AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

病院が伝えたいことを日々綴っていきます

● ARどうぶつ病院です。混合ワクチンについて(前編)

2017-08-25 16:24:35 | 病気について
ARどうぶつ病院の盛田です。

今日は病院にてご質問が数多くあった混合ワクチンについてお伝えしたいと思います
今日は下記3つの質問にお答えしようと思います。



①からお答えしていきます。
ワンちゃんのワクチンは1種から最近では11種なんてワクチンも出回っているようです
ネコちゃんも1種から現在は7種のワクチンなんてものがあるようですが、
ワクチンは数ではない。
ワクチンの種類はご家族とペットの生活スタイルによって決まる

と明言しておきます。



先ずはワンちゃんについて。



上記5つについて、①~④まで入っているワクチンは5種またはコロナウイルスワクチンが入り6種ワクチンとして市場に出ています。
⑤の病気はネズミのおしっこをワンちゃんがにおいを嗅ぐなどして感染する細菌です。
この菌は感染したワンちゃんの尿中にも出てくるため、それを処理しようとした人にも感染する届出伝染病(動物を診察して見つけたら獣医さんが国に届け出が必要な感染症)の細菌です。
この菌は種類が7、8種類以上あり、そのうち4種類は日本にも常在しているためこれを予防する際にレプトスピラを何種類入れるかによって7~11種類までワクチンがあるのです

つまり、レプトスピラの中で病原性の高い2種類のみを予防に入れるか、その他のレプトスピラも予防するかが違うことにより7種~11種があるのです。
ちなみにレプトスピラの種類に関してはまだ研究者が色々と分類わけしているため、種類の数も名前も変更などがよくありますので今後も変わるかもしれません。

ワクチン接種はお散歩のいく場所や旅行に行くか行かないかなどご家族の行動が決め手になります。近くの山林や川、大きな公園など、ネズミが居そうな場所に散歩に行くならばレプトスピラ予防のため7種以上のワクチンをお勧めいたします。



ネコちゃんも同様で、上記のカリシウイルスが3種類なのか、1種類なのか、これに白血病ウイルスワクチン、クラミジアワクチンを入れるのかで3種~7種があります。

個人的には白血病ウイルスワクチンやFIVワクチンはあまり免疫力がつかないため、お勧めはしませんが、
『生まれた時から自分の家にいて外に絶対行かないネコちゃんについて現時点で室内飼育が6か月以上、白血病ウイルス陰性、同居ネコに左記ウイルス感染がない場合に関して、外に脱走する可能性は否定できないから7種ワクチンを打つ』
のは良いかと思います。

また、野良ネコちゃんを導入する際は必ず猫エイズと白血病ウイルスの検査は2回行ってください。
検査の間隔は導入直後とそれより1~2か月後、1回目の検査で陽性であった場合でも6か月程度して再度検査した時に陰性に変わることもあるので詳しくは獣医さんと相談しましょう。

②子猫・子犬、里親になった際のワクチンについて

こちらは子犬・子猫が何ヶ月齢かにより変わりますが、
大体はペットショップなどから貰われた場合と、拾ってきた場合に分けられると思います。
前者の場合はおうちに連れてくる前に必ず最終ワクチンをいつ打ったかを確認しましょう。
要点は
 ・2ヶ月齢を越えてから2回ワクチンを接種する
 ・ワクチンの接種間隔は4週間空ける
 ・子犬の場合、レプトスピラのワクチンは3ヶ月齢を越えてから2回接種する
 ・4ヶ月齢以上のワンちゃん・猫ちゃんを拾ったら、
  2~3週間は家の生活に慣らしてその後1か月間隔で2回ワクチン接種をする
 ・以降1年毎のワクチン接種をする

です。
上記の5点はワクチンによる病気予防には重要なことですので、詳しいお話は次回のブログに書きたいと思います。



③ワクチン接種の際の注意点についてです。


まず最初に、
ワクチンは予防接種なので、病気の治療中やドッグランや長時間の散歩に行って疲れている時、トリミングサロンに行った後などは極力さける。
病院併設のトリミングサロンであれば獣医さんの指導の下、状況をみながらトリミング後にワクチンも打つことはできますが、動物病院とトリミングサロンが全く別の場合は連携が取れないため1、2日空けてからワクチン接種した方が良いと思います。
ワクチン接種後すぐに免疫力はつきません。むしろ免疫力をつけるため、3~4日免疫力が一時的に弱まり1週間程でやっと免疫力が獲得されますので、ワクチン接種して1週間、少なくとも5日間は旅行や激しい遊びなどは避けましょう。
また、上記理由からワクチン接種の後、1週間くらいトリミングは控えてください。
フィラリア予防やノミ・マダニ予防は、ワクチン接種の前後2、3日空けて行うほうが良いかと思います。



最後に副作用について
ワクチンは数千頭に1頭はワクチンアレルギーが出ると思います。
ワクチンアレルギーは入ってきたワクチンに対して免疫力が過剰に働いてしまうために起こるので、初回のワクチン接種より2回目以降のワクチン接種時に起こることが多いです。
ヒトで代表的なアレルギーとして花粉症が挙げられますが、花粉症も
「去年は平気だったけど今年から…」
という話を聞くと思います。
なのでワクチンアレルギーも、
『去年大丈夫だったから、今年も大丈夫』
ということはありません。

犬種でいえばⅯ.ダックスフント、フレンチブルドッグ、ジャックラッセルテリア、チワワちゃんなどが多いように思います。
ワクチンアレルギーはワンちゃん達がつかれている時、興奮した時にワクチンを接種すると出やすいと思います。
可能であればワンちゃん達が集まり興奮する集合注射などは避け、病院で大人しくして注射後も安静にすることで副作用は出ないことが多いです。
ワクチンアレルギーは種類があります。
代表的なものは2つ
 ・甚急性型:急にぐったりして血圧が下がり、放っておくと亡くなることもある。
 ・急性型:顔が腫れたり手足が腫れる、注射部位だけでなくいろいろな場所に痒みが出てくる。
です。
甚急性型は結構怖いですが、ワクチン接種後30分以内で起こることが多く、そのため当院ではワクチン接種後30分は病院内で待機してもらうことが多いです
急性型は12時間以内に出ることが多いので、ワクチン接種は可能な限り午前中に打ってもらい、その日はご家族が就寝するまでワンちゃんをみてもらうように伝えてます

以上、思いつくことをつらつら並べましたが、細かいことや病院によってのルールは病院ごとに違いますので、かかりつけがある方はその先生とよくお話をして適切なワクチンを打ってもらってくださいね

患者様が増えてきたため、ブログの更新が遅れてしまいすみません。次回は早いうちに更新したいと思います(;´・ω・)
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