アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ムクゲ - アオイ科のシベ

2024-08-11 15:00:00 | みんなの花図鑑
ムクゲ(自宅)

自宅のムクゲです。よく見る中心が紅い(日の丸型の)花です。




雄しべ筒の外周から段々になって花糸が出ています。


雄しべと雌しべは別物なので、雄しべ筒の中から雌しべが突き出しているわけで、その境界があるはずなのですが、このムクゲでは 花粉粒にまみれて 境界がはっきり確認できません。






中心部分に小さな花弁が一枚見えますが、おしべが花弁化しているところです。






ムクゲ(神社)

やはり中心部が紅いムクゲです。










自宅のムクゲでははっきり分からなかった 雄しべ筒と雌しべの境界。



あまり期待せずに撮ってみたら、今度はバッチリ写ってました (^_-)-☆





ムクゲ(八重)

八重のムクゲの花弁は 雄しべが花弁化したものだということです。



他の花では八重になるとシベが無くなってしまうものが多いのですが、ムクゲではシベがまるでなくなるまで花弁化することは、逆に、珍しいようです。








.

イソトマとミゾカクシ - キキョウ科

2024-08-10 15:00:00 | みんなの花図鑑
キキョウ科の似た者同士(´∀`)

イソトマ



イソトマ属(Isotoma)とはキキョウ科の属の1つ。オーストラリア、ニュージーランド、ソシエテ諸島、西インド諸島に10種程度が分布する。(wiki 「イソトマ属」)
普通、単に「イソトマ」というと学名: Isotoma axillaris、シノニム:Laurentia axillaris)のことである。オーストラリア原産。(同上)






属名の Isotoma は isos(等しい)+ tome(分割)の造語で、5枚の 花弁が同サイズであることを表したものだそうですが、私がこれをとりあげたのはむしろ 5枚の花弁が上2枚 下3枚に分かれていて、後述のミゾカクシの花弁を連想させたからです。
なので、いわゆる「イソトマ( Isotoma axillaris)」ではないのかもしれません。






もともと5本あった雄しべは葯を内向きにして合着し筒状となっています。雄しべ筒の中に花粉が排出された後、筒の中を未成熟の雌しべがゆっくりと上がってきて、外に顔を出すと、柱頭が2裂して受粉活動を始めます。〔2枚目の画像を参照〕




ミゾカクシ

ミゾカクシ (溝隠、Lobelia chinensis)はキキョウ科ミゾカクシ属の雑草。和名は、溝を隠すほど茂ることから付けられた。また、田の畦に筵を敷いたように生える様子からアゼムシロ(畦筵)ともいう。」(wiki 「ミゾカクシ」)




花弁が特徴的です。基本合弁花なのですが、先端が深く割れた唇形花なのです。
「ミゾカクシの花は、上唇が大きく2裂し、下唇が3裂するという表現になるが、元々合弁花なので「花筒の先端は5裂し」でもよいのかもしれない。」(植物雑学事典「ミゾカクシ(アゼムシロ)」)




そしてシベがまた特徴的です。鳥の嘴みたいな恰好をしているのです。




「花筒の上側は深く切れ込んで花の内部が見える。花柱の周囲には筒状に合着した雄しべの葯がある。」(同上)
「雄しべは上部で合着する。」




「雄しべは葯が合着して花柱を取り囲み、ヘビが鎌首をもたげたように見える。雄しべが花粉をだしてから、雌しべの柱頭が顔をだす。(野に咲く花)」(松江の花図鑑「ミゾカクシ(アゼムシロ)」)


そして・・・
「筒の先にある毛が押されると花粉が押し出されます。花粉が全部出たあとに雌しべがでてきます。」(沖縄の自然を楽しむ野草の本)」(同上)


(これまでの画像はすべて筒の先に雄しべの毛がある雄性期の花でした)

ここからは 雌性期の花です。

花粉が全て出ると柱頭が伸びてきます。




葯筒から伸びだした2裂する柱頭。







.




アオツヅラフジ - ブドウ科

2024-08-09 15:00:00 | みんなの花図鑑
雌花

アオツヅラフジは雌雄異株で、こちらは雌花です。



花はとても小さく、花のときの雌雄はこれ位近づいてみないと区別できません(笑)
この雌花は子房の周囲にたくさんの蜜が付いています。




アリが来ているのをよく見ますが、雄株で花粉をつけて別の雌株に花粉を届けるためには一度地上に降りなければならず時間がかかりそうですね "(-""-)"




子房は6つの部屋(心皮)でできていて、受粉すると花被片を落とし柱頭は黒くなり、6つの部屋(心皮)が6つの果実へと成長しだします。



青い果実
ひとつの雌花は6つの子房を持つので、首尾よくいけば、6つの果実が出来ます。



果実
秋には美味しそうなブドウの房が出来ますが、アオツヅラフジの果実には毒性があり食べられません。




アンモナイト?
ひとつの果実には アンモナイトの化石のような種子が必ず入っています。





雄花

果実の実らない雄花のほうは、(気づかれても)花のときにしか気づかれません。




それも小さな花なので、それと知らなけば見向きもされないでしょう。




アオツヅラフジの花は6数性で、花弁と萼片は6個、雌花の雌しべは6個ありました。




雄花の雄しべも6個あります。









.

中国大葉ヅタ、ノブドウ - ブドウ科

2024-08-08 15:00:00 | みんなの花図鑑
ブドウ科のつる性植物を2種類。

中国大葉ヅタ

最初は ナツヅタの仲間で、安城デンパークにある中国大葉ヅタです。
学名は Parthenocissus laetevirens


特徴は このごわごわして脈がクッキリ浮き出たこの葉です。
他には無いので、この葉を見れば 中国大葉ヅタと分かります。
実はこのツタにも花が咲いているのですが、分かりますか?!(^^)!






これがその花です。




今年は上のように地味な花ばかりしか見られなかったのですが、実はこの花には他のナツヅタに見られない特徴があります。



例年ですと、このように子房の下腹部?のほうがこのようにピンク色をしている特徴があります!(^^)!





ノブドウ













以下は10月になって撮ったノブドウの果実です。

ノブドウの果実はチャイナマーブルのようです。
だからといって、私は食べてみようとは思いません。



ノブドウの果実の色についての図鑑の説明には大きく分けると2つの説明があり、説明要旨が大きく異なっているのです。

説明 A : 果実は(緑色から順次)白色、(淡)紫色、青(碧・空)色となって成熟する。
 (日本の野生植物、原色日本植物図鑑、APG原色牧野植物大図鑑)

説明 B: 果実の色は虫(ノブドウタマバエとかブドウトガリバチ)が寄生して作り出したもの(いわゆる虫こぶ・虫えい)で、正常な果実はほとんどない(少ない)。
 (牧野新日本植物図鑑、樹に咲く花、植物の世界)

(以上、続・樹の散歩道「ノブドウの果実の多様な色は虫えい故なのか?
  そもそも正常な果実とはどんな色なのか?」より抜粋編集)




2つの説のうち、どちらが正解かは私には判りませんが、虫が寄生して出来るという説は一度聞くと(たとえそれが正解でなくとも)耳から離れないほど強烈なので、私は決して食べてみようとは思いません。それに観察すると熟した果実の表面って傷が多くありませんか? "(-""-)"

しかし、だからといって、採ってきたノブドウの枝をゴミ箱にポイ捨てしてはいけません。


野ぶどうは民間野草の中で驚異の効能の持ち主です。
脂肪肝、肝硬変(肝臓の線維)改善が組織培養実験で立証されています。血流循環の改善や免疫力が高まることで糖尿、高血圧、腎炎、リウマチ、神経通、肩腰膝肘の痛み、手足のしびれ、不整脈、花粉症に有効とされています。また、低下した臓器の働きを良くすることで、毒素分解、血行改善、抗腫瘍作用等も実証されています。

※ 参考文献等
・日本で野ぶどうについて記された本)
「磯崎常光、村上昌久 共著、薬草ウマブドウ、リヨン社1986年」
・野ぶどうについての記事
「獨協医科大学 中元隆明教授 野ぶどうエキスの生活習慣病に対する有効性を確認」
https://www.f-pw.jp/healtycare/nobudou.html


(以上、ふるさとチョイス「山形県西川町 束松農園の野ぶどう茶」 より)






.

サルスベリとミソハギ - ミソハギ科

2024-08-07 15:00:00 | みんなの花図鑑
サルスベリ
ミソハギ科のサルスベリ、いろんな色があります。



毎度同じコメントばかりですが、サルスベリのおしべには 不稔性の黄色い葯のおしべと稔性の黒っぽくて長いおしべの2種類があります。








サルスベリが属するミソハギ科は主に熱帯地方に分布するグループで、サルスベリ属は東南アジアからマレーシア、オーストラリアに分布します。屋久島あたりが分布の北限といえると思いますが、じつは本州でも鮮新世と洪積世の地層から果実が出土しており、古い昔に絶滅した植物です。
(びわこ文化公園植物だより 〔β 版〕「サルスベリ.pdf」)


















ミソハギ

一方、同じミソハギ科のミソハギ。 サルスベリの花とどこが似ているのか? ちょっと分かりません。
強いて言えば、花弁がくちゃくちゃと揉まれたような姿をしていることかな?




雄しべにも2種類あるのですが、サルスベリの雄しべのように、虫の餌用と生殖用の2種類ではなく、長い雄しべと短い雄しべの2種類。



そして雌しべの長さも株によりちがい、上は 2種類の雄しべよりも めしべのほうが一番長いタイプ。











.