Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

謝る

2012-08-20 | femmes...bijin tachi
数々女性と会い、他愛ないおしゃべりをしますが、
(そういう話様々を夫は「DDI」=どうでもいい話 と呼び、毎日わたしの「DDI」を睡眠薬代わりに使いますが、)
その中から見えてくる人柄、というのは大事な収穫に成ります。

人間の暮らしや交友関係は、その人の心がけが作り上げたものだから、その人の日常のあれこれを聞くと、どうしてその人が幸せなのか、あるいはうまくいかないのか、などが見えてきて、良くも悪くも学ぶところはたくさん。
哲学も、独りごとではただのクダ巻きに過ぎず、「対話」において初めて哲学たりうる、そうですが、
ほんとうに人はどんな相手からでも、常に学ぶことがあると思います。


長野滞在中のある日、夫同士がゴルフをしている間、妻同士トークを、あれやこれやとしていました。
夫の友人には、野性というか攻撃性というか、元気有り余るタイプが多くて、あれこれエピソードの多い人が多い。
その日も、そんな相手との一日。お仕事は、外資系企業日本法人の代表取締役です。
一方で奥さんはのんびりした性格、ですが気骨あるしっかり者で、夫の血の気の多さをいつもうまくフォローする手腕が見事。
旦那様は、激しやすい性格を、そういう妻の穏やかさに包まれて、安心して暮らせているのだなあと感じます。

この奥さんと話していると、企業で秘書をしていたときに同職だった女性たちのことも、ふと思い出します。

秘書を付ける人というのは、大概もちろんある程度以上の役職についている、つまり人並み以上に評価の高い人間が多いものですが、そういう自他共にできる人間から、仕事を超えてかわいがられる人間というのが存在する。
仕事上の信頼を超えて、人間同士の信頼を築ける間柄というのがある。評価の高い人間からの高評価、というのは、信頼に足る証にもなるのではないでしょうか。
秘書たちの中でも、抜きんでてそういう能力の高い女性がたまにいます。
わたしの見たところ、そんな女性たちには特徴があり、まず、

1・「自分は仕事ができる」「実力がある」「仕事をがんばっている」というアピールがない。むしろ、仕事をがんばっちゃってる様子を見せない(でもちゃんと手早くこなしている)で、主にはゆったりにこにこ人と相対している印象がある。
2・自分がしたいことより「他人のしたいこと」に敏感で、すぐ相手の好みに対応・順応できる。=自己主張が強くない
3・上司がミスをした時、すぐさま「それはわたしのせいです、申し訳ありません」と、対外的に上司を完全にかばい、自分が矢面に立ち、平身低頭で謝罪する。

特にこの3番目が、“I am できる人間・アピール”の強い人間には決してできないワザで、
「私は悪くない」
と言い張り自己保身を懸命にしてしまう。
または、言い訳が先に立ってしまったり、謝罪をしても即「でもあなたもここが悪い」と言い返して相手をゲンナリさせたり。
仕事を離れると(または仕事上でも)、こんな人はけっこう孤立してしまいがち。人として魅力がないから、それはしかたない。。

常にやわらかくした手に出ることができて、素直にさっぱりと、すぐ「ごめんなさい、許して」が言える、ってすごく素晴らしい能力で、
もちろんそれから二度と失敗を繰り返さない注意力ももっと必要で、
仕事能力がそんなに高くなくても、信頼を勝ち得て、長く良い関係を築ける人って、そんなタイプが多い。
人生のパートナーには特に、それが必要だと思います。
「それは夫の問題であって、わたしには関係ありません」
と、面倒を回避するような態度は、絶対良い秘書、もとい、良い奥さんではない。。

夫の友人のその奥さんは、旦那様が他人との議論に熱くなりすぎて行き過ぎそうになったとき、あるいは行き過ぎてしまったとき、後日そっと相手へお詫びに伺うそうですが、
それは「自分」主体でなく、「私たちは」、を主語に、自分と同じくらいパートナーを大切に思っていることの表れで、そこがとても、傍から見ていて心暖まるのです。

「良いことばかりじゃない時も、夫を支え、夫と共に様々な困難にも立ち向かう」
そういう、理想の奥さん像、人間像を、他愛ないおしゃべりの中からあらためて学ばせて頂いた、夏のある日でした。



photo...信濃追分の骨董屋さんにて、8月16日

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