オータムリーフの部屋

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バリウム検診は必要ない

2018-01-10 | 健康
先進国でいまや日本だけというバリウム検診。と言うことは、お決まりの利権構造があるに違いない。
やはり、利権構造は存在し、その実態は本にもなっている。これだけ公になっているのに是正されない不思議。皆だんまりを続けている・・・・・
相撲報道などくだらない放送を垂れ流しするくらいなら、医療の現場にある利権構造を暴くぐらいのことをしてもいいだろうに・・・
 
 
「胃がん早期発見のため」という謳い文句で推奨され、年間1000万人以上が受けているバリウム検査では、見逃しが多い上に死亡事故まで起きている。危険な検診が続く背景には、バリウム検査を存続させたい「検診ムラ」の利権構造があるという。
 
確かにバリウム検診では初期の胃がんは見つからない。見つかるのはガンが大きくなったもの、スキルスがんではもう手遅れの状態だ。
1年間で新たに発見される胃がん患者は男女合わせて約13万人。そのうち自治体のバリウム検査で見つかるのは、たった6000人だという。ピロリ菌と胃がんの関係の研究で世界的に知られる消化器内科医の上村直実・国立国際医療センター国府台病院院長は「胃がんの99%はピロリ菌による感染胃炎がベースです。だからピロリ菌に感染しているか否かが重要。今は血液検査でピロリ菌と胃粘膜の萎縮度(胃で分泌される消化酵素ペプシンの前駆物質であるペプシノゲンの血中濃度を検査して、胃の内部の様子を推測する検査)をチェックして、簡単に胃がんのリスクが分かります。それを参考に内視鏡検査で早期発見すれば、胃がんで死なずに済む時代なのです」と明かす。この手法は、『胃がんリスク検診』または『ABC検診』と呼ばれ、一部の企業などが導入し、早期発見数が激増するという大きな成果をあげている。つまり、「ピロリ菌未感染者に胃がん検診は原則不要」ということなのだ。
 
去年9月7日、朝日新聞デジタルは『がん検診、「国の手順通り」4割どまり 市区町村』という記事を配信した。同記事によれば、2008年に国は、検診の精度管理のため従うべき手順を作成し、市区町村から事業者に委託する際に明記するように求めたが、国立がん研究センターの研究者が全国約1700の市町村を対象に遵守状況を調べたところ、約6割の市区町村はこのルールを守っていなかったという。
斎藤博・国がん検診研究部部長は「手順どおりに実施されなければ、いくら受診率を上げてもがん死亡率の減少という検診の目的を達成することはできない」と述べている。
記事を読むと、誰もが「ルールを守らずに勝手なことをする検診業者は怪しからん」と考える。毎日新聞も同日、『<がん検診>自治体任せ、浮き彫り 質の確保、課題に』という記事を配信した。
朝日、毎日ともに「国が決めた通りにがん検診を行うことは国民のためになり、勝手なことをする事業者を国はどんどん取り締まるべきだ」という立場に立っている。
 
がん検診の分野で国を動かしているのは、国立がん研究センターで、その中心が前述の斎藤医師だ。そして、同氏の専門は、胃がんに対するバリウム検診だ。つまり、自らがつくった基準が現場で遵守されていないことを批判したことになる。斎藤医師は2004年に国がんにがん予防・検診研究センターが開設された際、弘前大学から検診研究部長として招聘され、がん検診を主な課題として、06年から17年までの間に主任研究者として、総額5億2200万円の厚生科学研究費を受け取っている。なぜ、いつまでも危険で、見落としが多く、被ばく量が半端じゃないバリウム検査に固執するのか。
 
日本対がん協会(東京都千代田区)は、57年に日本癌学会総会での提唱がきっかけとなり、58年に朝日新聞が創立80周年記念事業として発足させた。代々、朝日新聞の大物OBが理事長に名を連ねてきた。ホームページには「がんを早期発見、早期治療するため、14年までの累計では、全国の日本対がん協会グループの検診団体で延べ3億5000万人の方にがん検診を実施し、41万897のがんを見つけ」たと記している。日本対がん協会はひとつの組織ではない。日本対がん協会グループと称され、東京都以外のすべての都道府県に存在する関連団体の集合体だ。それぞれの組織は独立体で、自治体からがん検診事業を請け負っている。日本の胃がん検診は国立がん研究センタ-と朝日新聞が旗を振り、自治体が金を出して、日本対がん協会グループが実務を担ってきた。2015年度には日本対がん協会グループだけで、236万人が胃がん検診を受けている。1人当たりの費用は1万~1万5000円程度だから、その市場規模は約300億円と推計できる。多くの関係者が、そのおこぼれに預かる。
 
2013年に05年版の胃がん検診ガイドラインが見直されることになったとき、05年版では、バリウム検査が推奨され、内視鏡はエビデンスが不十分とされていた。この見直しを主導したのは、斎藤部長たちで、彼らは新ガイドラインでも、内視鏡について主要な6つの論文をとりあげ、サンプル数が少なく、追跡期間が短い、また研究の質が低いという理由で推奨しなかった。胃がんの早期診断でバリウム検査より内視鏡が優れているのは、常識となっているのにである。斎藤部長たちの議論は、論文として発表された医学研究を根拠にして、「エビデンスに基づく胃がん検診」を主張することで、自らの利益を守っているようである。
斎藤部長たちのやり方には、多くの医師が反発した。その筆頭が日本消化器内視鏡学会の専門家たちだった。このような批判もあり、最終的に2015年5月に公表された新ガイドラインでは、バリウム検査と内視鏡の双方を推奨せざるを得なくなった。
 
近年、胃がん患者は減少傾向だ。ピロリ菌の除菌が普及すれば、ますます減るだろう。一方、肺がんは増加の一途をたどっている。がん検診でも、どちらが潜在的な成長性があるかは明らかだ。
朝日新聞すら斎藤部長たちのやり方に戸惑っている。一部のメディアからは「バリウム検診=朝日新聞の利権」と批判されているらしい。厚労官僚も「胃がん検診は過去の経緯で流されているだけで、利益誘導した話は聞いたことがない」と言う。対がん協会グループに医系技官は天下っていないという。
 
バリウム検査から利益を受けるのは、一部の医師だけのようで、放っておいても、バリウム検診は過去の遺物となるだろう。しかし、それまでの間、賢い患者は無駄なバリウム検査を受けずに、ピロリ菌と胃の萎縮度検査を受け、胃がんリスクがある場合だけ胃カメラ検査を受けるようにした方がよい。ピロリ菌が99%犯人と分かった現在、ピロリ菌がいず、萎縮性胃炎の症状がなければ胃がんの検診は受ける必要はなさそうである。
 
今現在、胃カメラ検診を声高に推奨しないのは、胃カメラ検診の専門医の不足と言う事情もあるのかもしれない。放射線技師でできるバリウム検診の方が大量の検診を裁けるのである。コストが安く済むというのも案外、行政が胃カメラを強く推奨しない理由かもしれない。

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