リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

横浜のカジノ誘致:林市長がまた「白紙」の仮面を取り出した?

2020-10-18 | 政治
横浜市で、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を住民投票にかけるべきだとする署名運動が法律上必要な6万2541筆を上回った。これをもとに住民投票条例制定が請求されれば、地方自治体法により、市長は自分の意見を付けた条例案を市議会に提出する義務がある。市議会では国政でカジノ推進を決めた自民党・公明党が多数を占めるが、いずれも支持者には慎重派も多く、議員は必ずしもIRへの賛否をはっきりさせていないという。条例制定案が市議会にかけられた場合、可決するかどうかは不透明だ。(林市長に対するリコール署名も始まった(asahi.com)が、こちらはまだハードルが高いと聞く。)
これに関し、林市長は「署名が目標数に到達したのなら、(市議会に提出するときに)個人的な意見を付けるつもりはない。議会の議決に任せる」と述べた。条例案が可決されて住民投票でIR反対が多数となった場合には「住民が判断された通りになる」とも述べた。定例記者会見で同席したIR担当の市幹部が「住民投票の結果に法的拘束力はない」などと説明するのを制する形で「反対が多数であれば、当然尊重する」と断言したという。(朝日新聞2020-10-17横浜版)
どういうことだろう。林市長はこれまで住民の言うことには聞く耳をもたないという態度だったはずだ。9月25日の市議会でも、IRは国家プロジェクトだとして「住民投票をして決めることではない」と述べていた。10月7日に住民投票に向けた署名が法定数を上回ったと発表されたことで条例請求が現実的になったことで真剣に向き合う気になったのだろうか。
私は、IR誘致を目指す自治体から国が申請を受け付ける期間が新型コロナウイルスのために9か月延期されて、「来年10月~再来年4月28日」になると発表された(朝日新聞2020-10-9)ことが転機ではないかと思う。もともとの予定では申請期間が「来年1月4日~7月30日」。ところが横浜市長の任期は8月29日まで。申請期間が延期になると、カジノ誘致の是非がもろに市長選の争点になってしまう。そのため林市長は市民の受けが悪いカジノに対する態度を曖昧にしだしたのではないか。(それに、自民、公明の議員に条例案を否決させるつもりで、自分はいい子ぶっておこう、という気持ちもあるに違いない。)
林市長はもともとカジノ誘致に乗り気だったのだが、2017年の市長選では「白紙」として当選を勝ち得た。だがその後、住民の意見を聞かずにカジノ誘致を積極的に進めている(過去ブログ等)。今回、条例案を議会に提出するときに自分の意見を付さないというのも、選挙までの「白紙」と同じことではないか。住民投票で反対多数になったらそれに従うとも断言したが、法律上は従う義務はないというから、これまでの林市長の強引な進め方を見ていると到底信頼することはできない。
いずれにせよ、まずは市議会で住民投票条例を可決することが目標になる。市議会選は2023年なので市議会議員は住民の忘却期間があると安心しているかもしれないが、自民党・公明党の各議員のIRへの賛否を明らかにさせ、次の選挙でも責任をもたせることを自覚させることが必要だ。


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