Belle Epoque

美しい空間と、美しい時間

SETRE highland villa HIMEJI

2009-04-06 | pti voyage... tabi
京都はいましも桜まっさかりで、日曜ともなるとすごい人出でしたが、
先週なかばの姫路城は、意外と五分咲き桜でした。それで、お城まわりをさらりと歩いた程度で、宿泊先へ向かうことにしました。


走る車の中からみた桜。


『SETRE highland villa HIMEJI』
こちらに一泊してきました。


かの、国民年金で建てられた・・・赤字を出しまくったあの施設ですが、今や一般企業に買い取られ、驚くほどの変身を(たぶん)遂げていました。デザイナーとアーティストが工夫を尽くして、内装を快適に、ひっそりした隠れ家のように、仕上げていました。


なんと瞑想ルーム なんていうのがありました


これはオーディオルーム

先に書きました記事に登場するお風呂の水質は「準温泉」ということでしたが、わたしには最高!

ふくふくと肌が水を吸いこんで、とんでもないふわふわの手触りに。
「うわあ、いつまでも出たくなーい!」と心が絶叫するほどの素晴らしさでした。

うーん
なんとなく、にわかに・・・国民年金宿舎の面影を感じますね


ラウンジは、姫路市一望。
桜がぽかりぽかりと山あいにピンク色の点々を広げています。かわいい。

ここまで運んでくれたタクシーの運転手さんいわく、
「100万ドルの夜景・・・、とまでは言いませんが、まあ、50万ドルくらいはね」。

夜になったら、こんな感じでした。
向こうに見えるのは、瀬戸大橋?

かわいらしいキラキラに、うっとり見とれました。
これが、香港の半額の夜景なのね。。。

なにより気に入ったのが、こちらの図書室の充実ぶりです。
この品揃えはなんだ!なんなんだ。こんなに興奮したのは久しい。
読みたい本だらけ。一冊手に取るたびにアドレナリンが噴出し、檻の中のくまみたいになりました。うろうろ。


10冊くらいまとめてざっくり取り、人が誰もいないのをいいことに積み上げてソファーに陣どり、貪るように読みました。
ああ、一泊、あまりに時間がない。
でも読むぞ。
そう決めたら、自分にここまで集中力があったのか!と思うくらいに、しかも自分内最高のスピードで、一章ごとに要約しながらぐいぐい片付けて行きました。

ナンバーワンはこれ、
セミール・ゼキ著『脳は美をいかに感じるか』(日本経済新聞社)


脳科学者が書いた、「脳科学」と「美術」と「哲学」の融合。
たいへん素晴らしい。ものすごく満たされました。
専門知識のない人が美術鑑賞に戸惑ったら、ちょっと読んでみてください。迷いが晴れるかもしれません。


うち1ページ。


雑誌も置いてあり、それが『和楽』ていうところにセンスが表れています。
これ、ほんとに良い雑誌ですよね。


最近手にとっていなかったのですが、久々見たら写真と情報の優雅さにはもとより、
源氏物語のあの登場人物を林真理子さんが描いている連載に、意外と大いにはまってしまった。
正直いって著作を数冊読んで以降、彼女の視点というかキャラクターを苦手に感じがちだったのですが、
紫式部の作品をカバーさせたら、たしかに、この人以上にしっくりくる書き手はいないな!
と、ひざを打ちました。紫式部と林真理子氏、なんという絶妙なマッチングかしら。
ある種の女性に特有の意地悪さといいますか・・・捻りといいますか・・・徹底した執念深い観察。
それでいて美しいものに対する感性と知識、そして文章力が人並み外れてある。
紫式部が現代によみがえったかのような林さんの源氏物語外伝は、もう既にどこかでかなり話題になったのかもしれませんが、わたしは知らずにおり、今回初めて読み、驚きました。
源氏物語の内容自体はどちらかというと品性高いものではありませんが、というよりかなり乱れたお話ですが、その持ち味をそっくり生かしている。登場人物の人間性がくっきりと浮き彫りになる描写は、見事すぎます。
同時に、上等な着物の優雅な衣擦れがしっとりと聴こえ、高価な香の薫りがそこらに漂っているかのようです。凄かった。
これは、印象的でした。


図書室の蔵書に話は戻り・・・。
美術に関してだけでなく、詩集、食についてや料理レシピ写真集やファッション関係やあらゆるデザイン書の類も、こちらは充実していました。

高山なおみさんという料理家。知りませんでした。
とてもかわいい本を書く人ですね。
料理とは、視覚と記憶を言語化するようなものだ、と読んでいて思いました。


のんびりした感じが微笑ましくて◎


つぼ!!!

衣食住、
人間の基本はそこにありますが、最終的にはやはり「食」に極みを求めるのかなあ、
と、素晴らしい蔵書たちをぐるぐる見渡して思いました。
そういえば、
「人間の趣味は茶に行きつく。男は器に、女はその中身に」
という内容のことを先日教わったりもしたのでした。

オールド・ノリタケのカップでカフェインレスのコーヒーを飲みながら、
たまには優しい音楽を聴いたりしながら、
時折本からあげた目に入るのは白い雲をちぎって浮かべた青い空で、桜の枝がざわめくのを見ることもできる。


このホテルは最高でした。
お食事も、とってもヘルシーでありながら深い技を感じさせてくれました。おいしかった。
お部屋も天井が高く、のびのび感が大いにありました。

女性同士のリラックス旅にも、
または男女問わず、平日のゆっくりした一泊のひとり旅などにも、適していると思います。
静かな快適な別世界を、堪能しました。
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