リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

米軍駐留費:予算編成のために負担協議に乗るのはおかしくないか

2020-10-17 | 政治
トランプ大統領は米軍駐留経費負担の大幅な増額を求めているが、実務担当者による事前協議が始まった(朝日新聞2020-10-16)。日本側は「正式な交渉という位置づけではない」としているが、ずるずるとアメリカ側のペースにのまれて行かないか、心配だ。安倍政権は自動車関連関税の撤廃の約束を勝ち取ったと国内向けに宣伝しているが、その実が疑われている(過去ブログ)。その安倍内閣の方針を踏襲するという菅内閣であればなおのことだ。
事前協議の対象は3月に期限が切れる米軍駐留経費の日本側負担(HNS=ホスト・ネーション・サポート)の更新だ。日米地位協定の範囲内でのもののほか、1987年からは地位協定上はアメリカに支払い義務がある経費についても特別協定により日本がかなり負担している。今の特別協定は2016~2020年度のもので、基地従業員の基本給など、施設の光熱水費、訓練移転費などの負担を定めているという。
だが交渉の場につけばトランプ大統領が大幅な増額を求めてくる可能性があることは、韓国やドイツの例を見ても明らかだ。トランプ大統領は法外な要求で同盟関係が傷つくことなどものともしない。日本としては当然、11月の大統領選の結果を待つつもりだったのだが、「年末の新年度予算編成までに一定の合意を得るため、事前協議を始めざるを得なくなったとみられる。…日本政府内では年末のタイムリミットを見すえ、1年の暫定合意を結ぶ案も浮上している」という。暫定合意というのは、交渉が折り合わない場合、現状の内容の負担を1年延長するというものだ。
だがそもそも特別協定は「暫定的、特例的、時間的にも5年間に限る」として負担していたものがいつのまにかアメリカの既得権のようになってしまったものだ(過去ブログ)。5年の期限が切れたら失効させるのが筋ではないか。
もちろん政治は正論だけでは回らない。特にトランプ大統領の場合、協定が失効させたら基地の日本人従業員の給料を払わないという暴挙に出るだろう。韓国の場合、実際にそれで韓国人職員約4000人が無給状態となって、結局韓国政府が負担するはめになった(過去ブログ)。
それにしてもおかしいのは、年末の予算編成までの一定の合意を得る必要があるため、大統領選の行方が不透明な状況で事前協議を始めなければならないということだ。今と同額で予算は組んでおいて(「特別協定は失効させましょう」というカードが使えなくなるが、もともと政府にそんな要求をする度量はないだろう)、万一増額をのまされたら補正予算で対応するのが筋ではないか。予算編成までにある程度の合意を得る必要があるというのは本末転倒で、交渉相手にみすみす足元を見てくれというようなものだ。

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