Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

『皇帝ペンギン』

2005-09-09 | cinema... eiga
先週、映画 『皇帝ペンギン』 を観ました。

なんて綺麗な映像でしょうね・・・!
氷と空の透明な輝き、
海の色の深さ、
雪。
水晶のような澄んだ色彩に、ペンギンの黒と白、ほっぺのちょこんとした黄色が鮮やかに映える。
そして生まれた子ペンギンのきょとんとしたまんまるな目と、ふわふわのグレイの羽毛ったら・・・。

ペンギンは、かたちも素晴らしいです。
ムダを一切排した、あのフォルム。
ムダがない、とは、単にストイックな、とかいうことではなく、完璧であるということ。
完成された形をもつ、自然がつくった最高の芸術品のひとつが、ペンギン!

誰しも思い入れがある生物、ってあると思いますが、多くの人と同じように、私にとってのペンギンが、それ。
ずいぶん前に、

≪ペンギンは、群れの中からパートナーを探し出すが、あらかじめ、自分の相手がわかっている≫

という、赤い運命の糸伝説を地で行く、奇跡のような生き物だと聞いて以来です。
・・・実際映画を観ていると、あまった雌同士が、雄を取り合ってばちばちとお互いを叩いて相手を牽制し、
当の雄はおろおろしているだけ、という映像があったりして、その憧れの根拠がちょっと疑わしくなってしまったのだけど・・・。
現実は、そんなに美しくないってことなのかしら。

それにしても・・・
その生き方もまた、興味深い生き物です。
野生の生態系がみなそうであるように、その生き方も、まるでムダがなく、完璧なかたち。
原題『LA MARCHE DE L'ENPEREUR (皇帝の行進)』とあるように、外敵を避けてより自然条件が厳しい場所を選んで子育てにかかる彼らは、
海の真上にいながら、氷のゆるんだ暖かい海との長い往復行進をしないと、えさにありつけない。
子作りの過程で、生命をかけた、海への、海からの行進を、何度も行うのです。
ただひたすら、新しい命を守るために。
自分の生命を投げ打って。
親というものは、そういうものなのかしら。
なんだか観ながら家族が恋しくなりました。



・・・さて、この映画感想の賛否両論のテーマにあがる、「声」。
あれは、余計なんじゃないか?とか、そんなレビューを見てから行ったのですが、
まあ、それは好き好きで・・・。

むしろ私が気になったのは、その人選!

パパペンギン:シャルル・ベルリング。

・・・ええ
あの『倦怠』の?!
でもって、『とまどい』・『感傷的な運命』の全然別の2作で、E・ベアールの夫として、それぞれ妻を苦しめたあの?!(←ベアールファンだけに印象深い) 『リディキュール』でも、好青年を通してはいなかったし・・・。

さらに、
ママペンギン:ロマーヌ・ボーランジェ。

ええ~~
自分的には、彼女というと、『野生の夜に』・『太陽と月に背いて』・『ミナ』・『アパートメント』のイメージなので、うう~~んん・・・
まあ、キーワードは”ひたむき”ということで?

・・・・・
フランスにおけるペンギンのキャライメージって、こんなに色っぽいというか、アクが強いものなんでしょうか???

(↑あくまで個人的な彼らへの印象ではありますが・・・。)


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