~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

苦しんでいるのは子供? 親?

2014-03-21 22:44:52 | 側弯症患者さんの経験
昨日(2914-03-20)記載した「RE: 洗脳を解くには (側弯専門医)」(カテゴリー:特発性側弯症と民間療法)に少し関連すると思うお話をさせていただきます。ベースは専門誌 SPINE, volume37 ,Number14, 2012年「Female Patient's and Parent's Assesement of Deformity-and Brace -Related stress in the Conservative Treatment of Adolescent Idiopatic Scoliosis」からとなります。
http://journals.lww.com/spinejournal/pages/default.aspx

このStep by Stepを初めてお読みになる方のためにご説明しますが、私august03は、医学的事実に基づいた情報を皆さんにご提供することを基本としてこのブログを書き続けております。その方法として、一般の方々が手に取ることがほとんどありえない整形外科・脊椎外科の専門誌から、お役に立つ内容を、簡易的となりますが、ご紹介することに努めてきました。そして、これからもできるだけ最新の医学情報をお届けできるように努力していきたいと考えています。

洗脳という言葉から、思い出したのが、今回の文献です。側弯症の娘さんを持つご両親の気持ちをアンケート調査により収集、分析した文献です。
対象: 63組の患者(女子,10~17歳)とその親、特発性側弯症により12時間/日の装具療法中、治療歴は1か月以上、調査時平均14か月。調査の目的は、患者さんとその親が感じているストレスの程度とその原因がどこにあるか。患者さんと親が感じるストレスに差はあるのか、どちらがよりストレスを感じているのか、というような内容で分析が行われています。

アンケート(質問)の内容は、例えば次のようなものです。
1.I feel conspicuous by the appearance of my back.
 背中の外観のために人目を引いていると感じる。
2.I find it hard to show my back in public.
 人に自分の背中を見せるのは耐え難い。
3.I feel embarrassed in situation in which other people can see my naked back.
 人が私の裸の背中を見るような状況は恥ずかしいと感じる。
4.I do not feel embarrassed showing my back.
 人に背中を見せることは恥ずかしいとは思わない。
5.I try not to get too close to other people in order to avoid them becoming aware of my scoliosis.
 人に、私が側弯症だと気づかれないように、近づきすぎないようにしている。
6.when deciding what kind of clothes to wear or how to wear my hair,I take care my back is hidden.
 どのような服を着るか、髪をどうするかを考えるときは、背中を隠せるものにしようと注意している。
7.Scoliosis is a part of me, people have to accept me the way I am.
 側弯症は私の一部なのですから、人々は、私をあるがままに受け入れて欲しい。
8.Because of the scoliosis, I avoid activities / hobbies, which otherwise I would love to do.
 側弯症のために、活動や趣味を避けている。もしそうでなければ、大好きなのだが。

 これらの質問内容を読めば、すぐにお分かりになられるように、側弯症という病気、特に、思春期に発症する特発性側弯症の何が問題かと言えば、それはこころの問題....自分のなかでは「恥ずかしさ」そして他者との関係では「差別」という言葉で置き換えてもいいものでしょう。差別という言葉が示すように、そこには、差別する側.....いわゆる一般人.....と差別される側がいるわけで、そして、おそらく「親」の精神状態というのは、差別される側と同時に、実は深層では「差別する側」の気持ちも持っているのではないでしょうか ? その葛藤ゆえに、「洗脳」されやすい精神状態にあるのではないか? と考えた次第です。

 この調査の結論をこれから示しますが、もし、このトピックスを読んでいるお母さんが、ご自分でも洗脳されているかも、と感じておられるとしたら、もしかすると、少しは気持ちが楽になるのでは? と思います。

 この調査から分かったこと、それは
  ①患者自身(娘さん)は、親御さんほどにはストレスを感じていない。
   親のほうが強いストレスを感じている。
  ②患者自身(娘さん)は、背骨がまがっていること自体では、それほどストレスは
   感じていない。
   親のほうが、背骨が曲がっている、ということに対して強いストレスを感じている。
  ③手術前の心配ごととしては、背骨の曲り、リブハンプの状態 
   (肩甲骨の飛び出し状態)、
   将来さらに悪化しないかという不安を両者とも抱いている。

 そして手術2年後の調査では
  ①親のほうが、患者(娘さん)よりも、曲りが治った。ということに満足している。

 お子さん以上に、とても不安にかられ、傍目を気にしてストレスに耐え忍び
 そして、手術によって、お子さん以上にストレスから解放される。
 それが現実に側弯症の娘さんを持つ母親の気持ちなのだと思います。
 それがいいとか、悪いとかではなく
 世界中に、たくさんの同じ境遇のお母さんがいて、同じように悩み、
 
 そして、やがて、そのストレスから解放される日がやってくる。

 お子さん以上に悩み苦しみ、
 そして、やがて、お子さん以上に、手術の結果を喜んでいるお母さんが大勢いる、
 そういう事実がある、ということも忘れないでください。


 august03








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手術 (モコモコ)
2014-04-12 14:49:57
初めまして。高1の娘を持つ母親です。
小5の時に側弯が見つかり、以後装具治療を受けてきました。しかし先日、装具を外してS 字カーブの胸部コブ角が50度になり手術を勧められました。
その場では戸惑っていたものの、数日後にあっさり納得して今夏には手術すると言っています。近々、医師に相談しに行く予定です。

そこで手術について私の母に伝えたところ「ボーンズ アンド ビヨンド」なるものを勧められました。側わん整体については以前よりこちらのサイトでいくつかの記事を読ませて頂き根拠のないものと認識してましたので、即、悪化するだけだと返信したのですが、これも同じようなものなのでしょうか。博士などの顔写真までそれらしく掲載しているので、手術を前に少々動揺してしまいました。
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