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リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

自動車関税の撤廃が怪しい日米貿易協定は批准するな

2019-11-20 | 政治
安倍首相がウィンウィンと誇る日米貿易協定だが、トランプ大統領は「米国の農家の偉大な勝利」だとする。このたびばかりはトランプ大統領の発言が真実だったことがはっきりした。政府発表による関税削減額にはまだ確定していない自動車関連の関税撤廃が含まれていることは指摘されていたが、米国への輸入時にかかる関税の削減額を試算してみると、政府が説明する2128億円は自動車関連分を除くとたった260億円になるという(朝日新聞2019-11-17)。日本側の牛肉などの関税削減額1030億円のほうがはるかに大きく、まさに「米国の農家の偉大な勝利」だ。
アメリカでは議会の批准は不要だというが、日本では国会が批准してはじめて有効になる。その国会で衆院本会議は与党と日本維新の会などの賛成多数で19日に通過し、20日にも参院での審議が始まるというが、少なくとも、政府の説明する「2128億円」が確実になるのでなければ、批准すべきではない。(そもそも今回の日米貿易協定が妥当かという問題はこの際は問わずにおく。)
安倍政権はアメリカ側の自動車関税撤廃はすでに約束されていてあとは時期だけの問題だという。だが英文の協定文書には「関税の撤廃に関してさらに交渉する」とあって、撤廃はまだ交渉中と読める。協定文書に明記されていないどころか、「交渉中」うかがわせる文言まであるなか、安倍政権の「撤廃は約束されたもの」という説明の根拠は何なのか。
野党は「米国が自動車関連関税の撤廃を約束しているとする根拠」、「日本車への追加関税を課さないと約束したとされる日米首脳会談の議事録」、「自動車関連を除いた関税削減額の試算」などを国会に提出するよう求めているが、政府はまだ提出していない(同3面)。アメリカ政府の説明やアメリカの主要メディアの説明でも、自動車関連関税の撤廃が決まったとはされていない。これでは信じろと言われても無理というものだ。
そもそも自動車業界にとっては追加関税や数量規制の回避が第一目標で、関税撤廃は二の次だったという(過去ブログ)。だがこれについても、トランプ大統領は将来に含みをもたせたツイートをしている。
これまでも安倍政権は、支持率が安定していることをいいことに、説明すべきことをきちんと説明せずにほとぼりが冷めるのを待つ姿勢を繰り返してきた。だが今回は日本側の削減額1030億円に対して米側の削減額が2128億円なのか260億円なのかという大問題だ。日本側の農家に大きな負担を強いる以上、少なくともそれに見合う利益が他産業であるのかどうか、はっきりさせることが必要だろう。
肝心な点が不確定なままで貿易協定の国会承認を求めるというのは、国民をばかにするにもほどがある。参院ではきちんと説明してほしい。

追記:車に関する制裁関税を発動しないことが日本側の譲歩の条件だったが、それについて茂木敏充・経済再生相は「この問題については日米貿易交渉の仕上がりの段階できちんと対応したい。その旨は米国にも伝えて了解ももらった」と言っている(過去ブログの追記)。「仕上がりの段階できちんと」がどうなったのか。参院でしっかり確認すべきだ。

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