Season3で打ち切られたハンニバル。
huluでは、まだまだSeason2までの配信です。
終わってしまうのが惜しくて、チビチビと観ていますよ。
寝ても醒めても、どこかでハンニバルのことを考えています……。
うん、中毒。
7 ソルベ
ミリアムの腕が見つかり、ジャックは動揺します。
悪夢を見るようになり、精神的に疲弊するのです。
そんなある日、切り裂き魔の犯行と思われる事件が起こりました。
ところがウィルは、別人の犯行だと言い切ります。
これは命を救おうとして起こってしまったことなのだ、と言うのです。
ジャックは、切り裂き魔の仕業だと疑いますが、ウィルの判断は揺るぎません。
もし切り裂き魔の仕業なら、この後2人の被害者が出るはず。
しかし、被害者はあと2人ではすみませんでした。
次々に内蔵を取られた死体が見つかっていきます。
ウィルは、これらこそ、切り裂き魔の犯行だと確信しますが、
あまりにも今までのパターンとは違いすぎていて、困惑してしまいました。
レクター博士は、この犯行が臓器売買に絡んだものでは?と示唆します。
それもある見方ではありますが、
そもそも移植に適さない臓器までが切り取られているところを見ると……。
行動科学課のメンバーが救急車の映像に目をつけ、事件は進展します。
レクター博士とウィルとともに、行方不明になった救急車を探すと、
中には今まさに腎臓を取り出さんとする救命士の姿がありました。
彼を緊急逮捕するジャック。
後に、切り裂き魔とは無関係だとわかるのですが……。
ひとりの犯人は捕まったものの、切り裂き魔は逃がしてしまった。
ウィルは気落ちします。
レクター博士が招いてくれた晩餐会にも出る気分ではありません。
なんだか場違いだし……。
レクター博士が久々に腕をふるい、素晴らしい肉料理が並んだ晩餐会。
彼のレシピ通りに集められた内臓の数々は、
えもいわれぬご馳走に姿を変えました。
満足そうな客の表情と賞賛の拍手に、レクター博士も嬉しそうです。
「ボナ・ペティ」
********************************
おそろしいですね、こわいですね、おそろしいですね、
もうドキドキしますね、あなた、
マッツ・ミケルセンの目、目の力、ぐいぐいと、迫ってきますね。
気持ち悪いかしれない、でもね、目を、そらすことは、
ぜったい、ぜったいできないんですね、
それがね、彼の、力なの。チャームなのね。
とまぁ、淀川さんだったらなんて言うんだろうなぁと思いつつ鑑賞しました。
レクター博士の本領発揮ですね。
「久々に晩餐会やらないの?」と有閑マダムに請われ、
材料集めに精を出す博士はおそろしいの一言です。
あのねちっこい髭患者は、最後の豚の血になってしまったんでしょうか……。
博士に恋してまとわりつくなんて身の程知らずですよね。
だって博士は今、ウィル・グレアムに夢中なんですから……。
面談時間になってもあらわれないウィルを探して学校までやってきた博士。
くっそ鋭いウィルくんの洞察力に感心しつつ、
いらんヒントで捜査を混乱させて楽しんでいます。
まったく悪趣味です。
いつもと違うパターンに戸惑うウィルくんですが、
しっかりと切り裂き魔の影を見据えていますから、
博士も油断ができませんよね。
今回、女性精神科医にかかるレクター博士を見て、
ちょっと驚きました。
精神科医やカウンセラーが、同業者に患者としてかかることは
よくあることですし、自分の精神のバランスを保つためにも大事なことのようです。
でも、博士はそういうことやってないのかと思っていました。
女医さんは、博士が仮面をかぶって自分と接していることを見抜いています。
仮面の下には何が隠れているか、知ってか知らずか……。
しかし、もしカウンセリング中に犯罪行為が露呈したとしても、
医師は守秘義務によって縛られており、告発ができません。
彼女はなんとなく、わかっているのかもしれませんね。
レシピカードを選びだし、名刺ホルダーをさぐる博士。
具体的に殺人の現場なぞ、ついに出てきませんが、
そういうところが逆に怖いの……。
場違いだし……って思っちゃうウィルくんがすごくキュート。
8 フロマージュ
楽団員が、チェロに見立てて殺される事件が起こりました。
犯人は被害者ののどを切り裂き、声帯をあらわにした上で加工し、
あまつさえその死体を舞台に据えて、試し弾きをしたのです。
犯人は、弦楽器店を営むトバイアスでした。
トバイアスは、ハンニバルに執着する患者フランクリンの友人でもありました。
患者から、彼の話を聞かされたハンニバルは、トバイアスが犯人であると
はっきり理解します。
ディナーに招待し、率直にたずねるハンニバル。
トバイアスは犯行を認め、ハンニバルを友人として認めたいと言います。
彼の犯行を目撃した、と。
しかしハンニバルは、同じ世界の住人だと知りながら、彼を拒絶します。
夕食に招待したのは、彼を殺すためなのでした。
ところが、突然ウィルがたずねてきたため、トバイアスは逃げてしまいます。
ウィルは、ずっと友人として距離を置いていたブルーム博士とキスをしてしまい、
動揺してハンニバルのもとへ来てしまったのでした。
ブルーム博士は、ウィルに強く惹かれながらも、距離を置こうとします。
素晴らしいキスだけれど、この関係はお互いにとって良くないことだと
わかっているからです。
彼女は彼を分析し、彼はそれを疎ましく思うでしょう。
そもそも、ウィルが彼女にキスをしたのは、
彼女に自分の異常性を知られた、と感じたから。
危ういバランスで境界線を歩いている自分を医者の目で見られ、
動揺したのです。
だって、動物の鳴き声が頭の中で響いているなんて。
そのせいで、居もしない動物を探して、暖炉を壊してしまうなんて。
話を聞いたレクター博士は、守秘義務を放棄し、
トバイアスの情報をウィルに提供します。
「殺人に気付き、誰かがたずねてくれば殺す」
あの殺人鬼がそういったことを知っていながら。
弦楽器店を訪問したウィルは、案の定襲われますが、危機を脱します。
逃走したトバイアスはレクター博士の診察室をたずねました。
そこで自分に自首をすすめる友人フランクリン。
その欺瞞に耐えきれず、フランクリンを殺したのはレクター博士でした。
診察室で、ふたりの男は互いに殺し合います。
死闘のすえ、傷を負いながらも最後に立っていたのはハンニバル。
ハンニバル・レクターでした。
警察が来て、ウィルも現れます。
ジャックはこの状況に何か釈然としないものを感じていますが、
ウィルは博士に謝罪します。
「僕の世界に引きずり込んでしまった」
しかし、レクター博士は自分で来たのだとうそぶきます。
ふふ、とほほえみ合うふたり。
博士が友人に、と望むのは、ウィル・グレアムなのです。
そして博士の主治医に言わせれば、
彼が友人として自分を超える者を望むのは、当然のことなのです。
********************************
わぁ……今までずっと水面下でぼんやりと揺らいでいたウィルくんのロマンス……。
お互いを探り合うような会話も好き。
西洋人のキスって、じっと見たらいけないような気になるわね……。
などとウットリしていたら、息もつかせぬ
暴力、暴力、バイオレンス!で呼吸が止まりそうでした。
マジで。
もちろん殺人自体が大いなる暴力であるわけですが、
こんな野蛮な殴る、蹴る、ぶつかりあうという肉弾戦を
博士が繰り広げるなんて思ってもみなかったです。
はぁ驚いた。
意外に動けますね、博士。
博士は、自分自身のカウンセリングをある女医さんにお願いしているのですが、
どうやら彼女は引退した精神科医。
自分の患者に襲われて、そのために仕事を辞めたようです。
彼女に診てもらっているのか、
逆に彼女を診てやっているのか……。
同業者としてカウンセリングを受けているので、
パワーバランスが微妙になる瞬間もありますが、
あくまで彼は彼女の患者。
正体は知られていないようですがね。
驚くのは、彼女もまた、自分を襲った患者を殺した経験があること。
望んだ結果ではありませんが、
彼女も博士と共感できる部分を持った希有な存在なのです。
殺人者で精神科医。
博士は殺人鬼ですけどね。
そこが、レクター博士が彼女のカウンセリングを受ける理由なんだろうなぁ。
この事実が、最後の最後にあきらかになる演出にぐうの音も出ません。
ふぅ、毎度毎度濃いわぁ。
博士ったら、ウィルくんが襲われるのをわかってて、送り込むのね。
悪趣味。
っていうか、ウィルくんを試しているのね。
自分を超える者なのかどうか。
もしそうなら、彼は必ず生還するだろう、と考えている。
ブルーム博士とキスしちゃったウィルくんへの罰なんじゃないかと
勘ぐりたくもなります。
嫉妬なんじゃないですか、博士。
トバイアスはおそろしかったですね。
腸以外はどうやって処分してたんでしょうね。
博士みたいに食べちゃうわけじゃないだろうし。
習いに来ている少年が毒牙にかからなくてよかった……。
ああ、でも御髪(おぐし)の乱れた博士もセクシーでしたわ。
最後に置物で殴りつける時、布で覆っていらしたし、台も倒されてて、
事故を装うつもりかしら?と思いましたが、
結局「殺した」とお認めになりましたね?
あの偽装工作っぽいのはなんでしょうね?
すごく心配しているウィルくんを逆に慰めてニヤリ。
罪深い人です。
9 トゥルー ノルマン
17もの遺体が、トーテムポールにされた状態で見つかりました。
いくつかの遺体は、現場に埋められていたもの。
いくつかの遺体は、墓場から掘り返され、盗まれたもの。
てっぺんの遺体は、殺したてほやほやでした。
ウィルは犯人と同調し、気づくとレクター博士の家にいました。
完全に、その間の記憶を失っています。
動揺したウィルは、自分が夢遊病だと博士に打ち明けます。
捜査協力を辞めるという選択肢もありますが、
自分は人を助けている、と信じるウィルは、自ら辞める意思はありません。
ただ博士は、「自分がトーテムポールを作らないように」と忠告しました。
精神療養所にいるアビゲイルは、たちの悪い事件記者ラウンズに
手記を書くようすすめられています。
アビゲイルを父親の共犯者とみなす世間に真実を伝えたい。
そしてそれは、自身が生きていくための資金を得るためにも役立ちます。
レクター博士とウィルは、それぞれの思惑から、アビゲイルに考え直すよう、
忠告をしますが、彼女は聞き入れませんでした。
そんな中、ニコラスの遺体が発見されます。
アビゲイルの父親に、妹を殺された青年です。
FBIのジャックは、アビゲイルが犯人だと推理し、彼女を疑いますが、
証拠はありません。
トーテムポールを作成した犯人は、ウィルの洞察により、捕まります。
始まりの遺体と終わりの遺体には必ず接点がある、という視点から、
ウィルは犯人にたどり着いたのです。
その犯罪と、犯罪の記念碑であるトーテムは、犯人の誤解によって
より悲劇的な様相を帯びたものになりました。
皮肉な結末を見届けたウィルは、唾棄すべき犯人に軽蔑の色を隠しませんでした。
そのうえウィルは、ニコラスの遺体と対面して、
アビゲイルが殺したのだと悟ってしまいます。
レクター博士もそれを知っていて、隠していたことは、
本人の告白であきらかになりました。
事実を隠し続けることを選んだウィル。
彼は、アビゲイルの父親を殺したことで、彼女の父親になろうとしているからです。
しかし、彼が信じていたアビゲイルは、実は父親の殺人を手伝っていたのです。
「そうしなければ私が殺されていた……」
震えながらレクター博士だけに真実を告白したアビゲイル。
博士は彼女を優しく抱きしめ、ずっと守ると約束するのでした。
********************************
どうしましょう……。
ウィルくんが好きすぎて、私の心臓が破裂しそうです……。
はぁ~、ウィルくんを見ているだけで、心臓がドクドクします。
ドキドキじゃなくて、ドクドクの感覚、わかっていただけるでしょうか。
ウィルくんが犯人に同調していくように、
私もレクター博士に同調しているような気がしているのですが、
フッと鼻で笑うレクター博士が目に見えるようです。
いいじゃないですか!博士!好きにさせてくださいよ!
も~、ブルーム博士は自分の気持ちに正直になりすぎて
ウィルくんを混乱させちゃうし~。
いますよね、こういう正直者の姿をして、相手を困惑させちゃう人って。
前回のキス、そして拒絶を後悔しているのと、
これでよかったんだ、と思っているのと、半分半分。
惹かれているけど、付き合えない。
ウィルくんが安定したら、考える、というブルーム博士。
あなたはハッキリいってズルい女ですよ!
自覚がないだけに余計ズルいというか、
精神科医のくせに、こんな不安定なウィルくんに、
「ありのままの今の自分を受け入れてね」と言わんばかりの態度はいかがなものか。
この純真さというか、鈍感さは、アビゲイルを盲目的に信じる姿によって
より強調されていると思います。
あなたもフツーの精神科医だったら、優秀な人なのかもしれませんけどねぇ。
はっきりとモンスターであるレクター博士。
境界線をさまよっているウィルくん。
経験則から打ち出される推理を冷静に見つめるジャック。
そして、この界隈では凡人でしかない一般人のブルーム博士。
この4人の対比が、ドラマを引き立てています。
あなたはどこに軸足を置いて、「ハンニバル」を楽しんでいますか?
そう、問いかけられているような気分です。
ウィルくんを愛でて愛でて、いじめまわしたくなっている私は、
もちろんレクター博士に寄り添っているわけですが。
アビゲイルの驚愕の告白。
彼女は、父親の獲物を選定する斥候としての役割を果たしていたのです。
さながら、獲物の匂いを嗅ぎ、追い込んでいく優秀な猟犬のように。
好き好んでそうしていたわけではなく、
自身が殺されないための防衛手段だったわけですが、
なんと可哀相な娘さんでありましょう。
あ-、でもレクター博士に抱きしめられて、
あごの先で頭を愛撫されるなんてうらやましい限りです。
トーテムの殺人も、ひとひねりがあって面白かったですね。
その昔、人妻を愛してしまったひとりの男は、
愛した人の夫を殺します。
そして何くわぬ顔で出席した葬式で、えもいわれぬ快感を覚えたのでしょう。
誰も、わたしが犯人だと気づかない……。
おそらくその快感が、彼の魔を引き出し、
何十年もの間、気づかれること無く殺人を繰り返し、
犠牲者の葬儀に出席するもしくは葬儀を眺める行為を続けさせた。
(このあたりの詳細は説明されていませんので、私の想像です)
そして最後の犠牲者は、愛した人が身ごもった、憎い恋敵の子ども。
まぁ普通に考えれば夫婦間の子なわけですから、逆恨みもいいところですが。
ところが、その子どもは、実は自分の子どもだった。
「俺を愛していると言ったくせに、ちゃっかり夫の子どもを身ごもった」
と恨んでいた女性は、やはり自分を愛していた。
不義の子を、夫の子として育てていたのです。
思い込みの逆恨みから引き起こされた悪意が、
自らの愛の結晶を自らの手で殺すことにつながってしまったわけです。
皮肉な結果ですね。
さすがのウィルくんも、「フッ、あほが……」みたいな
意地の悪い顔をしていました。
自分だっていろいろ騙されているくせに……。
そう思うとやはり可愛くて可愛くて仕方がありません。
そんな顔を観て、ちびりそうになった私もいい加減ヘンタイですが、
こんな私も誰かに騙されている最中かもしれませんね。
今回は、各地で「ニヤリ」「にやり」が頻発して、
最後のアビゲイルパパの「ニヤリ」で締めるという、
たいへん視聴後感の充実した回だったと思います……。
ちなみにタイトルのトゥルーノルマンですが……
このシードルが焼かれてカルヴァドスという蒸留酒になるとアルコール度数は40度です。
別名「トゥルー・ノルマン(ノルマン人の穴)」。
ノルマンディでは大きな食事の途中でカルヴァドスを飲み、
胃に穴をあけて余地を作って再び食事を続けます。食後酒とすれば胃もたれの解消にも役立ちます。
出典:フランス観光開発機構 公式サイト
オード・ヴィ(命の水)ブランデー
こんな恐ろしい記事に引用しちゃって申し訳ない。
7~9の感想、あらためて自分で読んでみると、
たいした考察もなく、だらりんこと弛緩した文章ですが、
この世界観に浸るというのが正しい楽しみ方かもしれません。
ウィルくんの操作能力なんて超常現象みたいなものだし。
科学で解明されない、五感を駆使してそこから導き出されるシックスセンス。
対して、必死に解剖を続ける検死解剖チームのみなさま。
そのへんのエッセンスの入れ方がだいぶ好みです。
日本のドラマは~とか書いちゃうと、
海外ドラマ至上主義者みたいでアレなんですけど、
「主人公が特異な能力で事件を追う」設定のドラマって、
その主人公の立ち位置で面白さが決まるんじゃないかと思ってます。
特異な能力のせいで、自身も狂っていくウィルくんのバランスがすごく好きで、ハマる。
能力を使いながらも、狂わない、どこかで必ず正しい位置に戻っていく主人公は、
安全地帯に居すぎてつまらない。
便利な道具を持っているだけの人、って感じてしまってハマりきれません。
そんな理由で、清水玲子さんの「秘密 トップ・シークレット」も大好きです。
映画化されるそうで、楽しみですね。
このあたりの感覚は人それぞれですので、
「面白さが決まる」ってのは、「私の中での面白さが決まる」ってだけの話ですが。
堕ちて行く人スキーのみなさん、
引き続き「ハンニバル」楽しみましょう。
huluでは、まだまだSeason2までの配信です。
終わってしまうのが惜しくて、チビチビと観ていますよ。
寝ても醒めても、どこかでハンニバルのことを考えています……。
うん、中毒。
7 ソルベ
ミリアムの腕が見つかり、ジャックは動揺します。
悪夢を見るようになり、精神的に疲弊するのです。
そんなある日、切り裂き魔の犯行と思われる事件が起こりました。
ところがウィルは、別人の犯行だと言い切ります。
これは命を救おうとして起こってしまったことなのだ、と言うのです。
ジャックは、切り裂き魔の仕業だと疑いますが、ウィルの判断は揺るぎません。
もし切り裂き魔の仕業なら、この後2人の被害者が出るはず。
しかし、被害者はあと2人ではすみませんでした。
次々に内蔵を取られた死体が見つかっていきます。
ウィルは、これらこそ、切り裂き魔の犯行だと確信しますが、
あまりにも今までのパターンとは違いすぎていて、困惑してしまいました。
レクター博士は、この犯行が臓器売買に絡んだものでは?と示唆します。
それもある見方ではありますが、
そもそも移植に適さない臓器までが切り取られているところを見ると……。
行動科学課のメンバーが救急車の映像に目をつけ、事件は進展します。
レクター博士とウィルとともに、行方不明になった救急車を探すと、
中には今まさに腎臓を取り出さんとする救命士の姿がありました。
彼を緊急逮捕するジャック。
後に、切り裂き魔とは無関係だとわかるのですが……。
ひとりの犯人は捕まったものの、切り裂き魔は逃がしてしまった。
ウィルは気落ちします。
レクター博士が招いてくれた晩餐会にも出る気分ではありません。
なんだか場違いだし……。
レクター博士が久々に腕をふるい、素晴らしい肉料理が並んだ晩餐会。
彼のレシピ通りに集められた内臓の数々は、
えもいわれぬご馳走に姿を変えました。
満足そうな客の表情と賞賛の拍手に、レクター博士も嬉しそうです。
「ボナ・ペティ」
********************************
おそろしいですね、こわいですね、おそろしいですね、
もうドキドキしますね、あなた、
マッツ・ミケルセンの目、目の力、ぐいぐいと、迫ってきますね。
気持ち悪いかしれない、でもね、目を、そらすことは、
ぜったい、ぜったいできないんですね、
それがね、彼の、力なの。チャームなのね。
とまぁ、淀川さんだったらなんて言うんだろうなぁと思いつつ鑑賞しました。
レクター博士の本領発揮ですね。
「久々に晩餐会やらないの?」と有閑マダムに請われ、
材料集めに精を出す博士はおそろしいの一言です。
あのねちっこい髭患者は、最後の豚の血になってしまったんでしょうか……。
博士に恋してまとわりつくなんて身の程知らずですよね。
だって博士は今、ウィル・グレアムに夢中なんですから……。
面談時間になってもあらわれないウィルを探して学校までやってきた博士。
くっそ鋭いウィルくんの洞察力に感心しつつ、
いらんヒントで捜査を混乱させて楽しんでいます。
まったく悪趣味です。
いつもと違うパターンに戸惑うウィルくんですが、
しっかりと切り裂き魔の影を見据えていますから、
博士も油断ができませんよね。
今回、女性精神科医にかかるレクター博士を見て、
ちょっと驚きました。
精神科医やカウンセラーが、同業者に患者としてかかることは
よくあることですし、自分の精神のバランスを保つためにも大事なことのようです。
でも、博士はそういうことやってないのかと思っていました。
女医さんは、博士が仮面をかぶって自分と接していることを見抜いています。
仮面の下には何が隠れているか、知ってか知らずか……。
しかし、もしカウンセリング中に犯罪行為が露呈したとしても、
医師は守秘義務によって縛られており、告発ができません。
彼女はなんとなく、わかっているのかもしれませんね。
レシピカードを選びだし、名刺ホルダーをさぐる博士。
具体的に殺人の現場なぞ、ついに出てきませんが、
そういうところが逆に怖いの……。
場違いだし……って思っちゃうウィルくんがすごくキュート。
8 フロマージュ
楽団員が、チェロに見立てて殺される事件が起こりました。
犯人は被害者ののどを切り裂き、声帯をあらわにした上で加工し、
あまつさえその死体を舞台に据えて、試し弾きをしたのです。
犯人は、弦楽器店を営むトバイアスでした。
トバイアスは、ハンニバルに執着する患者フランクリンの友人でもありました。
患者から、彼の話を聞かされたハンニバルは、トバイアスが犯人であると
はっきり理解します。
ディナーに招待し、率直にたずねるハンニバル。
トバイアスは犯行を認め、ハンニバルを友人として認めたいと言います。
彼の犯行を目撃した、と。
しかしハンニバルは、同じ世界の住人だと知りながら、彼を拒絶します。
夕食に招待したのは、彼を殺すためなのでした。
ところが、突然ウィルがたずねてきたため、トバイアスは逃げてしまいます。
ウィルは、ずっと友人として距離を置いていたブルーム博士とキスをしてしまい、
動揺してハンニバルのもとへ来てしまったのでした。
ブルーム博士は、ウィルに強く惹かれながらも、距離を置こうとします。
素晴らしいキスだけれど、この関係はお互いにとって良くないことだと
わかっているからです。
彼女は彼を分析し、彼はそれを疎ましく思うでしょう。
そもそも、ウィルが彼女にキスをしたのは、
彼女に自分の異常性を知られた、と感じたから。
危ういバランスで境界線を歩いている自分を医者の目で見られ、
動揺したのです。
だって、動物の鳴き声が頭の中で響いているなんて。
そのせいで、居もしない動物を探して、暖炉を壊してしまうなんて。
話を聞いたレクター博士は、守秘義務を放棄し、
トバイアスの情報をウィルに提供します。
「殺人に気付き、誰かがたずねてくれば殺す」
あの殺人鬼がそういったことを知っていながら。
弦楽器店を訪問したウィルは、案の定襲われますが、危機を脱します。
逃走したトバイアスはレクター博士の診察室をたずねました。
そこで自分に自首をすすめる友人フランクリン。
その欺瞞に耐えきれず、フランクリンを殺したのはレクター博士でした。
診察室で、ふたりの男は互いに殺し合います。
死闘のすえ、傷を負いながらも最後に立っていたのはハンニバル。
ハンニバル・レクターでした。
警察が来て、ウィルも現れます。
ジャックはこの状況に何か釈然としないものを感じていますが、
ウィルは博士に謝罪します。
「僕の世界に引きずり込んでしまった」
しかし、レクター博士は自分で来たのだとうそぶきます。
ふふ、とほほえみ合うふたり。
博士が友人に、と望むのは、ウィル・グレアムなのです。
そして博士の主治医に言わせれば、
彼が友人として自分を超える者を望むのは、当然のことなのです。
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わぁ……今までずっと水面下でぼんやりと揺らいでいたウィルくんのロマンス……。
お互いを探り合うような会話も好き。
西洋人のキスって、じっと見たらいけないような気になるわね……。
などとウットリしていたら、息もつかせぬ
暴力、暴力、バイオレンス!で呼吸が止まりそうでした。
マジで。
もちろん殺人自体が大いなる暴力であるわけですが、
こんな野蛮な殴る、蹴る、ぶつかりあうという肉弾戦を
博士が繰り広げるなんて思ってもみなかったです。
はぁ驚いた。
意外に動けますね、博士。
博士は、自分自身のカウンセリングをある女医さんにお願いしているのですが、
どうやら彼女は引退した精神科医。
自分の患者に襲われて、そのために仕事を辞めたようです。
彼女に診てもらっているのか、
逆に彼女を診てやっているのか……。
同業者としてカウンセリングを受けているので、
パワーバランスが微妙になる瞬間もありますが、
あくまで彼は彼女の患者。
正体は知られていないようですがね。
驚くのは、彼女もまた、自分を襲った患者を殺した経験があること。
望んだ結果ではありませんが、
彼女も博士と共感できる部分を持った希有な存在なのです。
殺人者で精神科医。
博士は殺人鬼ですけどね。
そこが、レクター博士が彼女のカウンセリングを受ける理由なんだろうなぁ。
この事実が、最後の最後にあきらかになる演出にぐうの音も出ません。
ふぅ、毎度毎度濃いわぁ。
博士ったら、ウィルくんが襲われるのをわかってて、送り込むのね。
悪趣味。
っていうか、ウィルくんを試しているのね。
自分を超える者なのかどうか。
もしそうなら、彼は必ず生還するだろう、と考えている。
ブルーム博士とキスしちゃったウィルくんへの罰なんじゃないかと
勘ぐりたくもなります。
嫉妬なんじゃないですか、博士。
トバイアスはおそろしかったですね。
腸以外はどうやって処分してたんでしょうね。
博士みたいに食べちゃうわけじゃないだろうし。
習いに来ている少年が毒牙にかからなくてよかった……。
ああ、でも御髪(おぐし)の乱れた博士もセクシーでしたわ。
最後に置物で殴りつける時、布で覆っていらしたし、台も倒されてて、
事故を装うつもりかしら?と思いましたが、
結局「殺した」とお認めになりましたね?
あの偽装工作っぽいのはなんでしょうね?
すごく心配しているウィルくんを逆に慰めてニヤリ。
罪深い人です。
9 トゥルー ノルマン
17もの遺体が、トーテムポールにされた状態で見つかりました。
いくつかの遺体は、現場に埋められていたもの。
いくつかの遺体は、墓場から掘り返され、盗まれたもの。
てっぺんの遺体は、殺したてほやほやでした。
ウィルは犯人と同調し、気づくとレクター博士の家にいました。
完全に、その間の記憶を失っています。
動揺したウィルは、自分が夢遊病だと博士に打ち明けます。
捜査協力を辞めるという選択肢もありますが、
自分は人を助けている、と信じるウィルは、自ら辞める意思はありません。
ただ博士は、「自分がトーテムポールを作らないように」と忠告しました。
精神療養所にいるアビゲイルは、たちの悪い事件記者ラウンズに
手記を書くようすすめられています。
アビゲイルを父親の共犯者とみなす世間に真実を伝えたい。
そしてそれは、自身が生きていくための資金を得るためにも役立ちます。
レクター博士とウィルは、それぞれの思惑から、アビゲイルに考え直すよう、
忠告をしますが、彼女は聞き入れませんでした。
そんな中、ニコラスの遺体が発見されます。
アビゲイルの父親に、妹を殺された青年です。
FBIのジャックは、アビゲイルが犯人だと推理し、彼女を疑いますが、
証拠はありません。
トーテムポールを作成した犯人は、ウィルの洞察により、捕まります。
始まりの遺体と終わりの遺体には必ず接点がある、という視点から、
ウィルは犯人にたどり着いたのです。
その犯罪と、犯罪の記念碑であるトーテムは、犯人の誤解によって
より悲劇的な様相を帯びたものになりました。
皮肉な結末を見届けたウィルは、唾棄すべき犯人に軽蔑の色を隠しませんでした。
そのうえウィルは、ニコラスの遺体と対面して、
アビゲイルが殺したのだと悟ってしまいます。
レクター博士もそれを知っていて、隠していたことは、
本人の告白であきらかになりました。
事実を隠し続けることを選んだウィル。
彼は、アビゲイルの父親を殺したことで、彼女の父親になろうとしているからです。
しかし、彼が信じていたアビゲイルは、実は父親の殺人を手伝っていたのです。
「そうしなければ私が殺されていた……」
震えながらレクター博士だけに真実を告白したアビゲイル。
博士は彼女を優しく抱きしめ、ずっと守ると約束するのでした。
********************************
どうしましょう……。
ウィルくんが好きすぎて、私の心臓が破裂しそうです……。
はぁ~、ウィルくんを見ているだけで、心臓がドクドクします。
ドキドキじゃなくて、ドクドクの感覚、わかっていただけるでしょうか。
ウィルくんが犯人に同調していくように、
私もレクター博士に同調しているような気がしているのですが、
フッと鼻で笑うレクター博士が目に見えるようです。
いいじゃないですか!博士!好きにさせてくださいよ!
も~、ブルーム博士は自分の気持ちに正直になりすぎて
ウィルくんを混乱させちゃうし~。
いますよね、こういう正直者の姿をして、相手を困惑させちゃう人って。
前回のキス、そして拒絶を後悔しているのと、
これでよかったんだ、と思っているのと、半分半分。
惹かれているけど、付き合えない。
ウィルくんが安定したら、考える、というブルーム博士。
あなたはハッキリいってズルい女ですよ!
自覚がないだけに余計ズルいというか、
精神科医のくせに、こんな不安定なウィルくんに、
「ありのままの今の自分を受け入れてね」と言わんばかりの態度はいかがなものか。
この純真さというか、鈍感さは、アビゲイルを盲目的に信じる姿によって
より強調されていると思います。
あなたもフツーの精神科医だったら、優秀な人なのかもしれませんけどねぇ。
はっきりとモンスターであるレクター博士。
境界線をさまよっているウィルくん。
経験則から打ち出される推理を冷静に見つめるジャック。
そして、この界隈では凡人でしかない一般人のブルーム博士。
この4人の対比が、ドラマを引き立てています。
あなたはどこに軸足を置いて、「ハンニバル」を楽しんでいますか?
そう、問いかけられているような気分です。
ウィルくんを愛でて愛でて、いじめまわしたくなっている私は、
もちろんレクター博士に寄り添っているわけですが。
アビゲイルの驚愕の告白。
彼女は、父親の獲物を選定する斥候としての役割を果たしていたのです。
さながら、獲物の匂いを嗅ぎ、追い込んでいく優秀な猟犬のように。
好き好んでそうしていたわけではなく、
自身が殺されないための防衛手段だったわけですが、
なんと可哀相な娘さんでありましょう。
あ-、でもレクター博士に抱きしめられて、
あごの先で頭を愛撫されるなんてうらやましい限りです。
トーテムの殺人も、ひとひねりがあって面白かったですね。
その昔、人妻を愛してしまったひとりの男は、
愛した人の夫を殺します。
そして何くわぬ顔で出席した葬式で、えもいわれぬ快感を覚えたのでしょう。
誰も、わたしが犯人だと気づかない……。
おそらくその快感が、彼の魔を引き出し、
何十年もの間、気づかれること無く殺人を繰り返し、
犠牲者の葬儀に出席するもしくは葬儀を眺める行為を続けさせた。
(このあたりの詳細は説明されていませんので、私の想像です)
そして最後の犠牲者は、愛した人が身ごもった、憎い恋敵の子ども。
まぁ普通に考えれば夫婦間の子なわけですから、逆恨みもいいところですが。
ところが、その子どもは、実は自分の子どもだった。
「俺を愛していると言ったくせに、ちゃっかり夫の子どもを身ごもった」
と恨んでいた女性は、やはり自分を愛していた。
不義の子を、夫の子として育てていたのです。
思い込みの逆恨みから引き起こされた悪意が、
自らの愛の結晶を自らの手で殺すことにつながってしまったわけです。
皮肉な結果ですね。
さすがのウィルくんも、「フッ、あほが……」みたいな
意地の悪い顔をしていました。
自分だっていろいろ騙されているくせに……。
そう思うとやはり可愛くて可愛くて仕方がありません。
そんな顔を観て、ちびりそうになった私もいい加減ヘンタイですが、
こんな私も誰かに騙されている最中かもしれませんね。
今回は、各地で「ニヤリ」「にやり」が頻発して、
最後のアビゲイルパパの「ニヤリ」で締めるという、
たいへん視聴後感の充実した回だったと思います……。
ちなみにタイトルのトゥルーノルマンですが……
このシードルが焼かれてカルヴァドスという蒸留酒になるとアルコール度数は40度です。
別名「トゥルー・ノルマン(ノルマン人の穴)」。
ノルマンディでは大きな食事の途中でカルヴァドスを飲み、
胃に穴をあけて余地を作って再び食事を続けます。食後酒とすれば胃もたれの解消にも役立ちます。
出典:フランス観光開発機構 公式サイト
オード・ヴィ(命の水)ブランデー
こんな恐ろしい記事に引用しちゃって申し訳ない。
7~9の感想、あらためて自分で読んでみると、
たいした考察もなく、だらりんこと弛緩した文章ですが、
この世界観に浸るというのが正しい楽しみ方かもしれません。
ウィルくんの操作能力なんて超常現象みたいなものだし。
科学で解明されない、五感を駆使してそこから導き出されるシックスセンス。
対して、必死に解剖を続ける検死解剖チームのみなさま。
そのへんのエッセンスの入れ方がだいぶ好みです。
日本のドラマは~とか書いちゃうと、
海外ドラマ至上主義者みたいでアレなんですけど、
「主人公が特異な能力で事件を追う」設定のドラマって、
その主人公の立ち位置で面白さが決まるんじゃないかと思ってます。
特異な能力のせいで、自身も狂っていくウィルくんのバランスがすごく好きで、ハマる。
能力を使いながらも、狂わない、どこかで必ず正しい位置に戻っていく主人公は、
安全地帯に居すぎてつまらない。
便利な道具を持っているだけの人、って感じてしまってハマりきれません。
そんな理由で、清水玲子さんの「秘密 トップ・シークレット」も大好きです。
映画化されるそうで、楽しみですね。
このあたりの感覚は人それぞれですので、
「面白さが決まる」ってのは、「私の中での面白さが決まる」ってだけの話ですが。
堕ちて行く人スキーのみなさん、
引き続き「ハンニバル」楽しみましょう。
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