リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

首長が人事権を使って教科書を変える

2017-10-29 | 政治
安倍政権はメディアといい教育現場といいことさら「中立」を求めることが多い.だがその一方で,自治体首長がお気に入りの教育委員を任命することで特定の教科書の採択をさせることができる.
石川県・加賀市の教科書採択の経緯について少し前の朝日新聞の記事(asahi.com)で読んで愕然とした.
PTAや校長らからなる採択委員会は東京書籍版を推薦したのだが,教育委員会は5人の委員による多数決で育鵬社版を選択,現場の意見を無視する形となった.教育委員5人のうち4人は宮元陸市長の任命(再任含む)だ.そして市長は,安倍政権の教育政策に賛同する「教育再生首長会議」のメンバーであり,かつては育鵬社版を支援する「日本教育再生機構」の代表委員も務めたという.市長の考えが育鵬社版の採択に影響したとの見方については,朝日新聞記者に「教科書の決定権は教育委員会にある。その判断を尊重する」とあたりさわりのないことを述べているが,結果的に影響したのは確かだし,おそらくは人選の段階から意図があったと思える.

ことは加賀市に限らない.横浜でも同じようなことがあったことを7月4日のブログで紹介した.
選挙では7月の都議選のような波乱がない限り自民党が優勢だ.教育委員の人事を通じて教科書が支配されてしまうことを恐れる.

追記:安倍首相は野党時代の2012年、育鵬社版の採択を支援する日本教育再生機構主催の集会で横浜の例を挙げて「首長が非常に教育について信念を持っていれば、その信念に基づいて教育委員を替えていくんですよ」と述べている。市教委幹部は「教科書をこうしたいという意図をもって人選することは決してない」と言っているが。(朝日新聞2020-7-29横浜版)

関連記事:
「攻撃されて記述を変える教科書,変えない教科書」(8月25日)
「教科書を政治問題化しないでほしい」(8月19日)


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