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田中悟の片道旅団

大阪で芝居と弾き語りをしています。

記憶の井戸

2025年06月20日 | 日記
今日のブログも前回(懲りない男 2025年06月07日)と同じく私小説を書いたことに関連した内容になる。いや正しく言えば「私小説もどきを書いたこと」についてとなる。

何のきかっけで何を書いたのかは前回のブログを参照して頂きたい。とは言え前回のブログでも内容に関してはそんなに具体的には書いてないのだけれど。
ともあれ今も思いついては応募した原稿に対して少しずつ改訂作業を続けている。どんどん色んなことを思い出す。今回の執筆が呼び水となって深い記憶の井戸から古い自分の気持ちが蘇ってくるかのようだ。いや案外それは古い記憶ではなく今もなお新鮮なまま残存しているリアルな気持ちなのかも知れない。






この件に関してYouTubeにも雑談をアップしました。内容はほとんど同じかも知れないけれど良かったら肉声で聞いてください。
後半に思い出したかのようにほんの少しだけ音楽についても話してます。とは言えやはり内容に関してはそんなに具体的に喋ってないけど。

いつかこのブログに本文を公開したいです。
それまでこつこつと思い出したとを書き足しながら。




【ラジオ】小説は楽しい。たまには音楽以外のお話を。







【LIVEスケジュール】
ロージー心斎橋NEO
【日時】7/6(日) 19:00オープン 19:30スタート
【料金】2.000円(ドリンク別)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】きりん 田中悟 Zackie
弾き語りLive Bar MK2
【日時】7/9(水) 19:30スタート
【料金】900円+1drink
【場所】弾き語りLive Bar MK2
【出演】音キチDHS 田中悟 上吉(うえきち) いっちょく 森川尚史
茨木 時代屋
【日時】7/20(日)※時間未定
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】時代屋
【出演】BABU 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】7/26(土)オープン19:00/スタート19:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】田中悟 西正祥 FutoshiMitani Yoshino
弾き語りLive Bar MK2
【日時】8/14(木) 19:30スタート
【料金】900円+1drink
【場所】弾き語りLive Bar MK2
【出演】田中悟 他
ロージーABENO
【日時】9/22(月)オープン19:00/スタート19:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】田中悟 三畳哲彦 松延慎吾
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懲りない男

2025年06月07日 | 日記
 ちょっと恥かしい話だが小説みたいなものを書いた。
 いや小説を書くという行為が恥かしいわけではない。自分のような人間が小説を書くということが恥かしい。この場合の恥かしいは「照れる」に近い。それと内容やクオリティが恥かしい。それなのに「書いた」とブログにて自ら公表しているのだから厚顔無恥もいいところだ。なので少しぐらいは「恥かしい」と言える奥ゆかしさが欲しい。こんなの奥ゆかしさでもなんでもないけど。

 今年になって小説を読み出して読書の楽しみを覚えたのだけれど、単純なので小説を書いてみたいという気持ちがすぐに芽生え、素直に実行に移したのだった。ほんと単純。
 だからと言って自分に小説を書く力がないことは先刻承知のこと。でもそんなの関係ない。出来るか出来ないかではなく、やるかやらないか、書くか書かないかだ。何でもいいから書きたいなら書けばいいし、書けなければそれでいいのだ。そもそも書けないことは先刻承知なのだから。

 ある日たまたまネットの公告で「文章の募集」を見かけた。募集されているのは小説ではなく文章。募集要項を見てみると小説、エッセイ、詩、雑記、ブログに公開している文章等、なんでも良いと書いてある。書式も自由とのこと。「これなら何となく敷居が低い」と失礼かも知れないが軽い気持ちで応募してみようと思った。しかしテーマがあった。それは「人生」。人生とは何ぞや?について語るのではなく「自分史」だった。

 「自分史」と言われるとちょっと抵抗があった。もし事実に忠実に描くとしたらそこに登場する実在の人達のプライバシーはどうなるのかな?なんて思うのである。なので最初は自分の人生をテーマにしたフィクションを書こうと思ったのだけれど、よくよく募集要項を確認するとやはりあくまで「自分史」だった。腹を決めて書くことにした。だけど誰の実名も出てこない。その辺は書き方次第で何とでもなるだろうと思いながら。

 



 このブログで何度も何度も「僕は昔のことを思い出してばかりだ」的なことを書いてきた。ここにきてまた幼少期から少年期を振り返る作業をした。それもかなり丁寧に細部に渡って人生を反芻した。

 それで良かったのだと思う。

 何がどう良かったのかは具体的に上手く言葉に出来ない。何かを書くことが好きではあるが自分の気持ちを言語化するのは苦手だ。でもそれでいい。得意か苦手か、上手いか下手か、出来るか出来ないか、じゃない。やはり、やるかやらないか、書くか書かないか、だ。

 ブログとはまた違った脳みそとエネルギーを使いきって今もまだエンプティーだ。締め切りが五月末日だったので強引に完結させたのだけれど今も改訂を続けている。書くこと、応募すること、更に書き続けること、それが目的だ。実際書き上げた物は小説と呼べるようなレベルのものではなく中学生レベルの作文だ。だけどそれでいいのだ。

 ほんの少しだけ十代までの自分を客観的に見ることが出来るようになったような気がする。十五歳から四十年過ぎても未だ何も解決していない心を抱きかかえて生きている。懲りない男だ。






【LIVEスケジュール】
ロージーABENO
【日時】6/15(日)オープン16:00/スタート16:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】絶妙なアンバランズ 田中悟 BABU 赤尾まさはる
ロージー心斎橋NEO
【日時】7/6(日) 19:00オープン 19:30スタート
【料金】2.000円(ドリンク別)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】きりん 田中悟 Zackie
弾き語りLive Bar MK2
【日時】7/9(水) 19:30スタート
【料金】900円+1drink
【場所】弾き語りLive Bar MK2
【出演】田中悟 他
茨木 時代屋
【日時】7/20(日)※時間未定
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】時代屋
【出演】BABU 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】7/26(土)オープン19:00/スタート19:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】田中悟 西正祥 FutoshiMitani Yoshino
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リハビリ

2025年06月01日 | 日記
6月。
今年も半分ほどが過ぎた。
日々は変わらない。変わらないようでいて同じではないけれど。
僕の身体も変わらないようでいて、やっぱり一秒ごとに変化はしている。何せ有機体なので。
喉の調子は徐々に良くなってはいるけど、これがなかなか完治しない。
もしも芝居や音楽をしていなければこんなに神経質になることもなかっただろうと思う。現に実生活には何の支障もないのだ。
だけどどんな仕事やライフスタイルであれ健康って本当に大切だなと実感する日々だ。

休養こそが一番の薬だと思うし、それが真理だろう。
でも敢えて動くことで回復へと向うこともある。リハビリだ。
彼の地では右腕を手術してリハビリ中の投手がブルペンで150キロを超える剛速球を投げたり、そのまま試合に出て3試合連続でホームランを打ったり一試合に2本のホームランを打ったりしているが、僕は僕なりの小さな歩幅で。





久しぶりにYouTubeでラジオ形式の動画を作った。
喉を痛めているのに敢えてラジオ。
でも僕自身が骨伝導によって聞いているよりは随分と声は復調しているように思う。
そして喋りの内容も少しは成長していれば良いのだけれど。
動画作りが楽しい。
最近になって以前よりも視聴回数が増えているお蔭でモチベーションも上がっているのだ。本当に感謝の気落ちでいっぱいだ。
僕に何が出来るのだろうか?
そんなことを考えながらずっと生きている。
何も出来ないし、何でも出来るのだ。何だって出来るはすだ、何にも出来なくても。



喉を痛めた状態で何とかかんとか歌っているライブの音声もしてます。
お聞き苦しいかと思いますが、良かった聞いてやってください。


【ラジオ】喉が大変でした。しゃがれた声でライブをした日。



天国まで

何もかもが僕を置いてきぼりにして行く
気がついたらもう誰もいない

あの時だってそうさ振り返れば何もない
優しさだってそうさ何も残らない

傾いた路地の影
消えかけの五線紙
誰かが飲んで捨てた
空き缶のサビ

ねぇ僕らをどこかへ 連れて行ってくれないかい
行き先など分からなくていいから
ねぇあの娘とどこかへ 連れて行ってくれないかい
行き先など分からない方がいいよ
淡い夢を見てたい

真夏僕は病んで 汗の中で夢見た
追いかけたら幻 踵突き刺さる

あの時知ったのは 星空 闇 雨 風
あの時知ったのは 揺れる瞳と君

鳴き止まない蝉の声
真夜中の自販機
誰かが盗って捨てた
原付のサビ

ねぇ僕らをどこかへ 連れて行ってくれないかい
昔の記憶 未来の果て どちらでもいいよ
ねぇあの娘とどこかへ 連れて行ってくれないかい
幸せだけ 幸せだけの国へ
飛んで行けないの?






【LIVEスケジュール】
ロージー心斎橋NEO
【日時】6/1(日) 19:00オープン 19:30スタート
【料金】2.000円(ドリンク別)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】きりん 田中悟 川内聡一朗 Uma
ロージーABENO
【日時】6/15(日)オープン16:00/スタート16:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】絶妙なアンバランズ 田中悟 BABU 赤尾まさはる
弾き語りLive Bar MK2
【日時】7/9(水) 19:30スタート
【料金】900円+1drink
【場所】弾き語りLive Bar MK2
【出演】田中悟 他
茨木 時代屋
【日時】7/20(日)※時間未定
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】時代屋
【出演】BABU 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】7/26(土)オープン19:00/スタート19:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】田中悟 西正祥 FutoshiMitani Yoshino
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悲しい喉にキュバールを捧ぐ

2025年05月24日 | 日記
久しぶりにコーヒーを飲みたいと思った。暫く飲んでなかったのでいつものインスタントコーヒーが瓶の中で固まっているのではないだろうかと思ったが案外普通だったのであまり面白くなかった。だけどそれはそれで予想もしていたことだったので相変わらずの予定調和だと思った。

インスタントコーヒーをマグカップに入れながら「どうせ不味いんだろうな」なんて思いが過ぎった。インスタントコーヒーには申し訳ないが実際美味しくないのだ。コーヒーが不味いのか自分の味覚がまずいのかは微妙だけれどどちらにしても美味しくない。飲み物というより何かしらの化学物質を舌の上に乗せているかのような気分になるのだ。全く以て有機的な感じがしない。それはコーヒーだけに限らず発泡酒ややたらとアルコール度数の高い缶チューハイや安いワインなどにも感じることだ。とにかく無機質に感じる。しかしその無機質さの中には虚無感のようなものがない。主調が強いのだ。何か強烈な意思表示としての無機質さがそこにあるような気がしてならない。しかし僕はそれらを毎日のようにわざわざ好んで摂取しているのだからおかしな話しだし、おかしな人間だ。だけどそれが人間だと言えば人間なのだ。実に人間らしく小さく狂っている。

今朝は珍しくコーヒーに砂糖を入れてみたくなった。
甘い物が苦手なので基本的にブラックを好むが時々甘いコーヒーが飲みたくなる。そこで滅多に消費しない砂糖の登場である。それこそ滅多に使わないからカチコチに固まってもう砂糖の味さえしないのではないだろうかと思ったがそんなことはなくサラサラと流れるようにティースプーンからマグカップに落ちていった。これもやはり予定調和だが問題は砂糖の量だ。そもそも甘い物が苦手な癖にコーヒーに砂糖を入れているのだから矛盾している。甘くしたくないのに甘くしたいのだ。いや僕が求めているのは甘さではなく多分「こく」だ。しかし砂糖を入れることでコーヒーに「こく」が出るのかどうかは定かではない。そもそも「こく」ってなんだ。僕は「こく」をちゃんと理解していないのに「こく」を出そうとしている。これまたおかしな話だ。しかしひとつだけ自信を持って言えることがある。それは僕は「こく」の正体が分からなくても「こく」のない状態についてならちゃんと分かっているということだ。なぜならそれは僕が調理する料理全般に言えることだからだ。塩、コショウ、醤油ぐらいしか味付けに使わない僕の料理はどれもこれも「こく」や「うま味」がない。もしかしたら人生もそうかも知れない。味気ない。
そんなことを思いながら僕は砂糖を適当に入れたコ-ヒーをティースプーンで掻き混ぜた。どういうわけだかマグカップの中からコーヒーが左手に跳ねて熱かった。色んなことが実に雑な朝だ。そして久しぶりに飲んだ砂糖入りのコーヒーは微糖にしてやはり不味かった。

コーヒーを暫く飲んでいなかったのにはちょとした理由がある。口の中に蔓延る化学物質感のせいもあったが真の問題は口中の乾燥だ。実際コーヒーを飲むことで口の中が乾くかどうかは実感としてはあまり分からないけれどカフェインが体から幾許かの水分を奪うのは周知の事実だ。そういう意味ではアルコールも同じかも知れない。カフェインとアルコールを毎日摂取する僕の体内はさぞかし乾燥しているに違いないと思ったのだ。それが原因で喉がカスカスになって歌唱に支障をきたすのではないだろうかと思ったのだ。なので最近ではアルコールも少しずつではあるが控えるようになっていた。ほんと少しずつだけど。





喉がカスカスになってしまう原因はカフェインやアルコールだけではない。歌唱法そのもにも原因があるような気がした。そこで最近では歌う時に喉や下顎に余分な力を入れないように注意をするようになった。歌を歌うにあたり脱力こそがより良いパフォーマンスの鍵になると踏んだのだ。その甲斐あってか最近は声が少しずつスムーズに出せるようになりつつあると感じていたし、そうなると歌うことがまたひとつ楽しくもなり自ずとモチベーションも上がり心身ともに充実を感じるようになっていた。

が、そんな矢先、突然声が出なくなった。
なんでやねん。

少し前のブログ『緊張的リラックス』でも「歌う時にもっと下顎の脱力を心掛けたい」という内容の記事を書いてるし、五月十日(土)に行われた今月最初のライブでもいつもと同じように歌い、週が明けた十一日(月)も夜にはスタジオで2時間ぶっ通しのリハを敢行した。なのにその翌日の朝に突然声が出なくなった。
風邪かな?と思ったが何となく風邪とは違う違和感が喉にあったので急いで近所の耳鼻咽喉科へ行った。内視鏡で診て貰うとポリープまでは出来ていないがそこそこ重傷の声帯炎だった。なんてこった。その週の日曜には次のライブが入っている。とりあえず火曜は安静に過ごし、水曜は再びスタジオでリハーサル。声を出すべきではないが日曜のライブに向けて色々と喉の状態をチェックしておく必要があった。まずどうやって歌うかが一番の問題だった。高音やファルセットは勿論のことそもそも声が出ない。この日分かったことは「今は声を出すのも無理」ということだけだった。本番まで中四日ある。その間にどこまで喉が回復するかに賭けるしかなかった。翌日木曜は完全に喉を休めて金曜に再び歌ってみたがやはり声が出ず通常のようには歌えない。そこで思いついたのが「極限までキーを下げて小さな声で語尾を延ばさず途切れ途切れに歌うこと」だった。そうすれば何とか歌えるかも知れないと思ったのだ。まず予定していたセットリストのうちキーを落とせば歌えることを確認出来たのが二曲。あと三曲ほど歌える曲を用意しなくてはならない。翌日土曜にやっとこさっとこ五曲が揃い日曜はライブ本番となった。

そしてライブ当日。なんとか、歌い切れた。
歌い切れはしたが聞きに来てくださったお客様やお店や共演者の皆さんには失礼なことしてしまったと悔やんでいる。好不調の波があろうともちゃんと体調管理をして万全の状態でライブに臨まねばならない。しかし意外なことに声の評判は悪くなく「今日みたいな歌い方が良かったかも」とまで言われたりもした。「ほな今までは何やってん!」と笑いながら突っ込みを入れたが、そうやって冗談を言えることに随分と心が救われた。周囲の皆様の優しさのお蔭であることは言うまでもないし、感謝しかない。
明けて十九日(月)に油断をして喉に負担を掛けてしまい再び声が出なくなり、急遽病院に行って新たな薬を処方して貰い、二十三日(金)のライブも何とか乗り切った。今では「キュバール」と言う吸入剤が一番の頼りだ。小さなエアゾールを口にくわえて一日二回喉の奥に吸い込んでいる。一応無味無臭ではあるがこれまた化学薬品特有の苦味がある。ただ不味くはない。ほんのりとした苦味が口の中に残るだけで舌触りも案外悪くなかったりする。もしかしてこれが「こく」なのか?とか言ってみたりして。

はい、ちゃんと喉治します。





【LIVEスケジュール】
ロージー心斎橋NEO
【日時】6/1(日) 19:00オープン 19:30スタート
【料金】2.000円(ドリンク別)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】川内総一郎 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】6/15(日)オープン16:00/スタート16:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】絶妙なアンバランズ 田中悟 BABU 赤尾まさはる
茨木 時代屋
【日時】7/20(日)※時間未定
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】時代屋
【出演】BABU 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】7/26(土)オープン19:00/スタート19:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】田中悟 西正祥 FutoshiMitani Yoshino
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ノルウェイの森

2025年05月20日 | 日記
タイトルは知っているけど歌は思い浮かばない、そんな曲ってあると思う。聞いてみれば「ああ、この曲なら知ってる」となって結局「曲は知っていたけどタイトルが何のか知らなかっただけ」みたいなことになったりすることもあるけれど。
小説もそうかも知れない。作品名や作家名は知っているけど内容は知らない。音楽を何気なく耳するように小説の中味を何気なく目にするなんてことはなかなかないので、そういう意味では音楽を聴くことより小説を読むことのほうが能動性を必要とするのかも知れない。ちょっとしたハードルの違いがそこにあるように思う。

村上春樹氏の『ノルウェイの森』を読んだ。
僕はそもそも小説を読む習慣がほとんどないのだけれど(勿論まったく読まない訳でもない)ふと思い立って「何か小説でも読んでみようと」近所の書店を訪れたのが今年1月のこと。『浅草キッド』(ビートたけし)『火花』(又吉直樹)を読みたいと思ったのだった。大型書店に在庫確認でもして取り置きして貰おうかとも思ったけど、とりあえず散歩がてら久々に近所の本屋さんに行ってみようと思って出掛けた。結局その日はお目当ての2冊はなかったのだが『下品の流儀』(藤野義明)の表紙が目に飛び込んだので買うことにした。YouTube「エガちゃんねる」のDこと藤野氏の著書だ。レジに向う途中「たまに本屋に来たんだから」と店内をうろうろしていると『ノルウェイの森』(上下巻)が平積みされていることに気付いた。タイトルは知っている。村上春樹氏の名前も知っている。でも読んだことはないし内容も知らない。その時なぜか本に手が伸びたのだった。生まれて初めて小説の衝動買いをした。





結局『ノルウェイの森』(上下巻)を読み終えるのに約四ヶ月ほどの時間を費やした。本を読むペースは昔からとても遅い。今回はその遅さも楽しさのひとつであるように感じられてそれが自分でも意外だった。読み急がずにじっくりと味わいたいという思いが次第に自分の中に芽生えて来たのだった。「読書ってこんなに楽しいんや」五十五年間生きて初めてそう思った。これまでにも記憶に残っている素敵な本は幾つかあるが、自分でも驚くほど『ノルウェイの森』の世界観に酔いしれていた。
正直なところ最初は第一章を数行読んだ時点で「あ、やっぱり村上春樹って人の本は自分には無理かも」と思った。村上春樹氏のことは名前と有名な小説家であるということ以外は何も知らない。何となくだがインテリなイメージを抱いていた。第一章を読み始めて「あ、やっぱり」という感覚が過ぎった。それと同時に「作家と読者の相性ってあるよね」なんてことも実感した。つまり僕は村上春樹氏の小説とは相性が悪いのだと感じたのだ。「なんでわざわざこんなややこしい面倒くさい文章の書き方をするんだろう?」とも。僕の頭は4コマ漫画に最適なのである。それがいきなり村上春樹の『ノルウェイの森』なのだから無理もない。
ところが第二章に入る頃にはもう夢中になっていた。何がそうさせるのかは分からないが本当に夢中になっていた。ただ登場人物がほぼ全員ハイソな人間ばかりなのでそこに違和感を覚えたのは事実だったけど。それは僕の中にあるルサンチマンのせいに他ならない。それと登場人物のほぼ全員がまるで哲学者のような思考と言語感覚を持ち合わせているのも違和感があった。そこは庶民が存在しない世界だ(緑が例外的に庶民の空気を漂わせているけれど)。寧ろファンタジックだ。リアリティを一切排除して心の深淵を更に深く深く彷徨う独特の浮遊感のようなものに僕はやられてしまったのだった。気付けばやがて『ノルウェイの森』は僕にとっての精神安定剤となり、いつしか登場自分達全員が愛おしい存在となっていた。

それにしても本の読むことがこんなに楽しいだなんて。鞄の中に読み掛けの文庫本があるだけで億劫な電車や病院の待合室が楽園のようになる。ライブに向う地下鉄の中で『ノルウェイの森』を読むことがルーティンになっていた。すでに次なる本も購入済みだ。村上春樹氏の『風の歌を聴け』だ。楽しみで仕方ない。


ちなみにタイトルの『ノルウェイの森』は言うまでもなくビートルズの曲名から来ている。しかし僕はビートルズの『ノルウェイの森』がピンとこない。タイトルを認識していないだけで曲自体は何度も耳にしている可能性はあるけれど。読み終えるまで曲を確かめるのはよそうと思っていた。全部読んでから曲を確かめたかったのだ。聞いた瞬間にどんな気持ちになるかそれが楽しみだった。先日いよいよYouTubeで検索してみた。イントロが流れた瞬間に「あ、これのことやったんや」と何だか肩透かしを食らった気分だった。この曲にはこの曲で個人的な思い出がある。ただ今後はこの曲を聞くたびに主人公のワタナベくんや直子や緑のことを思い出すことになるのだろう。歌詞の内容は今も知らない。それにして僕は知らないことだらけだ。読み終えた瞬間はThe Birthday『涙がこぼれそう』を思い出したりしたけれど。







【LIVEスケジュール】
瓢箪山MK2
【日時】5/23(金)オープン18:30/スタート19:30
【料金】900円+1drink
【場所】弾き語りLive Bar MK2
【出演】ふなさん 雑文堂 はやしはこ 田中悟 ウィーゼル
ロージー心斎橋NEO
【日時】6/1(日) 19:00オープン 19:30スタート
【料金】2.000円(ドリンク別)
【場所】ロージー心斎橋NEO
【出演】川内総一郎 田中悟 他
ロージーABENO
【日時】6/15(日)オープン16:00/スタート16:30
【料金】2,000円(別途オーダー要)
【場所】ロージーABENO
【出演】 田中悟 BABU 他
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