伊藤 克浩(べるお/Beruo)の「折れない心」ブログ

理学療法士伊藤克浩(べるお/Beruo)のサッカーとフットサル、そして理学療法に関するブログ。

神経科学な週末

2010年11月08日 | Weblog
 これは11月4日17時32分から7日20時にかけて起こった出来事である。

11月4日(木)・・
 仕事が終わって17時32分の電車で立川経由で川越に移動。埼玉医科大学保健医療学部教授高倉先生(以降カニさん)が駅に迎えに来てくれていた。埼玉医科大付属病院のスタッフと夕食。豚肉を中心としたメニューを美味しく頂いた。※メニューに泡盛菊の露があったせいで翌日こたえたな・・

11月5日(金)・・
 埼玉医科大学保健医療学部で4年生相手にセミナー講師をさせて頂いた。
講義3コマと実技1コマ。1コマ目は皮質下のお話。2コマ目は歩行の生理学。3コマ目は移動の生態心理学について話した。4コマ目は実技。
 それにしてもさすがカニさんの教え子。誰一人寝ている人がいなかったし。カニさんの目論見通り臨床実習明けなので患者さんのイメージも持てている感じだった。
 セミナー終了後、19時台の新幹線で大阪へ移動。その日は飲みに出る元気もなく部屋飲みして就寝。

11月6日(土)・・
 Lawes博士の運動学習講演に参加。まだ原著論文を読んでいないので私の解釈でしかないがあらすじはこうだ。
 基底核の関わる運動学習は遺伝子の影響を受け、DARPP-32 gene遺伝子を持っている人は成功を褒められて学習する。DRD2 gene遺伝子を持っている人はD2受容体が増加するので失敗から学ぶ。小脳の運動学習に関しては予定していなかった活動で(例えば10段あるはずの階段が9段だった)オリーブ核のスイッチがオンとなり機能する。
 小脳が関わる自動的な運動の学習には休息が必要で、その休息は寝ていても起きていても良い。線条体が関わる「注意が必要だけど簡単な課題」は寝ている間に再学習が行われるので睡眠が必要。「注意が必要で複雑な課題」の学習には休息が必要だが線条体が関わるので起きている事が必要。…といった内容。
 神経科学からすると365日24時間リハビリテーションは非科学的だという事になるのだろうか?

 13:00に講演会終わり新幹線で新大阪からお台場に移動。鈴木三央先生のはからいでタクシーで新大阪まで乗せた頂いた。お台場で夕方打ち合わせがなければ、Lawes博士との昼食会に参加し、鈴木恒彦先生・博士と共に新幹線で東京に移動、駅に迎えに来ている新保先生と合流して東京で食事・・となっていたのかもしれない。ただ、そこで英語脳に鋭気を吸い取られていたらシンポジウムどころでは無かったかもしれない。

 鈴木先生・博士より早い新幹線に乗車し夕方に品川に到着。その日は合同会社geneの張本さんのはからいで「東京ベイコートホテル」に宿を取って頂いていた。大森からりんかい線で国際会議場駅へ移動、夕焼けも綺麗だったので徒歩でホテルへ・・。
 ところがこのベイコートホテルは会員制で普通は歩いてチェックインする人などほとんどいないエグゼクティブ御用達のホテルらしく、ゲートから徒歩で入ろうとするとベルボーイ二人に止められてしまった。ホテル間違いかテロリストに見えたのだろうか?
 宿泊客であることを告げてチェックイン。ホテルは張本さんのシンポジウムに込めた気合いが感じられる高級ホテル。でも、もう二度と泊まることはないだろう。

 東京湾岸を眺めながらジャグジーで汗を流したところで張本さんから電話。張本さんと二人で畿央大学教授森岡周先生(以降周さん)、カニさんと7日のシンポジウムの打ち合わせを行うべく銀座にあるミシュラン三つ星の寿司店に移動。神経科学と教育論等で意気投合して話は尽きなかったがその日はシンポジウムに備えてホテルに戻り、就寝。

11月7日(日)・・
 シンポジウム当日朝8時、周さん、カニさんと朝食を共に頂いた。ヨーロッパの料理やシンポジウムの事を話し合い豪華な朝食を堪能。でもご飯と納豆、そしておみそ汁で気合いを入れて講演で喋るタイプの私には・・

 9時にチェックアウトし、3人で東京ビックサイトに移動。
 10時にシンポジウムがスタート。私はボバースコンセプトと皮質下の運動、姿勢制御について話した。次に周さんが認知神経科学、運動学習、そして(珍しく?)皮質下の話について講演。(詳細はご本人周さんのブログを参照)
 昼に休憩を取り、午後からは兵庫医療大学の佐野恭子先生がCIMTについて講演。そして最後にカニさん司会でパネルディスカッションを行った。
 佐野先生が「CIMTを行う中で、手の治療を行って姿勢が安定した症例がいたが、伊藤先生の講演を聴いてちょっと腑に落ちて勉強になった」と言ってくれたのが嬉しかった。
 私自身も佐野先生のCIMTの話を聞いてこう思った。

 口頭で正しいフィードバックにより修正できて、運動学習に繋がる症例、そして不使用が問題となる症例はCIMTも含めたハンズオフ治療で、そしてハンドリングで姿勢コントロールに対してアプローチが必要な人や、CIMTでは適応外となる人にはボバース概念に基づく神経リハビリテーションアプローチ等用いて必要な時間(CIMTで言うなら4~5時間)の治療を保険点数に関係なく行うことが出来ればある程度の成果を出せるのでは?

 シンポジウムが終了し、佐野先生が7時40分品川発の新幹線で帰るらしかったので、張本さんにお礼を述べて、タクシーで品川駅に移動、駅のバーでシンポジウムの打ち上げをした(写真)。
 何かを成し遂げた様な満足感と、さすがに疲れ切った4人は最初、口も重かったが、佐野先生のチャーミングさに引っ張られて(?)
 ・・そしてビールによるエネルギー充填によって盛り上がりは最高潮に・・佐野先生は後ろ髪引かれながらも新幹線の時間が来て帰路に・・。

 残った3人(私とカニさん、周さん)はさらに心理学や高次脳等々の話でさらに盛り上がった。このままずっと話していたいという気持ちになりながらも、周さんは雑誌の打ち合わせに・・そして私も山梨への帰路へついた。

追伸・・

 今回は自分の思いつきでtwitterを用いてリアルタイムに会場からの意見を取り入れるシンポジウムにトライしようとしたが、壇上の電波がいまいちで、たくさんのご意見を頂いたが後から読むことしか出来ず、その場でお答えすることが出来なかった。面白い企画ではあるなと思ったので、次回どこかで講演をするときには電波の良い場所で実現してみたいと思う。

 後から読めた多くの「つぶやき」には苦言も多く、申し訳ない気持ちも残った。「本で読めば分かる事を聞きたくなかった」という意見はさすがにこたえたな。ボバースに興味があって会場に来た人には私の目論見など関係なく、もっと臨床的な話を聞きたかったのでしょう。ごめんなさい。またどこかで・・

 品川駅で酔っぱらって周さんが最後、遠慮がちに「ベルさん」と私の事を呼んだ。
 嬉しかったな・・。
 周さんとは宮崎学会、よさこい祭りと続いていく。

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