AR(エーアール)どうぶつ病院ブログ

川崎市登戸にあるARどうぶつ病院

院長やスタッフの日々のブログです

病院が伝えたいことを日々綴っていきます

● ARどうぶつ病院です。(簡単に)リンパ腫って何だろう❓

2019-12-10 17:26:19 | 腫瘍コラム

毎年腫瘍を診察する中で最も多い腫瘍の一つがリンパ腫です。

簡単に言ってしまうとリンパ腫とはリンパ球が腫瘍化したものです

では、そもそものリンパ球とはどのような細胞なのでしょうか

リンパ球は白血球のなかのひとつで、体内に入ってきた菌やウイルスなどの外敵を排除して体を守るのが仕事です

 

腫瘍化すると菌やウイルスに対して攻撃しなくなるだけでなく、リンパ腫の種類によっては免疫力とは関係ないムダな抗体(γグロブリン)を産生したり、自分の細胞(組織)を攻撃しだすこともあります

 

 

リンパ球が産まれる場所は骨髄で、成長(成熟)する場所はリンパ節や脾臓などです。

成熟したリンパ球はそれぞれに役割があります。

主に血管やリンパ節内にとどまっていますが、一部のリンパ球は成熟すると体中に移動して直接菌などを攻撃するようになります。

つまり、リンパ球は体中どこにでもいるので、リンパ球が腫瘍化するリンパ腫は体中どこにでも発生します

 

リンパ腫の分け方としては大きく

① 悪性度による分類(ハイグレード/ローグレード)

② 細胞の種類による分類(B細胞性/T細胞性/nonB・nonTなど)

③ 発生部位による分類(多中心型/消化器型/皮膚型など)

があります

これら分類は全て意味がありますが、今回は触れずにおきます。

リンパ腫の治療は様々で、1か所に発生した腫瘍に関しては外科的切除や放射線治療も適応されますが、主に血液やリンパ節中にいるリンパ球が腫瘍化することが多く、そのため多くの症例では多発的に腫瘍が発生していることが多いことから抗がん剤による全身治療が主流です。

 

 

以上リンパ腫についてざっくりと書いてみました。今後も折を見てリンパ腫に関しては書いていこうと思います。

 

今年の腫瘍コラムは今回で終了となります。また来年腫瘍コラムを更新しますので来年もみてください。

 

皆様も良いお年をお迎えください。

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● ARどうぶつ病院です。抗がん剤~人類の英知~(後編)

2019-10-09 18:35:09 | 腫瘍コラム
皆様こんばんは、いまだに台風は発生し、これからまた関東地方に猛威を振るうようですが、朝晩は徐々に涼しくなって過ごしやすくなってきたと思います
こんな季節には温泉でお月見なんて風流ですね…今はまだそんな暇はありませんが時にはゆっくりとしたいものです
 
さて、前回の続きです。
人類の英知として讃えた『抗がん剤』ですが
なぜ、悪いイメージが先行しているのでしょうか
 
それは、抗がん剤には副作用があるからです。
断っておきますが、薬というものは、そもそも副作用があります。
抗生物質は細菌を殺すために使用しますが、時に肝臓や腎臓に負担をかけ、また下痢や嘔吐といった消化器疾患を引き起こすこともあります。
つまり、抗がん剤だけが副作用があるわけではありません。
ですが、抗がん剤はその薬の作用上、正常細胞も無作為に殺してしまうのです。
すなわち、
細胞分裂している細胞は全て抗がん剤の攻撃対象
となるのです。
これが他の薬と大きく違うところだと思います。
 
 
上記に記載した副作用が抗がん剤の副作用として最もよく知られているものです。
 
また、抗がん剤が嫌われるもう一つの理由は
抗がん剤だけでは癌を根治することが困難であるということ。
そもそも、抗がん剤は細胞レベルの腫瘍に対して90~99.9%細胞を殺す効果を持っています。
しかし、抗がん剤の効果は投与して数分~数時間で失活します。つまり殺せるのはほんの一瞬…対して副作用のせいで、ガンガン投与すると正常細胞が死滅してしまう可能性もある
そのため、抗がん剤の投与には一定期間間隔をあけて使う必要があるのです
 
 
 
腫瘍の種類にもよりますが固形の腫瘍1g中に約100万個の細胞があるといわれております。
もし、直径1㎝の腫瘍があった場合、
5×5×3.14×1000000=78500000個
抗がん剤で99.9%殺しても
78500000/1000=78500個
これだけの腫瘍細胞が生き残り、数時間ごとに倍々の細胞分裂をして
また増殖していくのです。
 
 
困った、困った。 みんなで相談しよう
 
 
つまり、副作用がこんなにあるのに得られる成果はこんなもんか…
というのが多分抗がん剤を嫌煙する根源なのかと思います。
 
 
しかし、癌の宣告を受けてから亡くなるまで、抗がん剤が発見される前より余命が延びたのは紛れもない事実ですし、
今後、必ず抗がん剤は更なる進化を遂げ、徐々に副作用も少ないものになっていきます。
それは、生理学や医学の進歩により簡単に言うと
正常細胞と腫瘍の見分け方がより細かくできるようになってきたため
です。
今後の医学の発展に期待して今回のブログのまとめとしたいと思います
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● ARどうぶつ病院です。抗がん剤~人類の英知~(前編)

2019-08-27 20:58:50 | 腫瘍コラム

ARどうぶつ病院の盛田です。お盆も過ぎて暑さもピークを過ぎましたね

これから台風などが気になる季節です

しっかり防災対策を建てて災害発生時には動物達とスムーズに避難できるようにしておきましょう

本日のテーマは『抗がん剤』、化学療法剤ともいわれます

聞き流していることが多いですが最近、巷では芸能人やスポーツ選手が癌になって抗がん剤…などの話題を聞いたことがあると思います

また、『抗がん剤なんて使ったら寿命が縮まるだけ』なんて人類の英知をドブに捨てるような言葉もネット上ではあがっており、知っていてもイメージが悪い抗がん剤…

 

この抗がん剤ってどんなものでしょうか。

文字を見ると

がんに抗する薬剤

ですが、正確に申し述べるなら

細胞分裂を何らかの形で阻止し、その細胞を細胞壊死に導く薬

だと思います。

 

以前にもブログに載せましたが

腫瘍細胞は細胞分裂に歯止めが利かなくなった細胞

のことです。

この特徴から

細胞分裂している細胞を殺す方法として抗がん剤が開発されたのです。

これ非常に画期的で、手術などを行って、腫瘍細胞が少量しか体内に無い状態であれば

抗がん剤の投与を行うことで腫瘍細胞を殺し尽くし、完全寛解や治癒に持っていける確率が著しく向上しました

 

これほど素晴らしい抗がん剤

なぜ悪いイメージが先行してしまうのでしょうか

次回を乞うご期待

 

今回はこの程度にして、8月のキャンペーンですが、患者様のおかげをもちまして、満員御礼となりました

つきましては9月のキャンペーンの告知です

年に一度この時期だけ

ワンちゃんネコちゃんの健康診断キャンペーンですので、この際に気になることを解消してみてはいかがでしょうか

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● ARどうぶつ病院です。リンパ腫?白血病?

2019-05-22 18:06:43 | 腫瘍コラム

ARどうぶつ病院の盛田です。忙しさにかまけてなかなかブログを書かなくてすみません。

看護師さん達の書くブログが可愛くて、私の書くブログはちょっと場違い感がありますね

 

5月に入りようやく暖かな日が増えてきたと思ったら、明日から猛暑日との予報

この時期は日ごとの天気や気温が変わりやすいだけでなく、日中と夜間における寒暖差も激しいため、人と同様に動物達も熱中症だけでなく体調を崩しやすくなっています

少しでも変わった変化がありましたら動物病院で診察してもらってください。

 

また、当院周辺では5月末からフィラリア予防を始める時期となっています(4月上旬には蚊が発生していたため)。

年間通して行うノミ・マダニ予防だけでなくフィラリア予防も忘れずに行いましょう

 

今回はリンパ腫と白血病の違いについて。

 

上記二つの腫瘍は全く違うものですが、飼い主様にとってはよく混同してしまう病気です。

特に猫ちゃんはウイルス感染によりリンパ腫の発生率が上がることがあり、わからなくなるようです。

今回はこの二つの腫瘍について、浅く話を展開したいと思います。

獣医師や動物看護師の方には簡単な話なので復習がてら流して読んでください。

 

まず、白血病とリンパ腫の違いとして、大きな違いは

① 発生部位

② 白血病にはリンパ球以外の細胞腫瘍もある

ことです。

 

①に関して、白血病は骨髄で腫瘍が発生します

対して、リンパ腫の発生部位は骨髄以外の臓器です

 

そのため、

② 白血病にはリンパ球以外の腫瘍もあり得る。

のです。

下の図は急性白血病の分類ですが、見てのとおり、白血球のなかのリンパ球だけでなく、単球や好中球、赤血球や血小板の細胞(前駆細胞)も腫瘍となることがわかるかと思います。

また、急性だけでなく慢性もあり(WHO分類参照:

http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse2646.pdf)、治療や予後が大きく変わってきます。

一方、リンパ腫はリンパ球が腫瘍化したもので、発生部位やリンパ球の種類、悪性度などによりさまざま方法で分類分けされています。

こちらに関してはまたいずれの機会でお話しします

 

一方、白血病とリンパ腫の類似点は、

① 特定のウイルス感染により発生率が上がることがある

② 治療法は抗がん剤がメインである。

③ 病気の進行度はまちまちであり、それにより治療方法が変化する。

④ 進行すると全身に腫瘍が浸潤(転移とは言わない)する

ざっとこんなものでしょうか。

 

①は猫におけるFeLvウイルス(猫白血病ウイルス)感染が有名ですが、人でもHTLV-1ウイルスやEBウイルスが白血病やリンパ腫の発生に関与していると示唆されています。

猫白血病ウイルスはネコちゃんにおける白血病を起こす場合があるだけでなく、リンパ腫を引き起こす可能性もある恐ろしい病気です。

白血病の検査は

④の全身性のリンパ腫の場合はリンパ腫かリンパ球性白血病か診断するのが困難な場合があり、診断により治療法や予後が変わってくるためにこの場合は骨髄生検を実施する場合があります。

 

一見、同じような細胞が腫瘍化しているように思えますが、前述したように治療方法や予後が異なりますので、可能な限り確定診断を行うようにしていきましょう

本日は「白い巨塔」の第1日目

唐沢寿明の財前もよかったですが今回はいかがでしょうか

楽しみですそれでは

 

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● ARどうぶつ病院です。皮膚肥満細胞腫~華麗なる詐欺師~

2019-04-11 12:15:52 | 腫瘍コラム

ARどうぶつ病院の盛田です。

サクラの季節となり、ようやく暖かい日が続くようになりました。

本日は最近病院で流行りの肥満細胞腫について書いていきたいと思います。

 

上記皮膚の炎症について

これを皮膚炎と片付けてしまいがちですが、ほかの可能性も少し考えたほうが良いでしょう。

そう、これはれっきとした腫瘍、肥満細胞腫です。

肥満細胞腫は文字通り肥満細胞が腫瘍化した腫瘍ですが、一見皮膚炎のように見えてしまいます。

そのため、『華麗なる詐欺師』の二つ名がつけられるようなわかりにくい腫瘍なのです。

肥満細胞腫は主に皮膚や粘膜面に発生する腫瘍です。

元々肥満細胞自体、炎症反応やアレルギーといった免疫機能に関わる細胞なので、腫瘍となっても炎症を引き起こす性質は残っております。

 

刺激をすれば肥満細胞が炎症を起こす物質(ケミカルメディエーター)を出すことにより患部が発赤し腫れますが、放っておくと肥満細胞がこの物質を放出しなくなり、ケミカルメディエーターが無くなるため炎症がひいてあたかも炎症が改善したかのようになります。

 

『ある病院では、皮膚炎の治療を行い発赤が多少治まったからと皮膚炎の治療を漫然としてしまい、気が付いた時には病気が進行して取り返しのつかないことになっていた…

 

なんてこともセカンドオピニオンとして経験しております

 

肥満細胞腫は低(病気がひどくなりにくい)~高グレード(悪性)まで3段階にグレード分けされています。

犬種によっては低グレードの肥満細胞腫が好発することもありますが、これは見た目や細胞診だけでは100%は区別できません

なので、完治を目指す治療を考えるのであれば肥満細胞腫が疑われた場合は必ず組織検査を行いましょう。

また、術前の細胞診を行った際は、採取した病院で染色して、必ず腫瘍細胞の有無を確認することが必要です。

肥満細胞腫が疑われた場合は確定診断を兼ねて病理検査に送り、その間にステージング(血液検査・Ⅹ線検査・エコー検査)および手術の日程を検討するくらいの計画性を持って行うことが必要です。

また、腫瘍がとり切れないことも考え、術後の治療についても考えていきましょう。

ステージングにて腫瘍病変の進行が疑われる場合は、遺伝子検査を行うことで、分子標的薬の治療が効果的であるかどうかわかることが知られています。

肥満細胞腫に限らず腫瘍か腫瘤か炎症かわからないケースは多々あるので、

「これは皮膚炎かな?」

と思っても、放っておいたりせずに早めに動物病院で確認してもらいましょう

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