城址史跡を歩く。

日本の城や城址、史跡などを見て歩くのが好きです。
今のところ、九州の城址・史跡が中心です。

高鍋城址(宮崎県)

2010-10-13 | 城(城址)歩き
高城址(木城町)から車で15分程の場所に高鍋城祉(高鍋町)がある。

高鍋城は戦国時代には財部城(たからべじょう)と呼ばれ、伊東氏の家臣・落合氏の居城だった。
天正5年(1577年)、落合氏は跡目問題による事件が元で島津氏に寝返り、
財部城は島津氏の所有となる。

しかし天正15年(1587年)、
豊臣秀吉の九州征伐により、筑前・秋月城主だった秋月種実が移封され、城も秋月氏のものとなった。
関ヶ原合戦後の慶長9年(1604年)には秋月種長により、櫛間からこの城に居城が移される。
延宝元年(1673)に財部城は、高鍋城と名が改められた。

岩坂門前の駐車場に車をとめた。
岩坂門は寛文10年(1670)に完成した、二ノ丸の正門となる。

 【岩坂門跡】

石段を上ると舞鶴神社がある。
高鍋城は舞鶴城と呼ばれ、現在は舞鶴公園として整備されている。



長友勘右衛門の水路功績記念碑。
勘右衛門は高鍋一帯の用水路を敷設。
初代藩主・秋月種長はその功績を大いに称えたといわれる。

【水路功績記念碑】

二ノ丸からさらに上へ、石段を上る。



戊辰の役・殉難招魂の碑。
明治元年(1868)、高鍋藩は高鍋隊を編成。 北越・東北を転戦する。
谷坂墓地に眠る、この戦役で斃れた十一勇士達の霊を悼み、
秋月種樹によって記された碑文が刻まれている。

【殉難招魂の碑】

延宝6年(1678)に完成した長峰門は、もとは櫓門だった。
本丸北側にあり、本丸正門となる。

【長峰門跡】

西南の役・丁丑(ていちゅう)戦亡記念碑。
明治10年(1877)の西南の役の際、
高鍋藩は官軍につくか西郷軍につくか、意見が分かれるも結局は西郷軍に参加。
田原坂の激戦など各地を転戦するも、ついに官軍に降伏する。

この役に参加した者700名余、うち戦死者78名、受刑者20名と多大な戦災を被った。

【丁丑戦亡記念碑】

本丸は芝のきれいな広場になっていた。

【本丸跡①】

本丸にはかつて御殿があり、
延宝4年(1676)、第三代藩主の秋月種信のときに完成する。
藩士の集まる大広間、御書院、家老所、奉行所などがあり、ここで高鍋藩の政治が行われた。

点々と本丸御殿のあった名残りである、礎石が散らばっていた。

【本丸御殿跡礎石】

案内板には細かく御殿の見取図があった。

【本丸跡②】

ここが本丸なら、もう見るものはないかな・・・と思いつつ、
物見台への案内があったので行ってみた。



物見台からの景色は木が邪魔をして、町並がよく見えなかった。
遠くに日向灘が見える。

【物見台からの景色】

物見台からさらに上は山道になっていた。
途中に児童公園があり、遊具などがあったが他には何も見あたらなかった。
案内板によると三層櫓跡があるはずだったが、見つけることができなかった。




ここが三層櫓があった場所かな? と思った・・・何かの跡。



しばらく山道を歩いていたが、とくに何の案内もないので下りることにした。



再び岩坂門跡付近まで戻り、その周辺を歩いてみる。

高鍋藩領の境界に建てられていた二本の石柱。
左は佐土原藩との境にあったもの。
右は延岡藩との境にあったもの。

【領国境標柱】

明治24年(1891)に秋月種樹の住居である萬歳亭が建てられた。
その際、掘られたのではないかと考えられている井戸。
その後も藩主やその一族が、昭和の初めまで使用していたとのこと。

【御殿井戸】

井戸のすぐ側には、刀工鍛冶場を復元した建物があった。
秋月家のおかかえ刀工師は三家あり、いずれも岩下姓で、
初代藩主・秋月種長により、筑前から呼び寄せられたということ。
内部は刀工師の人形によって、鍛冶場が再現されていた。

【刀工鍛冶場】

萬歳亭(ばんざいてい)は秋月種樹の住居として、明治24年に建てられた。

【萬歳亭】

昭和17年に現在歴史資料館のある場所に秋月邸が新築されたことにより、
秋月種英氏の書斎として使用された。

【萬歳亭内部】

【歴史資料館】

ここで高鍋城祉の見学は終えようと思ったが、
本丸跡にぽつんと一つあった、多分石垣の一部であろう石のことが気になったので、
岩坂門跡の石垣をよく見てみた。



所々に本丸の石と同じ、矢穴技法で割られた跡が見られた。

【岩坂門跡の石垣の一部】

ちょうど昨日まで、ここ高鍋城址では灯篭祭りが開催されており、
周辺は約13000基の灯篭の灯りによって、幻想的な光景がひろがるとのこと。

この灯篭祭りは、
高鍋藩の全盛期を築き、江戸時代の名君とされる第七代藩主・秋月種茂を偲び、
種茂の創設した藩校 『明倫堂』 の教えに明かりを灯す・・・
という目的で始まったものらしい。

ポスターやHPでみる、灯篭祭りの情景はとてもきれいなものだったので、
是非一度、見てみたいと思った。