いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

【無韓系】ハンニバル Season1 4~6

2015年08月26日 | 無韓系日記
結局6話まで観ておさらいの必要性を感じ、
借りてきましたよ、原作本。

「レッド・ドラゴン」
「羊たちの沈黙」
「ハンニバル」
「ハンニバル・ライジング」

映画の方は、「羊たちの沈黙」と「ハンニバル」を。

とりあえず羊たちを読んで、観て、
今はレッド・ドラゴンを読んでいるところです。

このテレビドラマは、どうも「レッド・ドラゴン」を下敷きに描かれているようです。
う~ん、だとすると最後まで読み進めるのはアレかな?
でも完璧コピーなわけじゃないし、いっか。
とにかく読み進めれば、レクター博士の人間像が多少なりとも見えてくる……はず。

全作制覇するまで、とりあえず4~6を自分なりにおさらいしておきましょ。

4 ウフ

ウィルは、ホッブスの思考を追い、彼と同化することで
彼を追い詰め、最終的には射殺することになりました。
そのせいで、精神的に非常に不安定になりますが、
不気味な殺人事件はとどまることを知りません。
彼はジャックに協力し、事件を追い続けます。

今度は、腐りきって蛆のわいた食卓に突っ伏して死んでいる家族です。
彼らはなぜ抵抗もせずに、殺されていったのでしょう?
最後に殺されている女性。彼女は犯人を許していた。
母親だから……。
何軒かの被害家族を調べるうち、
犠牲者の家庭には必ず行方不明の子どもがいるとわかりました。

自身も問題を抱えていた子どもだったウィルは、家族を対象にした事件を前に、
ナーバスになります。
何匹も捨て犬を拾いともに暮らし、今度はアビゲイルを保護しようと思うウィル。
一方レクター博士は、秘密を共有したアビゲイルと親密さを増して行きます。
トラウマを探るため、とキノコのお茶をすすめ、彼女を影響下に置こうとし、
アラーナ・ブルームと対立することになってしまいました。

事件の犯人は、誘拐された少年たち。彼らを扇動するのは、母親役を演じる女性でした。
こどもたちを精神的に支配し、本当の家族を殺させることで疑似家族を完成させようというのです。
しかし、捜査の結果ぎりぎりのところで最新の事件を食い止めることができました。

家族とはなんでしょう?忌まわしい血のつながり?それとも……。

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腐った食卓と家族。
ずっと思っていたけれど、残虐な死のシーンもスタイリッシュというか
芸術的に感じるのは、テレビからはにおいがしないからじゃないのかな~。
登場人物たちは、汗もかかないのである。血しぶきは飛ぶけど。

この回では、初めて鼻を覆う捜査官の様子が描写されました。
よく、新人が殺人現場で吐いたりしてるけど、
さすがFBI捜査官にはそんなやわなやつはいないです。
でも今回だけは臭すぎたんだろうなー。

死のにおい。死の温度を体感したことが無いから、
こういうドラマを平気で観ていられるのかも。
そんな自分が怖いですね。
ま、普通の人は、さいわいなことに身近な人間の普通の死しか
体験することはありません。
つらい経験ではありますが、看取りを終え、悲しみを乗り越えていく過程を
穏やかに受け入れていく。
暴力的な死、尋常ならざる死を体感した人たちの苦しみはいかばかりか。
圧倒的な共感力を持つウィルが精神の均衡を失っていくのも当然といえましょう。
しかもこの人、罪を犯した人間に共鳴していくんですから。

博士がアビゲイルに出すキノコのお茶。2話目と通じる感じ。
ドラマの根底に菌糸がはられているような気がします。
ともかく毎回人肉食わされているであろうジャックがお気の毒。
家族のイメージ。3話目ともつながりますね。

ウフは、卵料理のことらしいです。ウフ。かわいい響き。

5 コキーユ

ウィルは幻想の中の大鹿とともにさまよい、現実には夢遊病の症状が出始めます。
彼が頼るのは、レクター博士です。

そこへまたもやおそろしい事件が舞い込んできます。
モーテルで犯された殺人。
一組の男女が、まるで祈りを捧げるような格好でベッドの脇にひざまづき、
その背中は大きく肉をはがれ、つられ、天使の羽のようにしつらえられています。
天使に見守られて眠る犯人の心境とは?

ウィルは犯人とシンクロします。
被害者に羽を与え、高めてあげる。そうしてやっと犯人は安らかに眠れるのでは?
検査の結果、彼は脳腫瘍に犯されており、就寝中の死を恐れていることがわかりました。
犯人は、犠牲者を選んでいますが、それはすべて重罪犯でした。
彼の目には、なぜか犠牲者に適した人間たちの顔が炎に包まれて見えるのです。

天使に見立てる殺人は続きますが、ウィルには犯人の意図が理解できません。
レクター博士の誘導もあってか、ジャックにもひどい口をきいてしまいます。
まわりの人間は彼を心配します。
ジャック自身も妻の様子に不審を抱き、心穏やかではいられないのです。

ジャックの妻、ベラはガンに侵されていました。
彼女はレクター博士にカウンセリングを依頼します。
犯人の妻を尋問したジャックは、その過程で、妻の病気に思い至ります。
妻の証言をもとに農場へ出かけたウィルとジャックは、
自らも天使になって死んでいる犯人を発見しました。

おかしくなりつつある自分。自分は耐えられるのだろうか?
いつか彼のように自らを追い込んでしまうことになるのでは?
ウィルは不安になっていきます。レクター博士の言うとおり、ジャックと離れるべきなのか?
悩んだウィルはジャックに話すのですが、
「ではやめろ」とあっさり言われてしまいました。
なんだか見捨てられたような気分。
ウィルは思った以上に傷ついてしまいます。
そして犯人が自分に語りかける幻想を見てしまうのです。

ジャックはレクター博士の診療室で、妻と病気について話し合いました。
孤独を望む妻。愛するものを失うという最悪の結末を前に、ジャックは苦悩します。
お互いを愛する故に、ふたりの想いはすれ違っていました。
しかし、ふたりで乗り越えるしかない、受け入れるしかないことだと、わかっているのです。
ジャックも、ベラも。

ベラの病気を知り、ウィルはジャックにそっと寄り添います。
一度は喧嘩別れしかけたふたりの関係も、また修復されていくようです。

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ジャックの奥さん、ガンだったんですねぇ~。
途中までうまいことミスリードされて、てっきり浮気だと思っていました。
ジャックもそう思っていたんですよね?
レクター博士だけは予想していたようですが。

愛する人を傷つけたくないし、
自分自身が傷つきたくないから、孤独な死を選ぶというベラ。
もうメンタル強いんだか弱いんだか。
そもそも彼女もエージェント。普通の女性とは違いますからね。
でもびっくりしたなぁ。
ええっ?って言っちゃった。

そしてウィルがどんどんあやうくなっていっています。
大鹿の夢に悩まされるだけでなく、夢遊病発動。
不安な彼は、レクター博士の誘導にどんどん引きずられて行く。
自身の特殊能力は自閉症スペクトラムの一種だと言われていますし、
脳機能に問題がある犯人との共通点が浮かび上がってくる。

自分と犯人は何が違うのか?

博士に植え付けられた不安の種が芽を出し、
ウィルくんを悩ませます。

う~、かわいそう。
そんな悩めるウィルくんのにおいを嗅ぐ、においフェチのレクター博士。
なんて官能的なんだ。
「僕のにおいを嗅いだ?」
「嗅いでみたくて」
なんなんですか、この会話。

博士がウィルくんへの興味を隠さなくなってて、
きゃーって感じですね。

犯罪者を追い詰めて捕まえて、っていうルーティンから外れかかった回なのか。
この辺から、博士とウィルくん、ジャックの関係が少しづつズレたり、
また近寄ったり、らせん状に変化していく予感がします。

ベラが動物愛護の精神からフォアグラ食べないでくれて本当にほっとしました。

しかしイチジク。
わたしにとっては、「田舎の家々の便所裏に生えている謎のおいしい果物」
「食べようとするとたいてい中にちっさい蟻がいる」くらいのものでしたが、
こうして美しい食卓に並ぶとエロティックな果物ですね。
日陰で十分育つらしいんで、たいてい家の北側に植わってるんですよ。
思えば実家の北側の日陰には、イチジクとザクロが植えられていた。
どちらも妖しい果実です。

コキーユとは、ホタテ貝のからに魚介を盛ってホワイトソースをかけて焼いたやつ。
グラタンかぁ。
なんでこの回、こんなタイトルなんだろう。ただの順番?


6 アントレ

ボルティモア精神障害犯罪者病院で、惨劇が起こりました。
ギデオンという囚人が、看護師を惨殺したのです。
彼は、妻と子を殺した、元外科医。
看護師殺害の様子から、「チェサピークの切り裂き魔」ではないかと疑われます。

ウィルとブルーム博士はギデオンと面会しますが、同一人物とは思えません。
本物をあぶりだすべく、ジャックは悪名高きジャーナリスト、と手を組みます。
ウィルはいやいや同意し、嫌悪感を隠そうともしません。

ジャックがそうまでして「チェサピークの切り裂き魔」を追うのは、自らの罪悪感からです。
彼は、若きFBIアカデミーの学生ミリアムを捜査に投入し、
結果彼女は行方不明。
おそらく犯人に殺されてしまったのだと確信しているのです。

ところが、死んだと思っていたミリアムから、ジャックに電話がかかってきます。
「助けて……わたしが間違っていました……ジャック、助けてください」
悲痛なささやき声が、胸を打ちます。
しかし、このタイミングでなぜ?彼女は生きているのでしょうか?

おそらく、ギデオンは偽物だと言いたい本物の「チェサピークの切り裂き魔」が、
彼にメッセージを送ってきているのでしょう。
電話の発信源を辿ると、そこには携帯電話を握りしめた女性の腕が転がっていました。

一瞬でも、ほんのわずかでも、ジャックは希望を持ってしまっていました。
ミリアムが生きているのかもしれないと……。
しかし、その希望は無残にも打ち砕かれました。

「せめて奥さんの病気については、希望を失わないで」
レクター博士は、傷心のジャックを励まします。
しかし同時に、ミリアムを殺した時の様子を頭の中で反芻しているのです。
背後から締め上げた細い首。
彼女の体から力が抜ける瞬間の陶酔。

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アントレ……ここへきてやっと前菜だ~?
すごいな、ハンニバル。

アントレは、肉料理と誤解されがちですが、
メインをお肉料理にしない場合に、この前菜でお肉を食べたため、
混同されているそうです。

というふうに調べたんだけど……あってるかな?
もうフランス料理って難しいわ~。

さて、わたくしがハンニバルシリーズ復習の旅に出たのは、
この回の視聴がきっかけであります。
「羊たちの沈黙」という映画を観た人なら、あれ?と思うシーンが満載ですよね。
自分でも忘れていた記憶が刺激されて、あれ?あれれ?ということで、
映画や原作にあたり直してみました。

ギデオンが看護師を殺すシーンは、
「羊」ではレクター博士のエピソードとして使われています。
そしてFBI訓練生のミリアム。
彼女はまんま、クラリス・スターリング。
ジャックに手紙を書いたんだけど返事が無くて云々、という細かいエピも、
原作からそのまま使われています。

ギデオンと、ドクターブルームやウィルが面接するシーンは、
クラリスとレクター博士の面接シーンそのもの。

何かと過去作品「羊」を想起させる作りになっていて、
いろんな意味でこの回は「アントレ」なのかも……と感じた次第です。

「羊」ではクラリスが大活躍し、無事帰還。
しかし今作のミリアムは、帰らぬ人となってしまいました。
ジャックの後悔がつらい。
彼もイケイケのやり手課長で調子に乗ってたんですね~、きっと。
捜査官がやったら問題になるような行為も、訓練生ならごめんね、テヘペロで済む、
というようなサゼスチョンを暗に示し、ミリアムを行かせた。
「チェサピークの切り裂き魔」みたいな狂人に、
まだまだひよっこのミリアムを差し向けるとは……。

「羊」のジャックは、最初から「えさ」だと思ってクラリスを使っていました。
その点、意識してなかった「ハンニバル」のジャックは甘ちゃんだったよなぁと思います。

そもそもなんでひとりっきりで捜査しているのか、というのは疑問ですが。
刑事はふたり一組でしょ?訓練生だから、特例だからいいの?

ジャックは苦しんでいるな、かわいそうだな、と思うと同時に、
今回出番の少なめだったウィルがとてもキュートに見えてきました。
特に新聞記者のと会うシーンなんか大好き。
本当にイヤそうなんだもん。
なんだか可愛いからいじめたくなる。
レクター博士の気持ちがよくわかりますよ~。

そしてギデオンに共鳴して看護師殺害の場面を追体験した直後のウィルくん。
キツイですよね、おぞましいですよね。
おそらく指には、目をつぶしたときのぐしゃりとした感覚までもが鮮明に残っている……。
く、くるしい……。

そのくせ、ギデオンとの面会や現場検証では、
冴えた洞察力を見せてくれて、ちょっとカッコいいの。
う~ん、愛おしい。
そうですよね~、レクター博士。

今回の見せ場は、やはりラスト。
ミリアムを殺したのは(あの場では失神させただけかと思われるが)
レクター博士だった……。
その驚愕の(でもちょっと予感してた)事実が明かされる場面

の、後!

なんともいえない表情で回想しているレクター博士の顔、が見せ場だと思います。
背筋がぞっとするとともに、非常に官能的。

強調されてはいませんが、ミリアムの首をしめる時、
たぶん博士はにおいを嗅ぎながらしめてたと思うのです。
彼女の髪のにおい、うなじのにおいを嗅ぎながら。
シャンプーやボディパウダーのかおりとともに、
体中から立ち上る恐怖のにおいが入り交じって、えもいわれぬ芳香があったのではないかと。

レクター博士、本当におそろしいのですけれど、
あの行為に及んだ際の表情や仕草が非常にセクシーでした。

アンソニー・ホプキンスのレクター博士は、
人を襲うとき、急に凶暴な獣みたいになっていました。
ぐぁうおぉぉぉぉ!みたいな。
こういう部分の解釈が決定的に違っています。

人が人を殺すとき、いったいどんな様相になるのか、
平和な時代に生まれ、穏やかな普通の生活をしているわたしには想像がつきません。
しかし、獣のようになってくれたほうが、どんなに心やすいかしれません。
人が人としての品位を保ちながら人を殺せるというほうが、
わたしにとってはおそろしいことです。

靴を脱いで、音を立てずに近寄ってくるレクター博士。
いえ、ここでは彼のことをハンニバル、と呼びたい気分です。
彼がウィル・グレアムを殺そうとするとき、
どんな顔をするのでしょうか?

アンソニー・ハンニバル・レクター博士がクラリスを殺せなかったように、
彼もまたウィルを殺すことはできないのでしょうか?

いつまでも観ていたいなぁ。
残念ながらSeason3でおしまいみたいですけど……。
どうにかなりませんか、テレビ業界のみなさん。


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