リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

高等教育無償化:隠れた「私学助成」にならないよう制度設計を

2019-03-13 | 一般
2020年から高等教育無償化が始まる。国公立も私立も同じように無償化するのはおかしいのでは?と思っていたが、政府の資料(pdf)を見ると、「無償化」を文字通りに受け取った私の勘違いだったようだ。
・授業料減免は国公立を標準に差額の半分を上乗せした額を減免などとあるので、私立と国公立が同じ費用になるわけではない。
・対象者も住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯の学生に限られる。しかも進学後の学習状況について「厳しい要件」を課され、満たさない場合には支援は打ち切られる。(今でも日本の大学は入るのは厳しくても、出るのは遊んでいても卒業できると言われる。実効性のある制度をつくってほしい。)
・質が悪くて定員割れが続く私学の救済措置にならないよう、対象となる私学についても一定の要件を課している。

こうして見てみると、それほどひどい内容ではない。「高等教育無償化」というキャッチフレーズに惑わされた私のとんだ勘違いだった。たしかに昔は新聞でも「低所得者を対象とする高等教育の授業料の一部減免」という、より正確な表現を使っていたように思うのだが、羊頭狗肉の「高等教育無償化」が広まってしまって誤解を生んでいないだろうか。ベネッセも、「「高等教育“無償化”」をアテにしてはいけない理由」という「無償化」を括弧付きにした記事で「「無償化」の対象になれればラッキーくらいのつもりで」と書いている。

国の動きを受けて神奈川県では私立高校の無償化対象を「年収250万円未満」から「590万円未満」の世帯に広げた(東京都ではもっと範囲が広いらしい)。それで私立の入学者が増える傾向も出ているという。「教育無償化」はもちろん理念としてはすばらしいのだが、隠れた私学助成にならないよう、きちんとした制度設計をしてほしい。(以前、就労のための技能を身につけるためだとして語学学習に助成金が出たことがあったが、おかげで英会話スクールは国のお金で大量に生徒を集めることができて、さながら英会話スクール助成金の様相だった。)
また、そもそも国立大学の授業料は、野党の反対にもかかわらず、ここ30年ほど引き上げられ続けてきた。2004年の国立大学法人化後も、国から大学への運営交付金は「受益者負担」の考えにより年々削減されている(SankeiBiz)。背景にはもちろん、先進国最悪の国の財政事情があり、「国の財政難を少しでも解消したい財務省に押し切られる形で、予算折衝による削減傾向が続いて」いるとのことだ(ベネッセ)。住民税非課税世帯くらいならいいが、選挙目当てで対象世帯を広げすぎると、野党の反対を押し切っての授業料値上げは何だったのだと思いたくなる。

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