残照日記

晩節を孤芳に生きる。

木鶏(もっけい)

2010-09-19 07:48:09 | 日記


∇白鵬が連勝記録を54に伸ばし、元横綱千代の富士の持つ連勝記録を抜いた。次は不朽の大横綱「相撲の神様」・双葉山の持つ69連勝を目指す。この双葉山、只者にあらず。座右の銘が「木鶏」だった。典故は中国古典「荘子」に載る話。以下に拙訳で掲げておこう。双葉山曰く、「虚心・無我なれば敵なし」。安藝ノ海に負けた時、師である安岡正篤に打った電報が「我れ未だ木鶏たらず。」

<木鶏>「荘子」(達生篇)

∇紀渻子という闘鶏調教師が王様のために鶏を飼いならしておった。
預けて十日、せっかちな王様が拝見にこられた。
王「どうだ、未だ仕上がらんか」
紀「まだでございます。空威張りして気を恃むところがあります」

それから又十日経ってこられて
王「どうだ、未だか」
紀「まだでございます。相手の声や姿を見てそれに応じて疾視します」

又十日経って伺われ訊ねた。
王「どうだ、未だか」
紀「もう殆ど宜しゅうございます。相手が鳴いても平然としています。
  遠くから見ますとまるで木作りの鶏のようです。その徳全し、です。
  他の鶏で向かっていこうとするものはなく、かえって逃げていってしまいます」