ブログ あさふれ

朝日新聞読者の皆様へ「あさひふれんど千葉」が地域に密着した情報をお届け!

人&ライフ 林作衛さん(55)

2005年09月16日 | コラム
 江戸囃子の笛に魅せられている。林さんが横笛を覚えたのは少年の頃。祭りのお囃子だ。漁師の〝師匠〟に教えてもらった。逞しく無骨な指で奏でる「ピーヒャララ」に、不思議なものを見る思いで、「やってみたい」と思った。出身は海上町(現旭市)で、天保水滸伝でおなじみの笹川繁蔵の実は末裔だ。姪にあたる祖母は、林さんが小さい頃よく繁蔵の話を聞かせてくれたという。繁蔵の生家は醤油と酢の醸造を生業とする裕福な家庭。幼少の頃より学業にも秀でていたという。しかしなぜかヤクザ渡世で名を馳せることに。
その血が騒ぐのかどうかは分からないが、林さんが祭囃子を聞くと落ち着かなくなるのは昔からのようだ。子供の頃にちょっとかじったきりで30数年振りに笛を吹くことになったのは昨年のこと。千葉市から習志野市に引越し、初めての夏祭りに飛び入りで大漁節を吹いた。それがきっかけとなり、本格的に始めてわずか1年ほどだが、曲に合わせて数本の笛を専用のケースに入れて持ち歩き、太鼓連などのサークルに入会、また自身も主催し教えている。
江戸囃子「はまって」しまったのは今年の1月、「光響会(望月太左衛・代表)主催の発表会で江戸囃子の笛の第一人者・尾股真次さんの演奏を聴いてから」。早速知人を通じて尾股先生の教えを請い、今年8月には先生とともに戸囃子を演奏、千葉神社に奉納した。
「一番大変なのは練習場所です」と話す。大きく響く音を出すため、防音施設のない一般家庭では無理。もっぱら公園などで、堤防で海に向かって吹いていたこともある。
また「江戸囃子は江戸時代から伝承されている伝統芸能ですから、現代的な演奏が許されません」とそれまでの演奏方法も根本から見直すことになった。「笛の持ち方から息の出し方まで直されました」と尾股先生の指導は「非常に厳しい」もの。しかしそのお陰で林さん自身の才能もさることながら、短期間で先生と一緒に演奏できるほどの腕前になった。
「まだ始めたばかりでおこがましいですが」と照れながら将来は高齢者や障害を持った人、また子供たちに笛の魅力を伝えていきたいと話す。
   文 やまもとみどり    

最新の画像もっと見る