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敗残兵を掃蕩する為に南門外に出るのではないかと云うように専門家も考えて居ったらしい。そうして早いところは二時半頃からやられた。冀東政府に居った島田という殷汝耕の秘書は、二時半頃、どうもおかしいと電話で話して居る間に途中で切られてしまい、間もなく保安隊がやって来た。尤も此の人は助かりました。殷長官がやられたのも二時半から三時過ぎの間らしい。〈訳注:下線が書き込まれている〉
私は当時、近水楼という日本人の宿屋に泊って居ったのでありますが、其処〈そこ〉は冀東政府の近くで、蓮池に取巻かれた一寸〈ちょっと〉した島のような所にある。僅かに二三本の細道しかなく、その池を渡って外部に連絡する。恰も〈あたかも〉包囲された形の所であります。其処に十九人の日本人が居りました。
第一声を聞いたのは午前四時少し前。起きると、電話は最早切ってあって通じない。それから頻り〈しきり〉に銃砲声が聞こえて来るので私は外に顔を出して見たが、迚も〈とても〉危なくて、高いところにも出られない。「出るな
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出るな」と云うので缶詰になって誰も外に出るものがない。他の箇所では疾う〈はよう〉から虐殺や略奪が行われていたのでありますが、近水楼では悠々と朝飯を食い、中にはそれから寝た人もある位で、非常に落ち着いて居った。七時頃、「二階に上がって見ろ、火の手が揚がって居る」と一人のお客さんが言うので、見ると、城内の南方に当たって火が揚がって居る。恐らく日本人関係の家屋が焼打ちされて居るのではないかと思いました。日本の飛行機も飛んできましたが、別の方向に行ってしまった。
不安に思って居ると、第一報を齎した〈もたらした〉のが王という近水楼の子飼のボーイ。これが入って来てガタガタ震えながら「大変だ、特務機関の前の通りで、北平館、朝日軒、○○カフェー、あの辺の女給や日本人が沢山〈たくさん〉殺されて居る」。「誰が撃っているのか」「保安隊が機関銃を撃って居る」。保安隊が引っ繰り返ったかなと考えたが、確かにさりだとはまだ考えられない。それは何かの誤解だろう、きっと便衣
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