オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

危険な高齢者

2019-04-26 | 社会
「人生100年時代」といわれるが,平均寿命と健康寿命の差(ギャップ)が問題となる。平均寿命から健康寿命を差し引いた“日常生活に何らかの制限がある期間”が、男性で約9年、女性で約12年間ある.
加齢に伴い、体のさまざまな機能が衰えていく。その変化のペースをできるだけ緩やかにし、機能低下を予防していくのが大切だ。
 
近頃、高齢者が加害者の交通事故が頻発している。運転技術に自信を持っている高齢者が多く、確実に自身に対する認識が甘くなっている。
私たちが持つ高齢者のイメ-ジは70代である。高齢でも認知機能に問題はなく、体力は弱ってきても日常生活に支障はなく、自立して生活できている。多くの高齢者の場合、いくら年をとっても認識の上ではいつまでも70代。よぼよぼの高齢者と自分を重ね合わせることはない。80代になれば、単なる高齢者ではなく、フレイル、サイコペニアとなり、ロコモティブシンドロームが発症してくる。しかし、それらの症候群の対処法どころか、意味の違いすらも認識していない状態だ。自戒をこめて、今日は詳しく調べてみたい。
 
フレイル
フレイルとは、「虚弱、衰弱」を意味し、加齢とともに筋肉や認知機能が低下して、要介護や死亡の危険性が高い状態。健康な状態と要介護状態の中間と考えるとわかりやすい。
独居や閉じこもり、嚥下機能低下(サルコペニア)、低栄養状態となり、うつ、意欲・判断力・認知機能低下が顕著となる。3つの中で一番大きな概念である。
 
判断基準
・体重の減少(6か月で2~3kg以上)
・疲れやすい
・歩行速度の低下(1.0m/秒未満)
・握力の低下(男性:26kg未満、女性:18kg未満)
・身体活動の低下(軽い運動あるいは定期的な運動をしていない)
上記のうち3項目以上に該当する場合は、フレイルに該当。なお、1~2項目の場合はフレイルの前段階・プレフレイルに該当する。
 
 
サルコペニア
言葉の意味は筋肉の減少。加齢に伴う筋量・筋力の低下と定義され、「加齢性筋肉減少症」と訳されることもある。食べ物を噛む咀嚼筋群、食べ物を口から喉に送り込む舌下筋群、逆流しないようにする食道括約筋なども関与する。誤嚥を頻発し、肺炎を引き起こす。転倒のリスクも高まる。
 
人間は一日の間に筋肉の合成と分解を繰り返している.成長期では合成が分解を上回り、十分な量のタンパク質の摂取により筋肉は増加していく。高齢者においては食事量(とくにタンパク質の摂取量)や運動量の減少により、筋肉の合成量が低下し、合成が分解を下回ることで、筋肉量が減少する。70〜80歳代では、20〜30歳代と比べて約30〜40%の骨格筋量が減少する。
 
骨格筋量の減少に加えて、握力や歩行速度の重要性が認識されるようになってきた。
ヨーロッパの研究グループは「筋量と筋力の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で、身体機能障害、生活の質(QOL)低下、死のリスクを伴うもの」と定義している。
 
さらに日本人の高齢者に合わせたサルコペニアの簡易基準案が国立長寿医療研究センターによって作成されている。
65歳以上の高齢者
歩行速度が1m/秒未満、もしくは握力が男性25kg未満、女性20kg未満であり、さらにBMI値が18.5未満、もしくは下腿周囲径が30cm未満の場合にサルコペニアと診断される。
 
 
ロコモティブシンドローム
運動に関わる骨、関節、筋肉、靭帯、腱、神経のことをまとめて運動器という。運動器の障害のために移動機能が低下した状態を指す。2007年に日本整形外科学会が提唱した概念で、メタボリックシンドロームに対して、考え出された。ロコモに至る原因としては、骨折や骨粗しょう症などの骨の障害、変形性脊椎症や変形性関節症といった関節や椎間板の障害、そしてサルコペニアや麻痺などの筋肉や神経の障害がある。つまりロコモはサルコペニアを含む状態であり、同時にフレイルの一部にロコモは含まれる。
 
ロコモの判定には、移動能力に関わる「立ち上がり動作」と「最大歩幅」が重視される。
下肢筋力を調べる「高さ40㎝(20㎝)の台からの立ち上がり」と歩幅を調べる「2ステップテスト」の2つ身体機能テストに加え、身体状態や生活状況に関する25項目の質問表「ロコモ25」に答えることで判定される。
 
 
筋力が低下してきた(サルコペニア)ので、出かけるのが困難で億劫になる(ロコモティブシンドローム)。この状態を身体的フレイルといい、閉じこもりなどの社会的フレイルや、認知機能の低下などの精神的フレイルに繋がっていく。
 
問題は加齢で身体精神能力そのものがおちているにもかかわらず、自分はいつまでも若いつもりで、生活一般を改めようとしない頑固で認知機能に問題のある高齢者が多いということである。今回の交通事故を起こした87歳男性も杖をついてのよぼよぼ歩行しかできないにもかかわらず、車いすに乗る感覚で自動車に乗ってしまう。自動車は運動能力のない人を支援する便利な道具ではないのである。人を殺す凶器であることを認識し、少しでも不安がある人は免許を返納することは当然だ。さらに注意能力も反射神経も衰えている高齢者が都会でハンドルを握ることに無理があるのは想像に難くない。若い人でも危ないのによぼよぼの高齢者がとっさの非常事態に適切な行動をとれるわけがない。自動車を便利な道具と考えるのは止めて、80代になったら人を殺す凶器に乗るのを止める見識をもとう。知識や判断能力に自信は持っても、身体能力に自信を持つのはやめよう。もし自信があるなら、あなたの判断能力には相当の障害があると心得よ。

トランプの異常なメディア攻撃

2018-11-04 | 政治
史上最悪のアメリカ大統領トランプ。開発途上国なら、影響も少なく見過ごすこともできようが、アメリカ大統領ともなれば、影響が大きすぎて鳥肌が立つ。しかも安倍首相は彼と親友だというのだ。
2年前、早くも日刊ゲンダイがその危惧をぶち上げていた。
 
 ホワイトハウスでの首脳会談をわずか40分間で終え、フロリダに飛んでゴルフを堪能した安倍首相と米国のトランプ大統領。2つのクラブをハシゴし、27ホールも回った。会談の“成果”は何もなく、親密ぶりを世界に向けてアピールしただけだったが、日本のメディアは「百点満点」と大絶賛だ。 自民党内から聞こえてくるのも、「極めてうまくいった」(高村副総裁)、「歴史的快挙」(下村幹事長代行)、「最高の成果」(茂木政調会長)などと浮かれた声ばかり。大統領の専用機に乗せてもらい、一緒にラウンドしてもらったことがそんなにうれしいのか。属国根性丸出しではないか。
 米国では、ギャラップ社による最新世論調査の結果が大きく報じられた。
「トランプ大統領は世界の首脳から尊敬されていると思うか」という質問に対し、「尊敬されていると思う」は29%で、「尊敬されていると思わない」が67%に上った。
 
「主要国の首脳が距離を置く中で、無条件に追従してくれる日本の首相は、トランプ大統領にとって貴重な存在です。就任前に馳せ参じて高級ゴルフクラブをプレゼントし、ちょっと脅せば米国のための雇用策まで考えてくれる。トランプ大統領に取り入るためなら、日本国民の虎の子である年金資金まで差し出しかねない勢いです。首脳会談で、貿易摩擦や為替操作についての苦言がなかったことで、日本側は『無理難題を吹っかけられずに済んだ』と胸を撫で下ろしているのでしょうが、それを“成功”と言うのは間違っている。米国に見捨てられては困ると、すがりついただけでしょう。それなのに、共同会見で、トランプ大統領は『米国と中国の良好な関係がアジア太平洋地域のすべての国々にとって良い結果となる』と明言した。安倍首相が妄執する中国包囲網がくじかれたのです。これまで中国封じ込めのためにアジアやアフリカ諸国にカネをバラまいてきたのに、水泡に帰してしまった。対中国政策でトランプ大統領を味方につけることに失敗したということです」(政治評論家・本澤二郎氏)
 
「私は朝日新聞に勝った」「俺も勝った!」と意気投合
朝日新聞では、アメリカ総局長がこう書いていた。
〈トランプ氏の自己愛・ナルシシズムの度合いが極端に強いことは、選挙戦の序盤から伝えられてきた。ささいなことでも批判されると、相手をツイートなどで攻撃するなど、非常に衝動的〉
〈米国の心理学者ジョン・ガートナー氏は、トランプ氏の行動を分析し、「加虐性、偏執性なども含まれる悪性ナルシシズムを持つ初の米国大統領で、極めて危険だ」と警鐘を鳴らす〉
〈共同記者会見で、用意された原稿を棒読みに近い形で読み上げたトランプ氏と、奔放で乱暴な言動を繰り返すトランプ氏。その二面性は気になる〉
 
 原稿棒読みだけではない。共同会見で、日米同盟の強化で同意したと誇示する安倍の冒頭発言を聞きながら、トランプは時折もっともらしい表情でうなずいたり、笑みを浮かべたりしていたが、同時通訳用のイヤホンをしていなかった。記者との質疑応答になってイヤホンを装着したが、米メディアには、「大統領はいつから日本語を理解できるようになったのか」と皮肉られていた。
 元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「トランプ大統領がイヤホンを着けることも忘れていたのは、忠実なポチの安倍首相が自分を怒らせるようなことを言うはずがないと安心しきっていることの表れです。日本側が切望した尖閣諸島への米国の防衛義務を定めた日米安保条約第5条の適用に関しては、安倍首相が『確認した』と会見で言及しましたが、トランプ大統領にとっては、どうでもいい話でしょう。歴代米政権の見解を踏襲しただけで、何も進展はなく、日本のメディアが大成功だと持ち上げるほどのことではない。それよりも、なぜ、トランプ大統領が安倍首相をここまで歓待したのか。2人が互いにシンパシーを感じているとすれば、その理由がどこにあるのかを考えるべきです」
 
産経新聞に看過できない記事が載っていた。トランプタワーでの初会談で、軽くゴルフ談議をした後、安倍はこう切り出した。
「実はあなたと私には共通点がある」
 怪訝な顔をするトランプを横目に安倍は続けた。
「あなたはニューヨーク・タイムズ(NYT)に徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った……」
 これを聞いたトランプは右手の親指を突き立ててこう言った。「俺も勝った!」
 
 これが本当なら、異常な事態だ。仮にも民主主義を標榜する国のトップ同士が、自身に批判的なメディアを敵視し、懲らしめたことを自慢し合い、「勝った」「勝った」と浮かれている。まるで幼児だ。
 
 幼児性と加虐性、敵と見なしたら絶対に許さない偏執性。異なる文化や意見を認めない排他性と、自分は正しいというナルシシズム。気味の悪いほど2人は似ている。
 
トランプの異常なほどのメディアに対する敵視は今もエスカレ-トし続けている。
メディアには権力を監視するという役割が求められるため、もともと権力者との間には緊張関係があるのが普通だ。歴代政権はメディアのそうした役割を理解し、時にはメディアの力を利用することで政権の実績アピールに努めてきた。トランプ政権のように徹底したメディア批判を繰り広げ、政権発足後もそうした姿勢をエスカレートさせる政権は、米国政治において例がない。
 
 ツイッターのフォロワーが2600万人を数え、トランプ氏自身が巨大なメディア並みの影響力を持っている。そこに政権とロシアの不透明な関係が影を落とし、真相を追及しようとするメディアとの間で対立が生まれている。メディアを介さず自ら支持者にメッセージを発信するというトランプ氏の姿勢は、大統領に就任する前から顕著だった。歴代大統領は当選から数日後に記者会見を行うのが慣例だったが、トランプ氏の場合、メディアとの会見の場に初めて姿を見せたのは、選挙から2か月以上がたった後。就任9日前のことだった。
 この間、政権人事や目玉となる政策についてはツイッターで次々と発表している。トランプ大統領はツイッターの約2600万人のほか、フェイスブックに約2100万人と、合計4700万人のフォロワーがいる。メディアを介さず自らの考えを直接かつ瞬時に発信できるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)という「武器」を手にしているのだ。たとえメディアと対立しても、自分の「武器」をうまく使って反撃すればいいのである。
 
 次期大統領当選後初の記者会見で焦点となったのがロシア問題だった。会見直前に、英国の情報機関「MI6」の元職員が作成したトランプ陣営とロシアとの関係に焦点を当てた35ページに及ぶ調査報告書のコピーをオンラインメディア「BuzzFeed」が掲載し、CNNなども大々的に報じていた。ロシアとの関係を問いただす質問が相次ぐ中、トランプ氏はCNNの記者からの質問を一切受け付けなかったばかりか、「偽ニュースを報道するメディア」とCNNを再三非難した。メディアが示す「事実」を「フェイク」として封印するトランプ政権の戦略だ。
 
トランプの支援者の集会に潜入する大手メディアの記者はボディガ-ドを雇うという。それでも、支援者に取り囲まれて非難される記者の表情に恐怖が浮かんでいた。
何の具体的な政策も示さず、強いアメリカを取り戻すと気炎を吐き、唯一の政策はメディア批判と言論の自由の圧殺、トランプは世界を地獄に導こうとしているように見える。
時代を逆行させることなどできないのだ。ゾンビ企業をよみがえらせることなどできないのだ。政治家のできることは滅びゆく産業の痛みをいかに緩和するか、新しい産業へのシフトをいかに円滑に進めるか、その手立てを提供することだけだと思う。資本主義でも社会主義でもない高度な福祉を提供する産業国家----未来を託すべき政治家の劣化が止まらない。

降圧剤の副作用

2018-10-01 | 健康
降圧剤を服用している人は実に多い。高齢になれば、動脈硬化などにより、血管が固くなり、高血圧患者が増えてくる。年々、低く設定されるガイドラインを超えると当たり前のように降圧剤が処方され、何の不安もなく薬を飲み続ける。薬には当然副作用があってしかるべきなのだから、体は対応するために無理をする。そして、ある日突然・・・・・
 
現在の高血圧の基準値は異常に低く設定されているという。1969年ごろは、上が『年齢プラス90』以内ならば正常とされていた。たとえば50歳なら140、60歳なら150という具合。ところが高血圧の基準値は2000年以降、どんどん下がっている。年齢とともに血圧は高くなるものだが、なぜそれを低めに設定するのか。基準値を低めに設定するだけで、健康な人を『患者』にすることができるからだ。製薬会社は莫大な利益を得る。
日本高血圧学会のガイドラインで高血圧の基準が下がり始めたのは、2000年からだ。高血圧の新薬ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)が発売されたころだ。
 
「アメリカの製薬会社は高価なARBを売り出すために国際高血圧学会や世界保健機関(WHO)に働きかけて、高血圧の基準値を下げさせることに成功した。おそらく製薬会社からの巨額な寄付金があったのでしょう」と語るのは医薬ビジランスセンター理事長の浜六郎医師である。
 
人々の栄養状態がよくなったので、脳出血は減った。細胞を丈夫にするコレステロールの摂取量が増え、血管が破れにくくなったのだ。それなのに「血圧が高いと脳卒中になる」という思い込みは依然強い。脳卒中には3種類ある。50年前はほとんどが脳出血だったが、いま脳出血は激減していて、脳梗塞が8割、くも膜下出血はいまも昔も全体の3%程度という。低血圧で起こりやすい脳梗塞は血圧を高めにして詰まった血栓を流した方がいいと言う考え方もある。
 
酸素と栄養素を血液から取り込むためには一定の血圧が必要だ。それなのに降圧剤で血圧を下げすぎてしまうと、それが取り込めなくなる。さらに怖いのが、薬がもたらす副作用だ。降圧剤には種類がいくつかあり、現在の主流は前出のARBやカルシウム拮抗薬だ。これらの薬剤には炎症を抑える作用がある。
 
免疫反応は、病原体や体内にできた異物から体を守るための防御システム。炎症は、免疫反応の重要な要素で、体にできた傷を治す働きだ。ARBやカルシウム拮抗薬は炎症を抑制するので、これを飲むと炎症が目立たなくなり、一時的に健康になったかのようにみえる。しかし傷を治すための反応が起きないということは、傷を放置しているということなのだ。その1つが「がん」である。免疫が正常に働いていれば、がん細胞が生まれても小さいうちに排除できる。しかしARBやカルシウム拮抗薬を飲んでいると免疫が抑制されてしまうので、がんになりやすい。感染症が全身に広がって死に至る「敗血症」も、免疫不全によって起こる。さらには高齢者が血圧を薬で無理やり下げた場合、脳に栄養や酸素が行きわたらず、認知症になりやすいという説もある。
また、内臓や各細胞に栄養が届かなければ、体の機能は低下する。特に目や脳、腎臓といった部位は血液の増減に敏感な臓器だ。例えば白内障を患っている人は降圧剤を使用していることが多く、その因果関係も指摘されている。
 
“高血圧ワクチン”
🌟 大阪大学大学院 森下 竜一教授
従来の降圧剤に代わって、1回の注射で血圧を下げる効果が数年にわたって持続するという高血圧ワクチンが開発中である。
 
アンジオテンシンⅡは 血管を収縮させる作用があり、血管が細くなると、血圧が上がる。アンジオテンシンⅡが、血管の壁に直接付かないようにブロックしたり、体内で造られるのを防ぐのが降圧剤である。
それに対して、高血圧ワクチンは、血液内のリンパ球の一種に、アンジオテンシンⅡを攻撃するように指令する。すると、リンパ球の一種が作った抗体が、アンジオテンシンⅡを攻撃する。効果が長期間持続するので、毎日薬を飲む必要がなくなるというのである。夢のようなワクチン!に聞こえるが、免疫システムをだまして自分の組織を攻撃することになるわけだから、怖い…
 
高血圧は薬よりも減塩や運動など生活習慣で改善して、健康長寿を目指すのが安心できるやり方だろう。そして、薬を使う場合は降圧剤のリスクをきちんと認識して服用すべきだろう。

健康長寿に欠かせない筋肉

2018-09-08 | 健康
高齢になると体が衰える。筋肉や関節が次第に衰え、神経や平衡感覚の機能も低下していくので動作が鈍くなる。
長寿の健康のためには、心臓、血管、腎臓、肝臓などのはたらきを維持することが重要なのは言うまでもない。しかし、筋肉は命や健康に直接関係するほど重要な器官ではないと考えている人が多い。最近の研究から、筋肉の量やその機能が健康に深く関わっていることが明らかになりつつある。
 
脳卒中や心筋梗塞などの生活習慣病を予防するには、内蔵脂肪の蓄積、メタボリックシンドロームにならないように注意することが必要だ。筋肉や骨、関節などの運動器の機能を維持することで「ロコモティブシンドローム」、略して「ロコモ」を予防することが重要だ。そして、認知症を予防できれば、要介護になる危険性を3分の一にまで減らすことができる。
筋肉はこれらの3つの全てに関係しているのである。
重要な筋肉の3機能
・「運動器」としてのはたらき。
・体温を生み出す「熱源」としてのはたらき。
・内分泌器官としてのはたらき。
 
筋肉の量は普通に生活していても、加齢とともに減ってしまう。加齢に伴って筋肉が減り、筋力が低下していくことを「サルコペニア」という。加齢でサルコペニアになりやすい筋肉は、太ももの前、お尻、お腹、背中の筋肉だという。30歳あたりをピークで緩やかに減り始め、50歳あたりを過ぎると減り方が速くなる。30歳から80歳までの50年間では、大体半分くらいの太さになってしまう。
歩行動作が不安定になり、歩幅が狭くなって、転倒の危険性が増し、この状態がさらに進むと、移動能力が制限され、「ロコモ」になる。そして、活動量がさらに減少することで、「フレイル」と呼ばれる虚弱状態、引きこもり、認知症などにつながっていく。
さらに、体温を維持する機能が低下し、寒さに弱くなる。熱を作るためのエネルギー消費が減るので、肥満や糖尿病になりやすい。つまり、メタボリックシンドロームになりやすい状態だ。糖尿病のように、体が糖を利用する能力が低下すると、余剰の糖が「糖化ストレス」という状態を引き起こし、動脈硬化、脳卒中、腎疾患、認知症などのさまざまな合併症につながる。ネズミを用いた実験では、筋肉による熱の生産を抑えてしまうと、冷え性になるばかりでなく、やがて肥満になり、糖尿病になる。
次に、筋肉の3番目のはたらき、内分泌器官としてのはたらきは重要だ。
最近の研究から、筋肉をよく動かすと、筋肉からさまざまな生理活性物質、つまりホルモンのようなはたらきをする物質が分泌されることがわかってきた。筋肉が分泌する生理活性物質を総称して「マイオカイン」という。分泌するマイオカインの量は、組織1グラム当たりでいえば非常に少ないが、筋肉そのものが多量にあるので、絶対量としては、無視できないほど多くなる。運動によって筋肉から分泌されるマイオカインの中には、動脈硬化を予防したり、脂肪の減少を促進したり、脳の神経細胞に作用して認知症を予防したりするものがある。筋肉が減ってしまうと、これらのマイオカインの分泌量も減ってしまう。
 
カリフォルニア大学ロサンゼルス校は、寿命を大きく左右する要素が「体組成」、つまり、身体の中の筋肉、骨、脂肪の割合だという説を発表した。同じ身長・体重の人でも、「運動習慣がなく脂肪が多い人」と「よく動き、運動をし、適度な筋肉をキープしている人」とでは、寿命予測に大きな差があり、後者の方が長生きできる確率が高いという。
超高齢社会を迎えた日本は世界屈指の長寿国だが、平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の間には約10年の乖離がある。また、ここ10年間においてその差は全く縮まっておらず、必ずしも健康な状態で長生きしている訳ではないことが分かってきた。健康的な日常生活を送る上で要となるのが筋肉だ。
 
中高年のための筋肉づくり
サルコペニアに負けない筋肉づくりには、少し強い刺激が必要だ。ウオーキングは、筋肉を強化するほどの刺激にならない。それよりやや強い運動を、週2、3回行う必要がある。そして、加齢の影響を強く受ける足腰の筋肉をしっかり使う運動をすることが大切だ。必ずしも重たい負荷を使う必要はない。以前は、「それなりに大きな負荷を使わないと筋肉は増えない」とされていたが、最近の研究から、負荷は軽くても、筋肉をしっかり使い込むことで筋肉が増えることが立証されている。なるべく簡単な運動で済ませたいという場合には、ゆっくりとした動作で行うスロースクワットや片足立ちがよい。
 

カメラを止めるな

2018-09-01 | 映画
著名人たちが絶賛している映画。ゾンビ映画だから?B級映画だから?ワンカットだから?
気味の悪いゾンビ映画がコメディになる?その辺のからくりが知りたくて見に行くことにした。
 
商業映画に分類されているらしいが、監督は知らないし、キャストに至ってはど素人の一般人?これが意外にこの作品にリアリティを与えているのかもしれない。本物の恐怖に翻弄されているようで、その生々しい恐怖感が視聴者に伝染する。一方、そのバカバカしい舞台裏のスト-リ-展開に白けてしまって笑ってしまう観客を生成する。
自主制作の前衛映画と言ったところか?それにしては訴える難解なテ-マなんかなくて、ふざけている。しかし国内だけでなく、海外の映画祭で賞をかっさらっているようで、どこが受けているのかいまいちわからない。セリフなんかなくても笑える映画ではある。何の説明がなくても、万国で笑えるのがいいのだろう。
2018年3月に開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で観客賞に相当するゆうばりファンタランド大賞を受賞。
イタリアで開催された「ウディネ・ファーイースト映画祭」で1位に僅差の2位にあたるシルバー・マルベリー賞を受賞。
ブラジルで行われた南米最大級のファンタスティック映画祭「FANTASPOA 2018」のインターナショナルコンペティション部門・最優秀作品賞を受賞。
 
俳優や監督を養成する映画専門学校「ENBUゼミナール」が開催するワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として放たれた作品である。
山奥でゾンビを題材にした自主製作映画を撮影するクルーの様子をワンカットで追った前半と、その舞台裏の大混乱を撮った後半で構成される。大きな話題をよんでいるのが、タイトルにもなっている30分に及ぶワンシーン・ワンカットで撮影したサバイバルシーンである。山奥にある廃墟でゾンビ映画の撮影をしている自主製作映画のクルーたち。ワンマンな監督である日暮の要望はどんどんエスカレートしていき、なかなかOKを出さずにテイクは42を数えた。そのとき、撮影クルーを本物のゾンビが襲う。リアリティーを追求する日暮監督は喜々として撮影を続行し、一方、メンバーたちは次々とゾンビ化していく。
この前半は下手な素人の自主製作映画。怖いところが全くない、ナンセンスなゾンビ映画である。血が噴き出すシ-ンばかりで構成され、血のシャワ-で、ゾンビもヒロインも真っ赤っかである。
後半で舞台裏のトラブルが暴露される。クル-も出演者も大混乱に陥り、ゾンビ化していく。要するに滅茶苦茶なのである。その脚本を無視したような滅茶苦茶さが滑稽で笑いを誘う。場内で沸き起こる笑いによって、この映画がとんでもなくナンセンスでバカバカしいという感覚が増幅され共有される。
 
ナンセンス映画なんだけど、出演者の真剣さは本物だ。演技には見えないのである。この映画が、生放送の枠内で生で演技され、放映されるという設定なので、脚本があってもどんどん状況に応じて変容していくのである。出演者が来れなくなって、監督の家族が急にスタッフとして呼び出されたり、その家族がゾンビになって殺したり、殺されたり・・・・・なんでもありの世界なのだ。
 
低予算で笑える映画が作れる。ゾンビ映画で笑える映画が作れる。アイデア次第で面白い映画ができるということだ。
 
しかし、感動巨編が好きな私は、やはり物足りなくて、この後、隣の映画館でやっていた「マンマミ-ア」を見てしまった。