リベラルくずれの繰り言

時事問題について日ごろ感じているモヤモヤを投稿していこうと思います.

政府がお札を刷り続けるアベノミクスをいつまで続けるつもりか

2017-12-03 | 政治
野口悠紀雄『異次元緩和の終焉』(日本経済新聞出版社)は朝日新聞の書評を読んだだけでも,アベノミクスの怖さが伝わってくる.だがもっと怖いのはこの路線にさらに輪をかけようと本気で思っている人たちがいることだ.
異次元緩和に踏み切った日銀の黒田総裁の後任が取り沙汰されているが,先日の新聞記事によれば,黒田氏の代わりとして名前が挙がっているは「リフレ派」の人だという.つまり,日銀による金融緩和だけでは足りず,政府による財政支出もどんどん拡大していこうというのだ.私などはこれまでのアベノミクスも財政再建を無視した「ばらまき」路線だと思っていたのに.そんな状況で,「リフレ派」が後任になるくらいなら,最近「出口戦略」を示唆し始めた黒田氏が再任してくれるのがいいという空気が日銀内部にはあるようだ.(ちなみに,本来は日銀の金融戦略は政府とは独立しているはずなのだが,日銀総裁を安倍政権が選んでいるので,結局異次元緩和も含めて「アベノミクス」と称してよいと思う.)
日銀がお札を刷って財政赤字の穴埋めをするのは制度上は禁じられているはずだが,今行われているのは限りなくそれに近い.それを改めるどころかさらに進めようとする神経が信じられない.
上記の本のアマゾンでのカスタマーレビューは星5つと星1つに真っ二つに割れており(12月3日現在),書物の内容というよりもアベノミクスを支持するかどうかで評価が分かれているのが明らかだ.星1つのレビューでの指摘のうち,ハイパーインフレや国際暴落が起きていないというのは,「まだ起きていないから大丈夫」と言い切れないのは明らかだ.「ノーベル経済学賞を受賞した経済学者も推す」というのは私も朝日新聞で読んだことがあるが,経済学者の間でも意見の相違はあり,安倍政権が都合のいい経済学者の意見を採用しているとも報じられている.「デフレ下での構造改革強硬は更なるデフレを招くだけ」というのはそうかもしれないが,デフレを改善する見込みがない中,出口戦略もなしにアクセルを吹かすというのは,ギャンブルで負けた人が取り返そうとしてさらに金を失うのと同じ構図ではないか.残る「バランスシートベース、日銀連結ベースで観れば、財政健全化はほぼ終了しています」という点については,高橋洋一「「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…」が典拠のようだが,「資産があるから1000兆円の借金があってもマイナスではない」というのは暴論のような気がする.市民感覚としては,単年度で借金が増え続けているという状況がまともだとはとても思えない.

関連リンク:
朝日新聞2018-4-25「(平成とは 第2部・国のかたち:3)財政危機 借金依存、漂う戦時の空気」は,戦前に国が国民に国債購入を進め,財政破綻はしないから心配無用と説いたことと現代の類似性を指摘する.同3面のグラフでは相似性がくっきり見える.戦後のハイパーインフレで国民の国債が紙切れになり,預金が目減りしたのは周知のとおり.

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