残すところ、あと7話となった第55話を視聴して以来、
なっかなか第56話を観ることができませんでした。
もったいないから……とか、時間がないから……ではなくて、
なんだかこう、腑に落ちないというか……。
もちろん、ピダムの想いとか、ユシンの頑固なほどの真っ直ぐさとか、
そうそう、とうなずきながら観ていたのですが、
肝心のトンマンがよくわからなかったの。
すべてが理解できなければ楽しめない、わけじゃないけれど、
基本、彼女が好きになって観ていたわけで、ちょっと困惑しました。
どうとらえたらいいのかな、と悩んじゃったのね。
共感する部分がすくなかったのかな?
恋と野望の間で揺れる女心が表現したかったのかもしれないけど、
それは私にはうまく伝わってこなかったです。
わかんなくても、「わかんないけど面白い!次はどうなるの?」と
気分が乗ることは多々あるのですが、
今回はそうしたドライブ感も湧きあがらず……。
しかし悩んだまま、トンマンを信じてやっとこさ視聴です!
視聴後の感想がどんなものになるのか、自分でも楽しみです。
《あらすじ》
ユシン軍を率いて、戦に出ることになったソルォン。
もし勝利して戻ったら、兵部の全権を委任して欲しいとトンマンに要求する。
神国の危機を取引に利用するのかと聞かれたソルォンは、
三韓統一の大業を果たす手伝いがしたいというのだ。
「ソルォン公の願いは、それだけですか」
「三韓統一のお手伝いをいたします。ですから、私が勝って帰ったあかつきには
ピダムとご婚姻を。陛下」
「ピダムの恋心が、私には怖いのです。
数々の偉業をなしたチヌン大帝はただひとつ間違いを犯しました。人です。
信頼していた配下の人を、すべてミシルに奪われた。
神国ではなく、ミシルに忠誠を誓うものに阻まれて、後継者を立てられなかった。
違いますか?」
ソルォンは、返す言葉もない。
「私の死後も、ピダムは神国に忠誠を誓い、
神国の大業に全精力を傾けるでしょうか?」
ソルォンは、ユシンに呼ばれ監獄へ会いに行った。
ユシンは、現在の百済軍の機動力について語り、情報を伝えた。
「私に、戦に勝てと?
私が勝って帰れば、ユシン公の命が危なくなるのですよ」
「勝ってください。その後のことは、その時考えます」
ソルォン公が選んだ敗者の人生を、ユシンもまた選んだのだ。
もしユシンを死なせるとしたら、トンマンはきっと戦場で死なせることを望むだろう。
ソルォンは、久しぶりの出陣に胸を躍らせていた。
ピダムのためであっても、戦いを前に気持ちが奮い立つ自分がいる。
やはり自分は、骨の髄まで武将だったのだ。
出陣の前に、ミシルの霊廟で位牌に語りかけるソルォン。
「ピダムは私と同じようです。誰かを慕う恋心が似ています。
恋心など捨ててしまえとおっしゃった璽主に似るべきでしたのに」
ミシルの最後の望みを叶えるために、ソルォンはこの戦に必ず勝利するつもりだ。
「お会いしたいです……セジュ」
トンマンはチュクパンに頼んで、
密かに復耶会ウォルヤに接触する機会を作っていた。
アルチョンだけを供に、チュンチュとトンマンはウォルヤに会いにゆく。
彼らの提案は三つ。
一つ目は、これまでと変わらぬ、伽耶民への善政。
二つ目は、伽耶出身者の戸籍の廃棄。
三つ目は、この内容を勅書として残すという約束。
それゆえ、ユシンをいただく復耶会を解体せよ。
「それで我々に何をお望みですか?」
トンマンらの望みは、復耶会の名簿の提出と、武装解除。
そして今後は、ユシンではなく、チュンチュの配下に入ること。
「もしこの提案を拒めば、お前のせいでユシンが死ぬ。
お前のせいで伽耶民が死ぬ」
猶予は三日。
宮殿に帰り、アルチョンに厳しく叱られるトンマンはひるまない。
ユシンを得るためにしたことだ。
これくらいの度胸を見せねば、ウォルヤも従うまい。
困難だからこそ、やり遂げれば、人を得られるのだ。
これはチュンチュのためでもある。
トンマンの死後に不安を抱く復耶会と、トンマンの死後、王位を狙うチュンチュを
つなぐことができた。
ひとり寝所で涙を流すトンマンの心境はいかにか。
ユシン軍を率いて戦に出たソルォン公が、敗れて帰ってきた。
神出鬼没の赤かぶとの遊軍にしてやられたというのだ。
新羅の兵の怯えようも尋常ではなく、その「鬼神」に呑まれてしまっている。
「ピダム公、璽主の最後のお言葉に従ってください」
苦しい息の下、ソルォンは訴える。
「人を……人を目標とするのは危険です。
もっと大きな志を、もっと大きな夢を持つのです……。
さもなくば、私のように2番手の道を歩むことになります……。
璽主の……璽主のご遺志に……従うのです……」
事切れる直前、ソルォンは少しほほえんだかのように見えた。
涙を浮かべ、ソルォン公の手を握るピダム。
ソルォン公は、死ぬ前にユシンに手紙を残していた。
百済軍は、1日に8里を進む速さで移動し、恐るべき遊軍がいたと。
彼もまた軍人として、ユシンに後を託したのだ。
ユシン軍が破れ、もう後がない新羅。
民や貴族の間では、ユシンに兵を率いて欲しいと望む声が上がっている。
ピダムは怒り、声を荒げる。
「罪人に国を救ってもらおうというのか」
ユシンは、ピダムの怒りなど知ったことではない。
今は神国を救うことが第一なのだ。
ユシンはピダムを牢に呼び出して、作戦を説明する。
どこか上の空のピダムに、ユシンは胸ぐらをつかんで怒鳴った。
「私を殺したければ殺せ、軍事権も奪うがいい。
ただし、神国を救った後にしろ。それまで、まて」
ピダムは黙って、作戦図を持ち帰った。
粗末な囚人服の背中一面に黒炭で描かれた作戦図を握りしめ、
ぐっと奥歯を噛みしめるピダムは何を思うのか。
復耶会との取引期限が来た。
どれほど待っても、ウォルヤは来ない。
しびれを切らしたトンマンは、自ら復耶会の砦に乗り込んだ。
彼女を守るのはただアルチョンの刀のみ。
復耶会の面々に刀を向けられ、取り囲まれたトンマンは、
伽耶人たちの戸籍簿を火の中に投げ込んだ。
「これでも信じぬか。
何をすれば信じる。何をすれば、お前たちはわたしの民になってくれる?
対立し、ユシンを殺し、お前たちを殺し、お前たちは新羅人を殺す。
そうしたいのか?
本当に、それでいいのか?!」
そこへ、侍衛府を連れてチュンチュが乗り込んできた。
トンマンは、これはウォルヤに対する最後通告だという。
そしてチュンチュに、ウォルヤを説得せよと言い残した。
もしも説得できない場合は、チュンチュともども、復耶会は皆殺しだ。
戦場から上がってくる報告は、危機的状況を知らせる。
チュジン公の部隊も百済軍に敗れ、このままではソラボル陥落も時間の問題だ。
一体この状況をどうすれば……。
便殿会議のさなか、ヨムジョンが駆け込んでくる。
「陛下!たった今、武芸場に……」
武芸場には、チュンチュと、仲間を連れたウォルヤがいた。
「復耶会の長ウォルヤは、陛下とチュンチュ公にすべてをゆだねます!」
チュンチュが説得に成功し、復耶会全員の名簿と王への忠誠を手に入れたのだ。
満足そうなトンマン。
驚きの表情のピダム。
「では、ユシンを呼びなさい」
ユシンは、武者姿で皆の前に現れた。
「罪人に軍を任せるなど!」
「お考え直しください!」
口々に言う貴族たちに、トンマンは言う。
「ユシン公が率いてこそのユシン軍です」
そして、剣を持ってこさせたトンマンは、ユシンを呼ぶ。
「上将軍ユシン」
「はい、陛下」
「そなたを上将軍に再任し、此度の戦における王の全権と軍の統帥権を委任する。
新羅の領土を守り、神国を救え」
トンマンはユシンに刀剣を賜った。
「上将軍キム・ユシン、身命を賭して戦います」
微笑むトンマンとチュンチュとは裏腹に、衝撃に震えるピダム。
(つづく)
なんつーか……。
やはり
トンマンは、野望を持ってなんぼの女。
彼女がきらりと光るのは、英雄として生きる瞬間ですよ!
命を賭して、ウォルヤに会いに行くトンマン。
そこでウォルヤの情に訴えて同盟を頼むわけではなく、
伽耶の民に最後の情けをかけてやろう、と、あくまで上から目線で(王だし)交渉する強さ。
ホントはこの提案を呑んでもらわなければユシンを殺さなきゃいけないし、
彼女だって必死なはずなのに、一切そんな気配は見せない。
この交渉力は大事です!
弱みを見せた時点で不利なんだわね。
その弱みは、ウォルヤが来ないので、復耶会の砦に乗り込んじゃうことでもわかる。
交渉決裂!で帰ったっていいのに、わざわざ行ったんだよ?
しかし、「それほど俺らが欲しいのか」と相手が強気になっちゃう前に、
伽耶人名簿を火にくべるというパフォーマンス。
敵視していた王とはいえ、本気の体当たりに、復耶会の人々は動揺したのね。
そして!チュンチュを人質同然というか、ほぼ生け贄として置いて帰る!
「私の後ろで楽をするな」を実践した!
我が子を谷に突き落とした獅子王ですね!
チュンチュはウォルヤを説得できなきゃ一緒に殺されちゃうのよ~!
す、すごすぎる。
王として、王を狙うものとして、しのぎを削り、
育て、育てられ、より強大な神国の指導者となっていくわけだねー。
良い治世は、豊かな国を作る。
結果、神国は繁栄していくわけだ。
うんうん、面白かった。
久々に元気なトンマンを堪能したぞ。
ウォルヤを味方につけたおかげで、ユシンを殺さずにすんだ。
伽耶を捨てなかったおかげで、ユシンは再びトンマンの味方になったのね。
そもそもの原因が消えたのだから、貴族たちも納得するでしょう。
そしてここでユシンとウォルヤが百済軍を撃退すれば、
神国を救ったものとして、功績が認められる。
チュンチュも、トンマン亡き後の自分の勢力を手に入れることができたし。
チュクパン兄貴に頼んでいたことってこれだったんだねー。
ああ!そしてソルォン公!
ソルォン公の死に際、ピダム存外動揺していたね。
私にはよく見えなかったけど(そういう描写が少なかったから)、
ソルォン公とピダムの間には、やっぱり何らかの絆があったんだろうな。
母が愛した人。(愛したと言ってもいいよね?)
ミシルの遺志だったとはいえ、母の死後、彼を支えてくれた人。
「人を欲するのは危険です……」と最後まで、ピダムの心配をしてくれた人。
ソルォン公は、ピダムを自分に似ていると言ったね。
人を恋する気持ちが似ていると。
「セジュ……お会いしたいです」
なんて純愛なんだ!すでに老境のくせに!しみるぜ!
ソルォン公はずるいんだよねー。
若い頃は好きな人と一緒に修行したり戦ったりして過ごせてさ、
壮年のいい時期には情人として子までなしてさ。
いつでも触れられるって、貴重だよ。
実はソルォン公に似ているのはピダムだけじゃなくて、
やっぱりユシンも彼に似ていると思うのね。
その一途さとか、武将魂とかが。
「負け続ける人生」を選べる人間性が。
この悔しさとか、でもそれを選ばねばならなかった想いとかを、
ユシンが理解してくれてて、ソルォン公は嬉しかったと思う。
ミシルにとってのソルォン公が、トンマンにとってのピダムとユシンだったのね。
ふたりに分かれちゃったから争っちゃうんだねー。
前回は上から目線でいろいろ暗躍していたピダムですが、
(まぁすべてトンマンにはお見通しではあったが)
今回はまたかわいそうなピダムに逆戻りです。
「ソルォン公が勝てば、あなたの望むものも手に入るでしょう」だって。
年下のチュンチュに言われてむかつくよね。
あんたがうちの叔母さんに惚れてることなんてみんな知ってるよ、みたいな。
昔っから小賢しい嫌味な奴だったよな、ケッみたいな態度のピダムですが、
もうあなたの欲望がわかりやすすぎるから仕方ないんですよ……。
そして一生懸命トンマンのために神国を救おうとするピダム君なのですが、
いかんせん、彼は隊を率いて戦場に出たことなんてなくて、
こういう場合はからっきしなんです。
情報戦とかスパイ合戦とか得意だけど、実戦はね……。
頼みの綱のソルォン公も亡くなってしまったしさ。
そして、ピダムはまたもやユシンの愚直なまでの真心に、衝撃を受けるのでした。
自分の保身などひとつも考えておらず、
ただ神国を、トンマンを救うために、すべてをささげる男。
プライド?恋心?そんなものは犬に食わせろ。
陛下さえご無事であれば、神国をお救い出来れば、
自分は殺されたってかまわないのだ。
そんな態度のライバルをみたら、自分がどんだけちっぽけか、と思うよねぇ。
くそっくそっと思うよね。
ユシンの作戦を自分の作戦みたいに提案して、チュジン公に戦いに行かせる司量部令ピダム。
彼もまた、自分のプライドを捨てて、トンマンのために実をとったわけだ。
彼なりに、必死にトンマンのために尽くしているつもりなんだよねー。
と・こ・ろ・が!
ユシン、上将軍に再任!
なんですとー!
だいたいウォルヤがチュンチュと現れたんだって寝耳に水だ!
俺に断りもなしにユシンは牢から出て、将軍のかっこして現れてるし、
ぜんっぜん聞いてないし、なんなの!これ!
すごく傷ついた顔してますよ、トンマン、気づいてあげて。
ピダムの目がうるうるしちゃって、本当にかわいそうなの……。
トンマンはやっぱりユシンが好きだし、一番信頼しているのは奴なんだ、
神国を救った者にはすべての権限をやると言ったが、
それをユシンに与えるために、
彼の命を救うために、
トンマンが必死で工作をしていたんだ、と
ピダムは思ったことでしょう……。
まぁ……事実、そうなんだろ……。
だいたいユシンを陥れたのはピダムなんだし、
人を呪わば穴ふたつってやつだよな……。
はぁ~、だいたいなんでこんなことになっちゃったのかなー。
トンマンが、富国にばかり目が行っていて、強兵が追いつかなかったってのもあるだろう。
ユシン軍に頼りっきりだったのに、肝心の将がいないってのも問題だったろう。
だいたいピダムは百済軍の動きに目を配ってなかったのかよ?
う~ん、いろいろ重なったんだわなぁ。
そもそも大耶城が落ちたのが悪いんだけどさ、
別に黒のつく名前の人がいなくたって、こっそり人をやっとけばよかったんじゃないの?
門のところを必ず夜中過ぎに、そーっと見守るように言いつけて、
誰か一人でも潜入させておけばよかったじゃん。
ピダムが、ユシンを本当に信じていて、
神国のことを本当に大事だと思っていれば、
そんな風なスパイっぽい人を送り込むなんて簡単なことだったでしょ?
それができなかったことが、敗因だよね。
ピダムのユシンに対する敵愾心。
ひいては、ピダムがトンマンに持っている恋心こそが、
この神国の危機を招いたといえましょう。
敵の赤かぶとの鬼神、とか言われてドキッとしたのはガンダム世代じゃないですか。
強い敵はたいてい赤なのか?
彗星のごとく現れるのはたいてい赤いのか?
私、敵は赤いかぶとをいくつもの部隊が常備しているんだと思います。
かく乱作戦じゃないの?
次回、ユシンが敵を蹴散らしてくれると信じてるけど、
けっこう脆弱だった新羅の守りは大丈夫なのか?
ピダムはどうするんだい?
ソルォン公の言うとおり、もっと大きな夢を持つの?
確かにこのままじゃ、トンマンは手に入りそうにないよね……。
気苦労が多すぎるアルチョン公。でもかっこいいわ~。
なっかなか第56話を観ることができませんでした。
もったいないから……とか、時間がないから……ではなくて、
なんだかこう、腑に落ちないというか……。
もちろん、ピダムの想いとか、ユシンの頑固なほどの真っ直ぐさとか、
そうそう、とうなずきながら観ていたのですが、
肝心のトンマンがよくわからなかったの。
すべてが理解できなければ楽しめない、わけじゃないけれど、
基本、彼女が好きになって観ていたわけで、ちょっと困惑しました。
どうとらえたらいいのかな、と悩んじゃったのね。
共感する部分がすくなかったのかな?
恋と野望の間で揺れる女心が表現したかったのかもしれないけど、
それは私にはうまく伝わってこなかったです。
わかんなくても、「わかんないけど面白い!次はどうなるの?」と
気分が乗ることは多々あるのですが、
今回はそうしたドライブ感も湧きあがらず……。
しかし悩んだまま、トンマンを信じてやっとこさ視聴です!
視聴後の感想がどんなものになるのか、自分でも楽しみです。
《あらすじ》
ユシン軍を率いて、戦に出ることになったソルォン。
もし勝利して戻ったら、兵部の全権を委任して欲しいとトンマンに要求する。
神国の危機を取引に利用するのかと聞かれたソルォンは、
三韓統一の大業を果たす手伝いがしたいというのだ。
「ソルォン公の願いは、それだけですか」
「三韓統一のお手伝いをいたします。ですから、私が勝って帰ったあかつきには
ピダムとご婚姻を。陛下」
「ピダムの恋心が、私には怖いのです。
数々の偉業をなしたチヌン大帝はただひとつ間違いを犯しました。人です。
信頼していた配下の人を、すべてミシルに奪われた。
神国ではなく、ミシルに忠誠を誓うものに阻まれて、後継者を立てられなかった。
違いますか?」
ソルォンは、返す言葉もない。
「私の死後も、ピダムは神国に忠誠を誓い、
神国の大業に全精力を傾けるでしょうか?」
ソルォンは、ユシンに呼ばれ監獄へ会いに行った。
ユシンは、現在の百済軍の機動力について語り、情報を伝えた。
「私に、戦に勝てと?
私が勝って帰れば、ユシン公の命が危なくなるのですよ」
「勝ってください。その後のことは、その時考えます」
ソルォン公が選んだ敗者の人生を、ユシンもまた選んだのだ。
もしユシンを死なせるとしたら、トンマンはきっと戦場で死なせることを望むだろう。
ソルォンは、久しぶりの出陣に胸を躍らせていた。
ピダムのためであっても、戦いを前に気持ちが奮い立つ自分がいる。
やはり自分は、骨の髄まで武将だったのだ。
出陣の前に、ミシルの霊廟で位牌に語りかけるソルォン。
「ピダムは私と同じようです。誰かを慕う恋心が似ています。
恋心など捨ててしまえとおっしゃった璽主に似るべきでしたのに」
ミシルの最後の望みを叶えるために、ソルォンはこの戦に必ず勝利するつもりだ。
「お会いしたいです……セジュ」
トンマンはチュクパンに頼んで、
密かに復耶会ウォルヤに接触する機会を作っていた。
アルチョンだけを供に、チュンチュとトンマンはウォルヤに会いにゆく。
彼らの提案は三つ。
一つ目は、これまでと変わらぬ、伽耶民への善政。
二つ目は、伽耶出身者の戸籍の廃棄。
三つ目は、この内容を勅書として残すという約束。
それゆえ、ユシンをいただく復耶会を解体せよ。
「それで我々に何をお望みですか?」
トンマンらの望みは、復耶会の名簿の提出と、武装解除。
そして今後は、ユシンではなく、チュンチュの配下に入ること。
「もしこの提案を拒めば、お前のせいでユシンが死ぬ。
お前のせいで伽耶民が死ぬ」
猶予は三日。
宮殿に帰り、アルチョンに厳しく叱られるトンマンはひるまない。
ユシンを得るためにしたことだ。
これくらいの度胸を見せねば、ウォルヤも従うまい。
困難だからこそ、やり遂げれば、人を得られるのだ。
これはチュンチュのためでもある。
トンマンの死後に不安を抱く復耶会と、トンマンの死後、王位を狙うチュンチュを
つなぐことができた。
ひとり寝所で涙を流すトンマンの心境はいかにか。
ユシン軍を率いて戦に出たソルォン公が、敗れて帰ってきた。
神出鬼没の赤かぶとの遊軍にしてやられたというのだ。
新羅の兵の怯えようも尋常ではなく、その「鬼神」に呑まれてしまっている。
「ピダム公、璽主の最後のお言葉に従ってください」
苦しい息の下、ソルォンは訴える。
「人を……人を目標とするのは危険です。
もっと大きな志を、もっと大きな夢を持つのです……。
さもなくば、私のように2番手の道を歩むことになります……。
璽主の……璽主のご遺志に……従うのです……」
事切れる直前、ソルォンは少しほほえんだかのように見えた。
涙を浮かべ、ソルォン公の手を握るピダム。
ソルォン公は、死ぬ前にユシンに手紙を残していた。
百済軍は、1日に8里を進む速さで移動し、恐るべき遊軍がいたと。
彼もまた軍人として、ユシンに後を託したのだ。
ユシン軍が破れ、もう後がない新羅。
民や貴族の間では、ユシンに兵を率いて欲しいと望む声が上がっている。
ピダムは怒り、声を荒げる。
「罪人に国を救ってもらおうというのか」
ユシンは、ピダムの怒りなど知ったことではない。
今は神国を救うことが第一なのだ。
ユシンはピダムを牢に呼び出して、作戦を説明する。
どこか上の空のピダムに、ユシンは胸ぐらをつかんで怒鳴った。
「私を殺したければ殺せ、軍事権も奪うがいい。
ただし、神国を救った後にしろ。それまで、まて」
ピダムは黙って、作戦図を持ち帰った。
粗末な囚人服の背中一面に黒炭で描かれた作戦図を握りしめ、
ぐっと奥歯を噛みしめるピダムは何を思うのか。
復耶会との取引期限が来た。
どれほど待っても、ウォルヤは来ない。
しびれを切らしたトンマンは、自ら復耶会の砦に乗り込んだ。
彼女を守るのはただアルチョンの刀のみ。
復耶会の面々に刀を向けられ、取り囲まれたトンマンは、
伽耶人たちの戸籍簿を火の中に投げ込んだ。
「これでも信じぬか。
何をすれば信じる。何をすれば、お前たちはわたしの民になってくれる?
対立し、ユシンを殺し、お前たちを殺し、お前たちは新羅人を殺す。
そうしたいのか?
本当に、それでいいのか?!」
そこへ、侍衛府を連れてチュンチュが乗り込んできた。
トンマンは、これはウォルヤに対する最後通告だという。
そしてチュンチュに、ウォルヤを説得せよと言い残した。
もしも説得できない場合は、チュンチュともども、復耶会は皆殺しだ。
戦場から上がってくる報告は、危機的状況を知らせる。
チュジン公の部隊も百済軍に敗れ、このままではソラボル陥落も時間の問題だ。
一体この状況をどうすれば……。
便殿会議のさなか、ヨムジョンが駆け込んでくる。
「陛下!たった今、武芸場に……」
武芸場には、チュンチュと、仲間を連れたウォルヤがいた。
「復耶会の長ウォルヤは、陛下とチュンチュ公にすべてをゆだねます!」
チュンチュが説得に成功し、復耶会全員の名簿と王への忠誠を手に入れたのだ。
満足そうなトンマン。
驚きの表情のピダム。
「では、ユシンを呼びなさい」
ユシンは、武者姿で皆の前に現れた。
「罪人に軍を任せるなど!」
「お考え直しください!」
口々に言う貴族たちに、トンマンは言う。
「ユシン公が率いてこそのユシン軍です」
そして、剣を持ってこさせたトンマンは、ユシンを呼ぶ。
「上将軍ユシン」
「はい、陛下」
「そなたを上将軍に再任し、此度の戦における王の全権と軍の統帥権を委任する。
新羅の領土を守り、神国を救え」
トンマンはユシンに刀剣を賜った。
「上将軍キム・ユシン、身命を賭して戦います」
微笑むトンマンとチュンチュとは裏腹に、衝撃に震えるピダム。
(つづく)
なんつーか……。
やはり
トンマンは、野望を持ってなんぼの女。
彼女がきらりと光るのは、英雄として生きる瞬間ですよ!
命を賭して、ウォルヤに会いに行くトンマン。
そこでウォルヤの情に訴えて同盟を頼むわけではなく、
伽耶の民に最後の情けをかけてやろう、と、あくまで上から目線で(王だし)交渉する強さ。
ホントはこの提案を呑んでもらわなければユシンを殺さなきゃいけないし、
彼女だって必死なはずなのに、一切そんな気配は見せない。
この交渉力は大事です!
弱みを見せた時点で不利なんだわね。
その弱みは、ウォルヤが来ないので、復耶会の砦に乗り込んじゃうことでもわかる。
交渉決裂!で帰ったっていいのに、わざわざ行ったんだよ?
しかし、「それほど俺らが欲しいのか」と相手が強気になっちゃう前に、
伽耶人名簿を火にくべるというパフォーマンス。
敵視していた王とはいえ、本気の体当たりに、復耶会の人々は動揺したのね。
そして!チュンチュを人質同然というか、ほぼ生け贄として置いて帰る!
「私の後ろで楽をするな」を実践した!
我が子を谷に突き落とした獅子王ですね!
チュンチュはウォルヤを説得できなきゃ一緒に殺されちゃうのよ~!
す、すごすぎる。
王として、王を狙うものとして、しのぎを削り、
育て、育てられ、より強大な神国の指導者となっていくわけだねー。
良い治世は、豊かな国を作る。
結果、神国は繁栄していくわけだ。
うんうん、面白かった。
久々に元気なトンマンを堪能したぞ。
ウォルヤを味方につけたおかげで、ユシンを殺さずにすんだ。
伽耶を捨てなかったおかげで、ユシンは再びトンマンの味方になったのね。
そもそもの原因が消えたのだから、貴族たちも納得するでしょう。
そしてここでユシンとウォルヤが百済軍を撃退すれば、
神国を救ったものとして、功績が認められる。
チュンチュも、トンマン亡き後の自分の勢力を手に入れることができたし。
チュクパン兄貴に頼んでいたことってこれだったんだねー。
ああ!そしてソルォン公!
ソルォン公の死に際、ピダム存外動揺していたね。
私にはよく見えなかったけど(そういう描写が少なかったから)、
ソルォン公とピダムの間には、やっぱり何らかの絆があったんだろうな。
母が愛した人。(愛したと言ってもいいよね?)
ミシルの遺志だったとはいえ、母の死後、彼を支えてくれた人。
「人を欲するのは危険です……」と最後まで、ピダムの心配をしてくれた人。
ソルォン公は、ピダムを自分に似ていると言ったね。
人を恋する気持ちが似ていると。
「セジュ……お会いしたいです」
なんて純愛なんだ!すでに老境のくせに!しみるぜ!
ソルォン公はずるいんだよねー。
若い頃は好きな人と一緒に修行したり戦ったりして過ごせてさ、
壮年のいい時期には情人として子までなしてさ。
いつでも触れられるって、貴重だよ。
実はソルォン公に似ているのはピダムだけじゃなくて、
やっぱりユシンも彼に似ていると思うのね。
その一途さとか、武将魂とかが。
「負け続ける人生」を選べる人間性が。
この悔しさとか、でもそれを選ばねばならなかった想いとかを、
ユシンが理解してくれてて、ソルォン公は嬉しかったと思う。
ミシルにとってのソルォン公が、トンマンにとってのピダムとユシンだったのね。
ふたりに分かれちゃったから争っちゃうんだねー。
前回は上から目線でいろいろ暗躍していたピダムですが、
(まぁすべてトンマンにはお見通しではあったが)
今回はまたかわいそうなピダムに逆戻りです。
「ソルォン公が勝てば、あなたの望むものも手に入るでしょう」だって。
年下のチュンチュに言われてむかつくよね。
あんたがうちの叔母さんに惚れてることなんてみんな知ってるよ、みたいな。
昔っから小賢しい嫌味な奴だったよな、ケッみたいな態度のピダムですが、
もうあなたの欲望がわかりやすすぎるから仕方ないんですよ……。
そして一生懸命トンマンのために神国を救おうとするピダム君なのですが、
いかんせん、彼は隊を率いて戦場に出たことなんてなくて、
こういう場合はからっきしなんです。
情報戦とかスパイ合戦とか得意だけど、実戦はね……。
頼みの綱のソルォン公も亡くなってしまったしさ。
そして、ピダムはまたもやユシンの愚直なまでの真心に、衝撃を受けるのでした。
自分の保身などひとつも考えておらず、
ただ神国を、トンマンを救うために、すべてをささげる男。
プライド?恋心?そんなものは犬に食わせろ。
陛下さえご無事であれば、神国をお救い出来れば、
自分は殺されたってかまわないのだ。
そんな態度のライバルをみたら、自分がどんだけちっぽけか、と思うよねぇ。
くそっくそっと思うよね。
ユシンの作戦を自分の作戦みたいに提案して、チュジン公に戦いに行かせる司量部令ピダム。
彼もまた、自分のプライドを捨てて、トンマンのために実をとったわけだ。
彼なりに、必死にトンマンのために尽くしているつもりなんだよねー。
と・こ・ろ・が!
ユシン、上将軍に再任!
なんですとー!
だいたいウォルヤがチュンチュと現れたんだって寝耳に水だ!
俺に断りもなしにユシンは牢から出て、将軍のかっこして現れてるし、
ぜんっぜん聞いてないし、なんなの!これ!
すごく傷ついた顔してますよ、トンマン、気づいてあげて。
ピダムの目がうるうるしちゃって、本当にかわいそうなの……。
トンマンはやっぱりユシンが好きだし、一番信頼しているのは奴なんだ、
神国を救った者にはすべての権限をやると言ったが、
それをユシンに与えるために、
彼の命を救うために、
トンマンが必死で工作をしていたんだ、と
ピダムは思ったことでしょう……。
まぁ……事実、そうなんだろ……。
だいたいユシンを陥れたのはピダムなんだし、
人を呪わば穴ふたつってやつだよな……。
はぁ~、だいたいなんでこんなことになっちゃったのかなー。
トンマンが、富国にばかり目が行っていて、強兵が追いつかなかったってのもあるだろう。
ユシン軍に頼りっきりだったのに、肝心の将がいないってのも問題だったろう。
だいたいピダムは百済軍の動きに目を配ってなかったのかよ?
う~ん、いろいろ重なったんだわなぁ。
そもそも大耶城が落ちたのが悪いんだけどさ、
別に黒のつく名前の人がいなくたって、こっそり人をやっとけばよかったんじゃないの?
門のところを必ず夜中過ぎに、そーっと見守るように言いつけて、
誰か一人でも潜入させておけばよかったじゃん。
ピダムが、ユシンを本当に信じていて、
神国のことを本当に大事だと思っていれば、
そんな風なスパイっぽい人を送り込むなんて簡単なことだったでしょ?
それができなかったことが、敗因だよね。
ピダムのユシンに対する敵愾心。
ひいては、ピダムがトンマンに持っている恋心こそが、
この神国の危機を招いたといえましょう。
敵の赤かぶとの鬼神、とか言われてドキッとしたのはガンダム世代じゃないですか。
強い敵はたいてい赤なのか?
彗星のごとく現れるのはたいてい赤いのか?
私、敵は赤いかぶとをいくつもの部隊が常備しているんだと思います。
かく乱作戦じゃないの?
次回、ユシンが敵を蹴散らしてくれると信じてるけど、
けっこう脆弱だった新羅の守りは大丈夫なのか?
ピダムはどうするんだい?
ソルォン公の言うとおり、もっと大きな夢を持つの?
確かにこのままじゃ、トンマンは手に入りそうにないよね……。
気苦労が多すぎるアルチョン公。でもかっこいいわ~。
女優さんのヌードが話題になった映画だそうで、
ちょっと気恥ずかしいこともあり。
ナムギルさんの色気を堪能したかったら、「赤と黒」観ればいいか、と思ったり。
(まだ最後まで観ていないですけど……)
映画「パイレーツ」は観たいけど、ドラマ「サメ」は観なくてもいいかな。
好きな役者さんを追いかけて作品を観るのは楽しいですが、
やはり好みに合うものもあれば合わないものもありますね。
痛々しいと言うか…
人から信頼されるには、まず自分が人を信頼しないといけないのに…
ホントにムンノ、恨みます。
実は、テレビ放送を録画していたのですが、
いつまでも見れないから、今回DVDを借りてきたんですよ。(笑)
そのついでに、ナムギルさんの映画
「美人図」を一緒に借りました。
内容は、まぁ、ムニャムニャ…でしたが
(;^_^A
トンマンとであった頃のピダムのようなナムギルさんに会えて、
嬉しかったです( ; _ ; )
黒い顔で、ニカッと笑うと白い歯がこぼれて…
思わずピダム~と呼んでしまいました。
前回の「神国を救ったものに……」発言からの、女王らしいふるまい。
ミシルをお手本に、というのはあると思いますね。
なんだかんだ言ってミシルもトンマンを導いていたところがあったし。
恋に生きられなかった宿命を背負った似たもの同士なのよ、ふたりは。
ピダムはほんとにかわいそう……。
母に捨てられ、父と慕った師に恐れられ、愛を知らずに育った男。
誰か俺を愛してくれよ!と全身全霊で叫んでいるのに、
それがかなわないんだわよ。
だって友達すらいないじゃん?
ほんとに恨むよ、ムンノ……。
ピダムはさー、チュンチュとかユシンとかみたいに
トンマンに信頼されて、命令されて、
ご苦労。とか言われたいんでしょ?
だったら何故、ミシル一派と仲良くしてるわけ?
そんなことして、あれこれ策略めぐらせてるから、
結局カヤの外に置かれて涙目になることになるんでしょーが!
トンマンは、やっぱりミシルをお手本にしてるところがあると思うのです。
いろんな男達に尽くさせたミシルだけど、
恋したのは神国だけというところを
見習わなきゃ、と思ってると思うのです。
それを理解して、二番手でも尽くし続けたソルォン公の純愛!
そのくらいじゃないと、ダメなんだよ、ピダム( ; _ ; )
仕方ないよね、愛されたことがないんだもん。
愛し方なんかわからないよ( ; _ ; )
辛すぎる~( ; _ ; )