虐殺の巷通州を脱出して（同盟通信社特派員、安藤利男） page 6, 7

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あります。

　私は二十八日の午後四時半から五時頃まで冀東〈きとう〉政府で殷汝耕に会って、時局の話や将来はどうするかと云うような話をしたのでありますが、其時殷長官が私に「愈々〈いよいよ〉北支で二十九軍が掃蕩される。我々の活躍する時は之からだ。就いては第二次声明を出そうと思うが同盟に打ってくれないか。声明文も自分で書くから」と言われた。私は「何か新しい情報はありませぬか」と聞くと、長官は「今、北京から電話が来た。この電話は恐らく最後のものだと思うが、自分が非常に親しい、且つ信頼し得る電話局の某友人だが、北平の場内を日本軍が爆撃して居る。爆弾を大分落とした。その為に列国の使節が日本軍当局を○○に訪ねて、北平だけはやらないで貰いたい懇請したところ、日本軍当局は直ちに之を承諾して、絶対に爆撃せぬと約束したそうだ」と言うことを言って居りました。ところが北平に帰ってから聞くと、それは全く事実でない。そう云う訳で、殷汝耕

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氏自身も既に外部の色々な宣伝に相当迷わされていたのではないかと思い〈ま〉す。

　私は二十九日の午前零時半まで通州の冀東政府に居りました。私のところに写真班が一人居ったのでありますが、その人が私に無断で天津に帰ったので、それを捜す為にずいぶん駆け回って、二十八日の午後十時迄〈まで〉私は冀東政府の保安隊のマークの付いた自動車に乗って捜して居った訳でありますが、事件の僅か三四時間前にもそう云う様子は少しも見えなかったのであります。

 

　　　　　　　二．　不安裡に得た第一報

 

二十九日、早い所は午前零時頃既に分かったそうであります。比較的早かったのは領事館警察で、どうも保安隊の動きがおかしいぞと云うことを方々に電話を掛けたそうでありますが、〈訳注：下線が書き込まれている、リンクと紛らわしくて済みません〉それは二十九軍の

 

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