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田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

朗読

2017年09月26日 | 日記
9月はワンマンと『第三木曜部』で、それぞれ朗読をしました。

ワンマンの時は途中で少し雰囲気を変えたくて、
大好きなブルースをBGMに、真夜中のコンビニとウィスキーなお話を。
『第三木曜部』では先月のゲームの罰ゲーム企画として、
ほんの少しだけ自分なりに官能的な内容を。

詩の朗読は30代の頃に何度かしたことがあって、
実は結構好きだったりします(^-^)
朗読っていうか、やっぱり書くのが好きなんですよね。
散文詩のようにまとまりのない言葉の羅列を、
思いつくままに書くのが好きなんです。

2編の詩、良かったら読んでください。




無題

もう一度君に会えたらなんて言うだろうか?
いや
とくに会いたいわけでもないし
何か言いたいことがあるわけでもない
正直に言うなら
もう会いたくないと思っている
会いたくないと
そう思っていることにしたい
ただそれだけのことなのかも知れないけれど

最近
真夜中のコンビニがやけに優しく感じる
それはたぶん君がいなくなって
誰もいなくなって
俺の中から俺さえいなくなって
何もかもが都合のいいバランスで
都合のいい速度で回転しながら
都合のいい孤独を演出してくれているからに違いない

ウィスキーの小瓶をレジに持っていく
ついでに何か安いアテもその横に添えて
可もなく不可もなく
あらゆる物事が現状維持を期待しながら
それでいて少しずつ
ちゃんと狂っているように俺には見える


月にかざした虚しさを
氷と一緒にかき混ぜて飲み干す


もう君は寝たんだろうか?
誰もいない真夜中の横断歩道で
赤信号に立ち止まり
ちょっとだけ
空を見上げた





今夜、すべてが流線型になる

夢の中へ堕ちてゆくような感覚
そこは柔らかい君の世界
だけどいつだって堕ちる途中で
俺は無理やり夢から覚める

ほんの僅かな隙間が
このシーツの中に存在する
その気になれば触れることもなく
君の体温を感じることだって出来そうな
そんな隙間で俺は遊んでいる

シーツの中はまるで宇宙のようだ
この部屋の天井に星はなくとも
俺にはそう思える
例えば俺はシャトルから飛び出した無謀なパイロット
だとすれば君は小さな惑星
ゆっくりと引力に引かれながら
俺は君に落下する


唇に君を含んだ感触が蘇る


落下するスピードが増す
鼓動
血流
唾液
やがて俺は形をなくし
君の海に飲み込まれてゆく
君は知っているのだろうか?
俺の形を

今夜、全てが流線型になる
君の小さな手の平に
俺がこぼれた



コメント
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