Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

優しい堅牢さ。

2010-11-02 | tenue... yosoou
寒い・・・のは全国同じみたいですが、ふだんどこで過ごす時間が長いかによって、服装は変わってきます。
東京で内勤のOLしていたときには、通勤時のコートさえ厚く長くしておけば会社内は暖房やらPC機器の発する熱やらで常にあったかく、バックストラップの靴だってアリ、でした。

外を歩くことの方が圧倒的に多くなった今は、華奢なムードの格好は全然実用的じゃないので、普段にしなくなりました。
堅牢さを、最近愛しています。イタリア製の踵のがっしりしたショートブーツ、茶色と黒それぞれの革の2足と、明るい色のスニーカー2足と、を、ニットの靴下でしっかり足を包んで毎日履きまわし、コーデュロイのパンツを合わせる。
首元もしっかりニットかストールで保護し、と、シンプルでオーソドックスな格好です。これがすごく、地に足ついた心地になり、気分いいのです。
こういう中性的な格好に女性らしさを出す、のは、いかにも女の人、というスタイルよりも「おんならしさ」について意識を必要とするので、実はいいスパイスになっています。

けれども意識だけでは足りないので、小道具があるとさらにいいかな。
ジュエリーもいいけど、最近は「スカーフ」が気になっています。

というのもきっかけがあって、近くの駅でこの間、素敵な女の人を見たのです。
浅黒い肌の彫りの深い美女で、たぶんヨーロッパの人。
わたしからは数メートル離れた位置にいて、駅のホームで電車を待ちつつ、携帯電話に向かってまろやかな低い声で、母国語で口早に何か話していました。
真っ黒いカジュアルなジャケットは丈が短く、ウエストがくびれていて、しっかりした生地のショートパンツから黒いタイツの長い脚。かかとの低い濃い色のロングブーツを履いていて、そう、いかにも西ヨーロッパによくいそうな、メリハリボディの、こなれたお洒落さんでした。

懐かしい雰囲気だなあ、と思うと同時に彼女がそこまで印象的だった理由は、頭のスカーフ。
生成り色の地にまばらにえんじ色の模様の入ったスカーフを、ふわりと頭から肩に向かって巻きつけていました。
早い話が頭巾みたいな(ていうかまちこ巻きかな。)かぶり方なのですが、
ジャケットとショートパンツに、そのスカーフ!
独自のバランス感覚がかっこよく、目に麗しく、また、寒い日だったのですが防寒もスマートにクリアしているのがすてきでした。

これで髪が主役だったりとかニットのキャップとかだと、まだ青い感じよね。ふわりとスカーフ、これだわ・・・。
宗教的な理由からの頭巾スタイルだったのかもしれませんが、見た感じとてもフェミニンで、しかしきりっと大人の引き締まった雰囲気で、「お洒落がんばってます」という自意識も匂わず、とてもかっこよかった。

そういうわけで、スカーフが今、自分の中で注目株です。
カチューシャみたいなスカーフの使い方はよくあるけれど、
それもいいけれど、
頭を覆う巻き方をかっこよくできたら、すごく懐深い感じがする。
なぜなら、頭を覆うやり方は顔の輪郭がすっきりと露わになってしまい、髪という頼もしい縁取りが助けになってくれないから、難易度高くなっちゃうのです。
表情と姿勢の調った、マチュアな女性にだけ許されたお洒落だと思います。

堅牢ですっきりしたスタイルの上半身ににわかに、スカーフの柄が艶やかに花咲く。
フレッシュさを保ちつつ、そんなこなれた格好ができたら、いいのにな、と思っています。

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