8月22日。涼しい嬬恋村を去る日がやってきた。
朝6時頃、JOYの散歩をしていると、秋田犬を連れている初老の男性に会った。
「ドーベルマンですね。懐かしい。」と言葉をかけられた。その方はこの40年来
さまざまな種類の犬と生活を共にしてきたが、今飼っている秋田犬が最後だと
決めているという。
昔、ドーベルマンを飼っていたころ、庭に投げ込んだ薬入りの肉片を食べてし
まい、泥棒の術中にまんまとはまってしまった話などを聞いた。JOYが何でも
口にするのを考えると、これはドーベルマンに共通する特徴なのかもしれない。
秋田犬は禁じられた食べ物は、決して口にしないそうだ。
その方はいろいろな犬種を飼ったが、最後は和犬に落ち着いたという。和犬
の方が心が通じると言っていた。連れている秋田犬を指して、「こんなお婆さん
になっても可愛くて・・」としみじみ話されていた。
「お話してくれて、ありがとう」という言葉を残し、その方は去って行った。私と
話すことで40年間に飼っていた犬のことを懐かしく思い出されたのであろうか。
飼っていた犬への思いは、いつまでも心の中に深く残っているものだということ
を痛烈に感じた。
最終日は、草津温泉の中央に湧いている湯畑を見学した。
湯畑とは、温泉の源泉を地表や木製の樋に掛け流し、温泉の成分である湯の花
の採取や湯温を調節する施設のことである。

桶から滝となって落ちる温泉は適温に冷まされ、ここから旅館や共同浴場に配られている。
泉質は日本有数の酸性度で、pH値はナント2.1。湯畑は草津のシンボルともいわれている。

ここでは高温で湧き出す温泉を長い湯桶を通して冷ます様子が見られる。
湯の花を沈殿させて採るための木の桶が並ぶ風景は、まさに日本三 大名泉、草津独特のもの。

毎分4600リットルもの湯が湧出しているという(ドラム缶25本分)。

湯畑というネーミングは、湯桶にたまった湯の花がとれることからつけられたという。
湯の花は年に3~4回の採取が行われ、にやげ店などで販売される。

近くにはこんな風情のある旅館が並んでいる。ホテルにはない日本的情緒が堪能できるに違いない。
(犬はたぶん泊まれないだろうけど・・)

草津温泉には「湯もみ見ショー」というものがあるらしい。

この中ではこんな風情が楽しめるという。

しかし、我々は時間の関係で見学を断念。
その代わりに、こんなことでお茶を濁しておくことに・・

草津温泉を後にし、白根山に向かった。

曲がりくねった道を、車で30分ほど登って行くと駐車場があり、そこからハイキングが楽しめる。

見晴らしのよい丘までのコースは、徒歩20分くらいなので子どもからお年寄りまで無理なく参加
できる。しかしここで、今日最初のトラブルが発生。MAMAはお腹の調子が悪くなり、ハイキング
を断念することになってしまった。

しかたなくAYAを先頭に、JOYと私の三人で出発。AYAが右手に持っていはスキーのストック。
出発地点に何本も置いてあり、自由に使うことができるようになっている。温かい配慮である。

ところどころで写真をとりながら、山道を登って行く。JOYにはちょっとつらいかもしれない。

私の顔を見つめ、「まだ登んなきゃいけないの?」とちょっぴり不満顔のJOY。

この3人の中で一番元気なのはAYA。
JOYはハアハアと舌を出して息をしてるし、私は骨折している脚の小指が痛む。

草津白根山河口展望台に到着。白根山は標高2160m。

ピースサインを出して元気な笑顔を見せるAYAと対照的にJOYは疲れ気味。

JOYはよほど疲れたのか、帰り道は道の脇にそれ、草地で何度も休憩をとっていた。

記念撮影の際も、JOYはもうカメラをむいてポーズをとる気力もないようだ。

白根山からの帰り道、本日2回目のトラブル発生。
車のガソリンがかなり少ないことを発見。出発の際、MAMAから給油することを勧められた
のだが「これくらい大丈夫さ」という私の判断がどうやら間違っていたようだ。山道なのでしば
らくは給油することができない。MAMAとAYAに気付かれないよう平静を装いながら、「山の
美味しい空気を吸うため、窓を開けてエアコンを切るよ」と少しでも燃料を節約して運転した。
ガス欠という最悪の事態は免れたが、緊張を強いられて冷や汗をかいた。実はAYAは私が
車の窓を開けた時点でガソリン不足を示すランプが点灯しているのを確認していたらしい。
それを口に出すと、MAMAが心配すると思って黙っていたと言っていた。
なんと母親想いの娘であろうか。
あっという間の3日間であった。AYAはとても楽しかったと言っていたが、JOYはどうだろう?
家族全員が昼夜を問わず行動を共にしたことで、群れの結束力は高まったかもしれない。
JOYが話せたら聞いてみたいものである。
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