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側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

インプラント由来の金属アレルギーについて

2010-11-24 00:19:18 | 側弯症患者さんの経験
父が入院中で、直接パソコンに向かうことができません為、父よりの聞き取りを代理として書いております。 コメント欄より  「初めまして。私は20年以上前に側わんの手術を受け、一応は治癒したものです。しかしずっとアトピーに悩まされています。体質改善などを努力してきましたが、我慢の限界を超えたため、最近再度金属アレルギーのパッチテストを受けたところ、10年前の検査時とは別の金属に反応を示し、それがインプラント由来の可能性が出てきました。(歯科金属も、メーカーの成分表や、実際に自分に使用されている歯科金属を分析したりしましたが、それには含まれていませんでした。) どなたかインプラント由来の金属アレルギーの経験がおありの方がいらしたら、どんなことでも結構ですので、何か教えていただけないでしょうか。 私は10代のときに手術を受け、皆さんと同様、精神的につらい日々を過ごしたため、再度、あの手術を受け、インプラントを除去しなければならなくなるのかと思うと、不安でいっぱいです。また進行するかどうかわかりませんが、再度固定が必要な場合、近年は例えばセラミックでコーティングされた金属など、アトピーの素因を防ぐことも可能なのでしょうか。 何とぞ情報ご提供のほど、よろしくお願いいたします。」 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////// お問い合わせに対しての父よりの回答です。 アレルギーの基本知識については、すでにご理解いただけていると思うのですが、抗原抗体反応は、ひとりひとりの体質に由来することになります。金属アレルギーを花粉症と対比して考えますと、同じ(生活)環境にあっても、花粉症になる人と、ならない人がいるのと原理は同じです。もうひとつ、同じ(生活)環境にあって、いままではなんともなかったのに、ある時から花粉症を発症することがあります。これは、その人の体の中に、アレルゲンとなる物質が蓄積されていくことで、いわば許容範囲を超えることで、ある時期から抗原抗体反応.....例えば花粉症として現れることになります。 アレルゲン...つまり、アレルギーの原因物質ですが、スギとか、そばとか、あれこれと種類があるわけですが、金属の場合、身近な例でいいますと、装飾品(例えばピアス)でも金属アレルギーを発症することがあります。この場合の、原因物質は、そのピアスの中に含まれている金属組成成分の「ニッケル」「クロム」が頻度としては多いものです。ですから、ピアスで金属アレルギーになった経験のある方も、例えば「金(ゴールド)」のピアスならば金属アレルギーは起こらない。ということはあるわけです。 大切なことは、どの組成成分が「原因」になっているかを調べることになります。 hanahanaさんの場合、すでにいろいろと調べられて、体内に埋め込まれたインプラントが原因物質になっている可能性がでてきた。ということですが さて、お話からは、手術されたのが20年以上前ということですので、hanahanaさんの手術に使用されたインプラントは、「ステンレススチール」であった可能性があります。いまでは、ほとんどチタン製なのですが、20年ほど前ですとまだステンレススチールも一般的に使用されていた時期に重なります。ステンレススチールの成分の中には、「クロム」「ニッケル」が含まれています。......い、いいますか、「クロム」「ニッケル」が含まれたものであるがゆえに「ステンレススチール」としての特性が優れたものとなり、医療用インプラントとして普及した経緯があります。 ですから、ステンレススチールがダメということではなく、残念な結果ではありますが、これらの組成に対しての抗原抗体反応がhanahanaさんに出現した。ということになります。 次に、金属アレルギーの原因物質を調べるためのパッチテストはどういう形で実施されたのかが気になるところです。市販のパッチテストでは完全に試験ができたかどうか、ちょっと不安のあるところです。 アレルギー対策の第一歩は、とにもかくにも、原因物質を確定することにありますので、このパッチテストが非常に重要となります。私が昔やっていた方法は、使用するインプラントを「削り」その粉を溶液に溶かして、それを患者さんの皮膚に貼ってみる。という方法でした。理由は、市販のパッチテストの検体が本当に、「患者さんに使用するインプラント」の金属組成と同一かどうかが不明だった為です。この方法が100%完全であるかどうかは確約できるものではありませんが、少なくとも、この方法のほうが、インプラントの組成成分で試験してみたことになると思い、やっていたものです。 仮の話ですが、もしhanahanaさんの体に埋められているインプラントがステンレススチールでるならば、原因物質は、クロムないしニッケルということになると予想されます。この場合は 治療方法は、インプラントを抜くしかないと思います。昔、インプラントに関わる金属アレルギーの文献を調べたことがあるのですが、金属アレルギーの発症原因の大半がクロム、ニッケルであり、ステンレススチールインプラントを抜去することで治癒していました。 この場合、注意しなければいけないのは、先のパッチテストでも書きましたように、何が原因物質になつているかを特定することから始まるという点です。 といいますのは、もしhanahanaさんの体に入っているインプラントが「チタン」であった場合、可能性としては、チタンインプラントが原因になっている「可能性」は否定できませんが、でもそれは非常に小さな可能性なのです。回りくどい言い方ですが、抗原抗体反応ですから、チタンイオンが長い年月のなかで体内に蓄積されて抗原抗体反応が現れる、という「可能性」はあります。あります、というのは、つねにあるとか、100%あるとかという意味ではなく、厳密な科学的可能性としてゼロであると否定できない。という意味においてです。チタンインプラントが普及した理由のひとつは、金属アレルギーの発症率がほとんどゼロに近いものであることがあげられます。ゼロではありませんが、ほとんど文献からも発見できないほどに非常にまれなものです。ですから、もしhanahanaさんの体内のインプラントがチタンである場合は、本当にチタンが原因になっているかを慎重に調査する必要があります。 次に、もし再手術をするという場合の選択肢ですが、これは、①はとりあえずインプラントを抜去する手術だけをする。もしその後変形が進むようであれば、その段階でインプラント手術をする。 ②としては、抜去をしてすぐにインプラントを埋める。という方法です。②のメリットは、①の場合よりもひとつだけ少ない手術数で済まされる、ということです。 いずれの場合にしても、簡単な手術ではありませんので、医師を選ぶことがとても重要なことはすでにおわかりいただいているとうりです。 手術を数多く経験している先生であれば、hanahanaさんのようなアレルギーケースについても経験をつまれていると思います。 いま診ていただいている先生が、そのような経験豊富な先生であれば、先生から上記のような選択肢を示されていると思いますが、いかがでしょうか。 残念ですが、セラミックをコーティングした脊椎インプラントは存在しません。海外では、一部でHAコーティングしたスクリューもあるようですが、スクリューだけがコーティングされていても金属アレルギーを完全に予防することにはなりません。 現在の医療機器としての選択しは、チタン製インプラントということになります。ゆえに、先ほどの話に戻りますが、何が原因物質になっているかのテストが本当に重要なわけです。 それと、手術をお願いする医師を誰にお願いするか、ということになります。 回答になったかどうかわかりません。もっと気持ちの休まる情報をご提供できると良いのですが、これが私が知る限りの医学的現実となります。 何かご不明の点ございましたら、またお問いあわせください。 august03  (代筆 03子) ☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。  医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。 ☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。 ☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?

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1 コメント

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御礼です。 (hanahana)
2010-11-26 01:09:42
august03様、03子様

お世話になっております。
私はhanahanaこと、中村朱見と申します。
この度は金属アレルギーの件で的確なご返答を早々にいただき、誠にありがとうございました。

突然、赤の他人である私からのコメントにaugust03様はご療養中にも関わらず、03子様にも代筆のご協力をいただき、感激の気持ちでいっぱいです。重ね重ね御礼申し上げます。

本来、もう少し詳しいお話を最初からすべきでしたが、何とぞ失礼をお許しいただきたいのですが、august03様が私の主治医の先生のご関係者であれば、誹謗中傷とも受け取られかねない内容かもしれないということと、現在、その先生の治療を受けている患者さんにとってもショックではないかと思いましたので、かなり内容を省略して投稿しました。そのため、august03様には却ってお手数をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。

しかしいただいたご回答を拝見し、august03様は、その先生ではないと確信しましたので、再度、こちらに投稿させていたきました。
アレルギーの原因がまさかインプラントとは思いたくなかったあまり、十数年以上、かゆみとかきむしった痛みに耐えてきました。今は早くインプラント除去手術を受けたいという思いです。

もし今後、どなたかのお役に立てるのであれば、私の経験談でよければ、もう少し詳しくお話させていただきたいと思いますが、こちらのコメント欄からの投稿を続けてもよろしいでしょうか。
またはメールでも結構です。お手数ですが、ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

中村朱見 E-MAIL:peachtree33@livedoor.com
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