リベラルくずれの繰り言

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政府はなぜいまだに「デフレ」を唱える?

2018-01-30 | 政治
日銀の異次元緩和が各方面に歪みを引き起こしていることはあちこちで指摘されている.だが異次元緩和の本当に怖いところは,それがもたらす歪みそのものよりも,麻薬のように緩和をやめられなくなることかもしれない.
一般に金融緩和をやめれば市場は敏感に反応する(通貨供給が減るのを見越してその通貨が値上がりするとか,景気減退を予測して株価が下がるとか).だが今日銀がやっているような途方もない「異次元」緩和ともなると,やめるどころか規模を縮小するだけでも大きな影響が懸念される.
政府も日銀も「景気は拡大中」と言いつつ,相変わらずデフレを唱え続けている.今日の朝刊でも指摘されているように,これは経済の実態を見て「デフレ」と言っているのではなく,もはややめられなくなった異次元緩和を続ける口実として「デフレ」と言っているだけではないか.
市民感覚では,景気回復の実感が乏しいのは確かだが,この20年,物価が大幅に下落し続けたことはないという.その一方,間違いなく物価が上がっている部分もある.小学校では子供たちの給食が,食材の値上がりにより,年々乏しくなっているという報道があった(朝日新聞1月28日).数年前からの傾向なので,決して一時的な天候の影響などではない.
マイホームにしても,新築マンション価格がバブル期以来の高値水準になっているという報道もあった(asahi.com).不動産のチラシを見ていても,数年前に比べて2~3割上がったという印象だ.
日銀が金をばらまくことで通貨の価値が下がるインフレはすでに顕在化しつつある.この期に及んで,出口戦略を検討しないのは無責任としか言いようがない.ブラックホールに落ちれば何物も出てこれないように,異次元緩和はすでにやめることができない段階に達している……などとは思いたくない.だが,対策を先延ばしにしていけば,早晩打つ手がなくなってしまう.関係各位には責任ある対応を求めたい.

追記:昨年(2017年),朝日新聞の経済気象台で,アジア通貨危機で大胆な金融緩和を行なったシンガポールでは出口戦略に成功したという事例を読んだように思うのだが,確認できない.

関連記事:
「政府がお札を刷り続けるアベノミクスをいつまで続けるつもりか」(2017-12-03)

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