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2007-11-22 | 世の中のこと
“戦国”将棋界、最強は誰? 羽生の存在がレベル底上げ
2007年11月06日 ASAHI.COM

 将棋界が久々に戦国時代に突入した。かつて7大タイトルを独占し、「七冠ブーム」を巻き起こした羽生善治(37)は9月に王位を失い、王座・王将の二冠に後退。タイトルを5人で分け合う。羽生二冠が弱くなったのか、それとも他の棋士が強くなったのか。

 9月26日夜。羽生王位に深浦康市八段(35)が挑戦した王位戦七番勝負の最終第7局は、大詰めを迎えていた。残り時間が切迫、深浦八段は読み切れないまま「これしかない」と決断し桂馬を跳ねた。直後にその手が羽生玉への「詰めろ」になっていることに気付く。
 「いける」。深浦八段は何度も言い聞かせた。この瞬間、実は羽生王位に勝ちを決める奇跡的な返し技が生じた。大勝負のぎりぎりの場面で必ず正解を発見してきた羽生。だが、この日は正着に指がいかなかった。まもなく、5人目のタイトル保持者が誕生した。

 深浦王位が初めてタイトル戦に登場したのは96年の王位戦。羽生六冠(当時)が相手だった。「存在感に負け、勝負にならなかった」。11年たち、意識は大きく変わった。「『羽生さんだから』良い手を指すわけではないし、同じ人間だからミスもする」。盤上に徹する心境になれたことが勝利を呼び込んだ。
   ◇
 前人未到の七冠制覇、タイトル獲得67期、7割3分近い抜群の高勝率――。「羽生」の実績は圧倒的だ。王位戦敗退1週間後には王座戦16連覇の偉業を達成した。それでも90年代半ばの七冠時代ほど勝っているわけではない。何が違うのか。
 「人を寄せつけない鋭さ、常に戦っている緊張感を感じたが、今はだいぶ穏やかになった」と森内俊之名人(37)。03~04年、タイトル戦で3連続で羽生を破った唯一の棋士だ。6月には、最も歴史がある名人戦で羽生に先駆けて通算5期の「永世名人」の資格を手に。それでも「その時その時で羽生さんをしのぐ棋士が出ることはあるが、やはりトータルの実績で見ることが大切」と一目置く。
 羽生二冠と131局(引き分け含む)戦った佐藤康光棋聖・棋王(38)は「中・終盤の正確さは明らかに飛び抜けており、精度が落ちたとは思えない。(総合力で)七冠時代よりもおそらく強い。他の棋士も強くなったということでは」と話す。
 羽生二冠はいまの状況を自然に受け止めている。「七冠時代から常にぎりぎりの戦い。私自身の実感と周りの見方は相当のギャップがあり、それが埋まってきただけ」
 これまでの将棋界は絶対的な強さを誇る限られた棋士が歴史を作ってきたが、現代は「層の厚さ」が決定的に違う。
 羽生二冠自身が痛感している。「同年代でタイトルを取った棋士だけで8人目。今の若手同士の競争をみると、私が棋士になったころは随分楽だったと思う」
 「羽生世代」を追走する一番手、渡辺明竜王(23)でさえ、「自分が『羽生の次』と思われるかもしれないが、厳しい世界ですから地位を保つのは大変。第3グループに落ちる危機感もある」と話す。
   ◇
 大競争時代を招いたのは他ならぬ羽生二冠自身だ。「羽生以前」は盤に座ってから「力勝負」の様相だったが、「羽生以後」は対局前に突き詰めて研究するのが当たり前になった。「研究、感覚、読みのどこかに穴があったら駄目」(佐藤二冠)という時代だ。
 羽生二冠は現代将棋の厳しさを「バサロスタート」と表現する。事前の研究が、潜水するバサロスタート。水に浮かび上がって泳ぎ始める対局時にはすでに差がつく時代という。「理」を突き詰める余り、ここ数年は既存の常識を覆す新戦法も次々と登場しており、「まるでモダンアート。将棋のルールは変わらないが、競技の質は大きく変化している」という。
 大山康晴十五世名人はライバルを完膚なきまで負かし、コンプレックスを植え付け一時代を築いた。「羽生さんは周りを強くしながら勝ってきた。大山時代との一番の違い」と森内名人。
 競い合い高みを目指す戦国時代は、当分続くだろう。
   ◇
●王者の系譜
 将棋界の歴史には「王者の系譜」がある。戦前から戦後には、無敵といわれた実力制初代名人の木村義雄十四世名人、50年代からは大山康晴十五世名人、升田幸三実力制第四代名人、70年代からは十六世名人資格者の中原誠、米長邦雄永世棋聖らが棋界をリードしてきた。その後は83年に21歳で史上最年少名人になった谷川浩司九段(45)、羽生二冠らに引き継がれている。
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〈メモ〉
 歴史と格式の名人戦、賞金額最高の竜王戦を始め、棋聖戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦が7大タイトルと呼ばれる。いずれもタイトル保持者にリーグ戦やトーナメントを勝ち抜いた挑戦者が挑む「挑戦手合制」をとる。名人、竜王、王位、王将は先に4勝した方が勝つ七番勝負、他は五番勝負。タイトル獲得は棋士の最大の勲章で、故大山康晴十五世名人は通算80期、羽生二冠は同67期で歴代2位。
・・・・・・・・・
とうとう二冠に。

でも画期的な棋士であることに変わりはない。

飛び抜けた才能を著作にも注ぎ込み、それが同世代は勿論、次の世代を強くしたのも事実。

昔は本当にギリギリの研究は決して本にはしなかった。

今も本が出るとすぐに研究されてしまうから、やっぱり著者は少し先を行くのだが、そのちょっとの程度が昔と違う。

あと、やっぱりタイトル戦以外では、棋士の“ふるえ”が減ったのではないかと思う。

羽生時代の初期にも、羽生が自信を持って指すと相手が自滅するケースが良くあった。

でも最近は、そういう例は減っていると思う。

全体的に精密になり、強かにもなった。


でも良いやね。

こういう勝負の世界は。

本当に実力の世界だから。

さっぱりしてるよ。


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