本日、帰宅途中の電車に、盲導犬を従えた女性が乗ってきた。電車内で
盲導犬を見るのは初めてのことである。夜9時を過ぎているので、車内は
満員というわけではないが、それなりに混雑している。座席は一杯だ。
とくに何も考えず、座席に座っていた私はすぐに席を譲ろうと申し出た
が、丁寧に断られた。後で考えると、断られるのは当たり前だと思った。
盲導犬を連れて座席に座ることは、いろんな面で不便なことがあること
が分かったからだ。
盲導犬は白のラブラドールだ。小柄なワンちゃんで多分、体重は25kg程度
と思われる。電車に乗り込むと、その女性の傍に座っておとなしくしている。
周りの乗客には目もくれず、視線を下に落としてじっとしている。犬としての
本能である嗅ぎ取り行為もすることなく、自分の仕事に没頭している姿にと
ても感心した。犬の表情はペットとしての顔ではなく、仕事をするきりっとした
顔であった。
その女性は、3つ目の駅で降りていった。降りる駅が近づくと女性がリードか
らハーネスに持ち替え、それが合図なのか盲導犬は立ち上がった。目的の
駅に着きドアが開くと、落ち着いた態度で電車を降りていった。一連の動作
は実にスムーズで、見ていて安心感があるものだった。視覚障害者の命を
守る使命を立派に果たしている盲導犬に心から敬意を表したい。
よく見ると電車内にもドアの付近に、黄色い点字ブロックがあることを発見し
た。毎日利用している電車なのに、その存在に気がつかなかった自分に驚
いた。
点字ブロックがあるとはいえ、車内からホームへ降りることはたやすくは
ないと思われる。その女性は、なにげなく降りていったが、電車とホーム
の間にはかなり大きな段差があり、気をつけないと転倒の危険がある。
視覚障害者が誤ってホームに転落する事故が多いと聞くが、まだまだ安全
の面で、電車の乗り降りには多くの課題があることを、このラブラドールは
私に教えてくれた。
「僕だっておばあちゃんと歩く時は、いろいろと気を使っているんだよ。」(JOY談)
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