちゃうとスンリ的には太刀打ちできないんですけどね。
ほなら何かい、かわいそうな目にあってないやつ、
恵まれた人間は、不幸な人間より劣るんかい、と、ごねたくもなります。
がんばれ、スンリ。君は間違っていないぞ。

ボラが救われるとともに、テウンも、本来の自分の人生を取り戻してほしいと
切に願います。
ラップランドで転がってちゃだめだぞー。


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