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甘利大臣疑惑、告発の理由

2016-01-31 | 社会
甘利明TPP担当大臣(66)と秘書の金銭授受疑惑で、公設秘書2人のUR(独立行政法人都市再生機構)に対する口利きの詳細が、週刊文春の取材でわかった。
2人は、公設第一秘書の清島健一・大和事務所所長と政策秘書の鈴木陵允氏。甘利事務所側は、道路建設を巡る補償交渉を巡り、千葉県内の建設会社の総務担当者から、約1200万円にのぼる金銭や接待を受けて、URに対し、口利きを行なっていた。
週刊文春が入手した録音によれば、清島所長は、2015年10月27日に衆院議員会館を訪れたURの総務部長と国会担当職員を、鈴木秘書が「威圧した」と語っている。
 
〈開口一番威圧したんですよ。私たちは、今までこれほどこじれた話なんだから、現場ではなく、ちゃんと本社に持って帰る話だろうという話をしてたんです〉
〈最初にガツンと会った瞬間に「あんたたち、俺たちの顔立てるっつったよな、わかんなかったの?」って言ったから〉
さらに、清島所長は12月1日には、URの総務部長と大和事務所で面談。
〈「駄目なら駄目なりにね、なんで値段上げられないのかね」って言ったら、「そうですよね」と〉
など、URに対し補償金額の話をした上で、
〈「大臣もこの案件については知っているんで、こっちもちゃんと返事を返さなくちゃいけないんですよ」と言った〉
と、甘利大臣の関与をうかがわせる発言もしていた。
 
週刊文春では、甘利事務所に確認を求めたが、締め切りまでに返答はなく、URは「調査中」と回答した。
URに対する口利きの詳細が判明し、あっせん利得処罰法違反の疑いが強まった。 
 
告発者の一色氏が暴力団組員説や恐喝説に逐一、具体的な反論しているのはもちろん、甘利事務所の公設秘書らがUR(都市再生機構)に大臣の名前を使った「恫喝」まで行なっていた事実を証明するテープを公開した。
さらに100万円の授受に関し、詳細な状況が明らかになった。
 
 「2013年11月14日は大臣室で、14年2月1日は甘利氏の地元である大和市の事務所で、大臣にそれぞれ50万円をお渡ししています。大臣室では、うちの社長が、木の箱に入ったとらやの羊羹と一緒に紙袋の中に、封筒に入れた現金50万円を添えて、『お礼です』と言って手渡しました。甘利氏は『あぁ』と言って50万円の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまったのです。大和事務所では、私が直接、大臣にやはり50万円を封筒に入れてお渡ししています。私は大和事務所で甘利大臣に、URとのトラブルについて、資料を基にご説明しました。ここで大臣が、資料の中身について、私にいくつか質問をされました。そして、甘利氏は、封筒に入った現金50万円を受け取った後、『パーティー券にして』とおっしゃいました。しかし、私が『いや、個人的なお金ですから(受け取ってください)』と言うと、大臣室の時と同様に、甘利氏は内ポケットに封筒をしまわれたのです。ちなみに、私との写真は清島所長が記念写真として撮って、その後、会食した時に渡してくれたものです。この年の11月、横浜のホテルで、『甘利明君を囲む会』がありました。その会場で甘利大臣は、私に『その後、うまくいってますか?』と声をかけてくれたのです」
 
  こう語るのは一色武氏(62)。一色氏は千葉県白井市にある建設会社『S社』の総務担当者として、独立行政法人都市再生機構(UR)との道路建設を巡る補償交渉にあたってきた。一色氏は交渉を有利に進めるべく、甘利氏の公設第一秘書で、大和事務所所長でもある清島健一氏(39)に口利きを依頼。その過程で、多額の現金を甘利氏や清島氏、現・政策秘書の鈴木陵允(りょうすけ)氏らに手渡してきたのだ。
 
  一色氏は淡々とこう語る。
 「実名で告発する以上、攻撃を受けることは覚悟していました。団体に所属し、3年ほど政治活動していた時期もありましたが、私は過去に逮捕されたこともありませんし、“その筋の人”でもありません。恐喝していたのではないかという人までいるようですが、逆に私が大臣や秘書に多額の金を渡しているのです。実名で告発することは不利益こそあれ、私にメリットなどありません。もちろん、URとの補償交渉を有利に進めるために口利きを依頼し金を渡しているのですから、ほめられたことをしているわけではないのは承知しています。ただ、甘利氏を『嵌(は)める』ために3年にわたる補償交渉や多額の金銭授受を行うなんて、とても金と労力に見合いません」
 
  実は、一色氏と甘利氏との関係は、金銭授受以前にさかのぼるという。
 「私は20代の頃から主に不動産関係の仕事をしており、甘利大臣のお父さんで衆議院議員だった甘利正さんとも面識がありました。明氏と初めて会ったのは、まだ大臣がソニーに勤めていらっしゃった頃かと思います。厚木の料亭『S』で、正さんらとの会食に参加させてもらったとき、そこに明氏も同席していたのを覚えています。当時、本厚木駅の近くに甘利氏の名前をとった通称“アキラビル”というのがあり、このワンフロアに、不動産関係の仕事をしていた正さんの弟や地元の建設関係の仲間たちが集まり、よく情報交換をしていました。正さんのご自宅には何度もお邪魔したことがあります。当時、厚木の依知(えち)という地区に大きな屋敷がありました。正さんは、親分気質の方で、その屋敷に不動産関係の仲間がたくさん来ていた。正さんの書生をやっておられたIさんとも親しくさせていただいていました。そのIさんに連れられて、1996年から1997年ごろ、既に議員だった明氏に相談を持ちかけたこともあります。ある漁業権の売買に関する相談事があり、Iさんが、『明君に相談へいこう』と言い、大和事務所を訪れ、本人に応接室で対応していただいたのです。甘利家とは、昔からそんなご縁があり、私は清島氏が大和事務所に来るかなり前から、甘利事務所の秘書さんたちとはお付き合いさせていただいていました。
  また、月1回行われている勉強会『甘利明アカデミー』や政治資金パーティの『甘利明君を囲む会』にも何度も参加しています。URの件で、清島所長に金を渡すようになった後、2014年4月には安倍晋三総理主催の『桜を見る会』にもご招待いただきました。私が大和事務所で甘利大臣に50万円を渡してから2カ月後のことです。清島所長からのお誘いでした。」
 
 
  「口利きを依頼し金を渡すことには、こちらにも大きなリスクがあるのです。依頼する相手は権力者ですから、いつ私のような者が、切り捨てられるかわからない。そうした警戒心から詳細なメモや記録を残してきたのです。そもそも、これだけの証拠がなければ、今回の私の告発を誰が信じてくれたでしょうか?万一、自分の身に何かが起きたり、相手が私だけに罪をかぶせてきても、証拠を残していれば自分の身を守ることができる。そして、その考えは間違っていませんでした」
  URから補償金約2億2000万円が出た見返りとして、2013年8月20日、一色氏が清島氏に500万円を渡した。朝日新聞などの報道によれば、清島氏はこの500万円のうち、300万円を一色氏に返したと後援者に説明しているという。
 「300万円を私がネコババしたという噂も流されているようです。まさに私が危惧していた通りになりました。もちろん300万円は、返してもらっていません。
 
  あの日のことを正確に説明しましょう。実は、私が大和事務所に持っていったのは現金1000万円でした。1000万円を清島氏に差し出したのですが、半分の500万円は、『これは別の機会に』と清島所長から返されたのです。ですから、清島所長が実際に受け取ったのは、当初もらった領収書の通りの500万円です。
 
  私は約1200万円を甘利大臣や秘書たちに渡したと証言しました。ただ、それは確実な証拠が残っている分だけで、私の記憶では、渡した金銭や接待の総額は数千万円にのぼるはずです。時の権力者を告発する以上は、正確にも正確を期して、裁判にも耐えうるよう、証拠の残っているものだけに限定してお話ししたのです。
 
  清島所長は、最初に500万円を返し、また別の日に300万円を返したと言うのでしょうか? 300万円を返したと言うなら、いつ、どこで返したのか、私の証言と同様に詳細に説明すべきです。私は、こうした事態に備えて、詳細な行動記録をつけてきました。反論する準備はできています」
 
 「私は甘利事務所に不信感を抱くようになっていました」
 
  2013年に清島氏に相談したことがきっかけで進展したURとの交渉。この時、約2億2000万円の補償金を得たことで、一色氏は甘利事務所への信頼を深めた。しかし、この後の産廃撤去を巡る約30億円規模の補償交渉は難航する。
 「60を過ぎた私が、年の離れた彼らに何度も何度も頭を下げてきましたが、情けないことに、結局騙されていたことにようやく気づき始めたのです。彼らにとって、私はキャッシュディスペンサーにすぎなかった。彼らはフィリピンパブやキャバクラ、銀座に行きたくなると、『URの件で打ち合わせしましょう』と私を呼び出し、金を払わせるのです。
  清島所長は、数百円のコーヒー代や、車のコインパーキング代すら自分で支払ったことはありません。鈴木さんも、事務所に持って帰るからと、メロンパンまで買わせる始末です。私は彼らにバカにされていると自覚しつつも、URとの交渉のためにじっと耐えてきました。
  しかし、いくら彼らを接待し、金を渡しても、URとの交渉はいつまでたっても前に進まない。私にも我慢の限界があります。もう甘利事務所とは決別することにしたのです」<週刊文春2016年2月4日号>
 
 国民の血税から多額の給与を受ける国会議員とその公設秘書が、権力を金に換えていた。口利きは常態化し、秘書に罪を押し付け、責任を逃れるのは政治家の常套手段だ。
これから大臣室に入る陳情団は記録媒体を隠し持っていないか、ボディチェックを受けることになるだろう。

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