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最速スパコン導入で日欧が合意 青森、熱核融合炉関連施設

2010-04-30 06:53:08 | ニュース
フランスに建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)の関連研究を行うため、青森県六ケ所村に整備している「国際核融合エネルギー研究センター」に、国内最速となるスーパーコンピューターを11年末までに導入することで日欧が合意し、同村で28日、調達の取り決め文書に署名した。

 日本原子力研究開発機構によると、スパコンは欧州側が調達して同センターに設置する。核融合研究開発のための専用機で、毎秒1千兆回の計算ができる能力を持ち、導入時は国内最速の見込み。調達費用は約84億円。

 同センターは、ITERの遠隔実験や、次世代の原型炉の材料開発などを行う。スパコンが設置される「計算機・遠隔実験棟」や「原型炉研究開発棟」など3施設の建屋が3月に完成、今秋にも一部研究が始まる。

 ITERは日米欧ロなどが国際協力で建設中。建設地をめぐり日欧が激しい誘致合戦を繰り広げた経緯があり、本体の誘致に敗れた日本に、欧州も資金を拠出して関連研究拠点を整備している。

2010/04/28 17:56 【共同通信

火山の噴煙画像を英国に提供 衛星いぶきで撮影 /いぶきGJ

2010-04-30 06:51:07 | ニュース
宇宙航空研究開発機構と環境省、国立環境研究所は28日、アイスランドで噴火した火山の噴煙が欧州に広がっていく様子を衛星から撮影した画像データを英国に提供すると発表した。同国の要請に応じた。噴煙の広がりを予測するシミュレーションの正確さを検証することなどに役立てるという。

 温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」に搭載された雲などの分布を調べる観測装置で、最初の大規模な噴火の翌日に当たる4月15日からほぼ連日撮影した。

 噴煙がアイスランドから英国北側の海域を経て欧州を東に抜けていくのがよく分かるという。

2010/04/28 17:15 【共同通信

コアジサシ守ろうと営巣地整備 福島県いわき市河口 /いいニュース

2010-04-30 06:50:20 | ニュース
絶滅の恐れがある渡り鳥コアジサシを守ろうと、営巣地として知られる福島県いわき市の夏井川河口で29日、立ち入りを規制する柵の設置などが行われた。ここ数年は飛来数が減少しており、本格的な繁殖シーズンを前に、市民らは「今年はたくさん来てほしい」と期待している。

 営巣地(約12ヘクタール)の保護活動は、日本野鳥の会いわき支部などが中心となって1998年に開始。同支部によると、2006年には全国で3番目に多い33羽が巣立ったが、荒天で河口が大量の砂で埋まった07年以降、3年連続3羽にとどまっている。

 日本野鳥の会は河口に砂がたまり、餌場が遠のいたのが原因とみており、砂の除去を県に働き掛けている。

 この日の作業には会員ら35人が参加。営巣地を柵やロープで囲み、コアジサシを呼び寄せる鳥の模型を設置した。上空には今季初めて数羽が飛来。いわき市の小学4年石井佑宇馬君(9)は「元気なひながたくさん巣立ってほしい」と見つめていた。

2010/04/29 17:08 【共同通信

燃料2本に穴か、関電・大飯原発 同メーカーの3号機も停止へ

2010-04-30 06:48:47 | ニュース
関西電力大飯原発1号機(福井県おおい町)で2月、1次冷却水の放射能濃度が上昇、原子炉を停止したトラブルで、福井県は28日、核燃料集合体2体でそれぞれ燃料棒1本から放射性物質の漏えいが確認されたと発表した。

 県が関電から受けた報告によると、この集合体は燃料棒約260本を束ねたもので、1次冷却水の流れにより燃料棒の振動が大きくなり、支持板などとこすれ摩耗が進行、燃料棒に小さな穴が開いたとみられる。08年以降、大飯原発では同様のトラブルが、この2体のほか計3体で起きている。

 3号機と4号機でも1号機と同メーカーの集合体を使用していることなどから、関電は運転中の3号機を29日に手動停止、2年以上使用されている同メーカーの集合体など36体を交換するほか、4号機では実施中の定期検査で約60体を取り換える。

 2号機では現在、交換を要する集合体は使用していないとしている。

2010/04/28 21:43 【共同通信

もんじゅ6日にも起動 知事と市長、文科相へ了承伝達 / 起動しないことを祈る

2010-04-30 06:47:20 | ニュース
1995年12月にナトリウム漏れ事故を起こし停止している高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について西川知事と河瀬一治敦賀市長は28日、川端達夫文部科学相とそれぞれ会談し、運転再開を認めると正式に伝えた。日本原子力研究開発機構の岡俊雄理事長にもそれぞれが再開了承を伝達した。原子力機構は5月の大型連休明けに運転再開する。

 岡理事長は知事との会談後、記者団に「国の最終確認後になるが、連休明けに速やかに再起動の操作に入れるようしっかり準備を進めたい」と述べ、6日を軸に原子炉を起動する方向で調整しているとした。

 順調に進めば事故から約14年5カ月ぶりに運転が再スタートする。当面のもんじゅの目的は発電施設としての信頼性実証とナトリウム取り扱い技術の確立。運転再開後の性能試験では3段階で出力を上げ、約3年後に本格運転に入る予定。

 県庁で川端文科相と会談した知事は、先の3者協議で県の要請に対し前向きな発言があったと評価。「敦賀市の意見、県会の議論、協議で示された国の方針などを総合的に勘案し、運転再開を了承することにした」と伝えた。その上で、文科省の現地体制強化や、3者協議で要請した安全確保と北陸新幹線延伸をはじめとする地域振興を、政府全体で着実にするよう求めた。

 文科相は「もんじゅの運転再開は、国のエネルギー政策の推進にとって大きな一歩。政府として確固たる意思を持って進める」と強調。性能試験の実施時に原子力機構を支援、指導し、安全確保と情報公開に万全を期すと述べた。

 河瀬市長は敦賀市役所で文科相と会い「立地地域としては何よりも安全・安心が第一。国の原子力政策はぶれないことが大事だ。もんじゅを立派に育てていけるよう、地元の態勢をとっていきたい」と述べた。

 もんじゅをめぐり、原子力機構は2月に県、敦賀市との安全協定に基づく運転再開の協議願を提出した。経済産業省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は3月中旬までに安全性の確認を終え、運転再開を認めた。県も県原子力安全専門委員会の審議で安全性を独自に確認。知事は26日の3者協議で再開了承の意向を明らかにしていた。

もんじゅは未来永劫停止する(言魂)

ホッキョクグマの保護訴え プーチン首相が北極圏訪問 /実は鉱物資源が狙いか

2010-04-30 06:38:45 | ニュース
【モスクワ共同】ロシア主要メディアは29日、プーチン首相が北極圏のロシア領フランツヨシフ諸島を訪れ、絶滅の恐れが指摘されているホッキョクグマの保護活動に参加、北極の環境保全の必要性を訴えたと伝えた。

 首相は動物学者らと共に、特別に捕獲されたホッキョクグマに生態を観察するための発信機を取り付ける作業を体験。「(温暖化のため)氷が減少し、ホッキョクグマの生息は危機にさらされている」と指摘し、北極の環境保全のためには近隣諸国の協力が不可欠だと述べた。

 その一方で、北極圏はロシアの海軍基地が点在し、貴重な鉱物資源が存在する戦略的に重要な地域だとも指摘。北極でのロシアの権益を確保していく姿勢を強調した。

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小惑星で水と炭素の存在を初めて確認

2010-04-30 06:37:59 | 宇宙・天文
火星と木星の間の軌道を周回する小惑星に水が存在することが、新しい研究によって初めて明らかになった。小惑星24番テミスを2つの研究チームが個別に分析した結果、地表が霜で覆われていることが確認された。さらに、この霜には炭素を含む物質が混ざっているとみられるという。



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 一方の研究チームを率いたセントラルフロリダ大学のウンベルト・カンピンス氏は、「小惑星で水氷と有機分子を初めて発見した。どちらも同じ小惑星にあったのだ」と話す。

 どちらの研究チームも、ハワイにあるNASAの赤外線望遠鏡施設(IRTF)を使用し、様々な波長で小惑星から反射する太陽光を観測して、水の存在を示す形跡を発見した。

 NASAでは、テミスに似た小惑星をさらに詳しく調査する計画が検討されており、これが実現すれば、われわれが普段飲んでいる水や生命の構成要素である物質が隕石の衝突によって地球に運ばれてきたとする仮説の検証に役立つだろう。

 小惑星は惑星が形成された後の残骸で、その組成は46億年前からほとんど変わっていないと考えられている。

 テミスは太陽からおよそ4億8000万キロの軌道を回っており、火星と木星の間にある主小惑星帯で最大の小惑星の1つだ。

 小惑星は、海王星の軌道の外側からやって来る彗星よりもはるかに太陽に近い軌道を周回するため、比較的乾燥していると考えられている。しかし、これまでの学説では、主小惑星帯の小惑星でも地下であれば氷が存在しうるとされてきた。実際に主小惑星帯には、固体が直接気体に変化する「昇華」によって水氷から発生したと思われる“ちり”の尾を持つことで知られるメインベルト彗星と呼ばれる珍しいグループがあり、テミスと同種の2つの小惑星がこのグループに属している。

 クイーンズ大学ベルファストの天体物理学者ヘンリー・シェ氏はこの研究の解説記事で、「小惑星の氷はとうの昔になくなっているはずだというのが定説だったが、テミスで氷が発見されたことで、小惑星の氷が初期の太陽系を知るための “生きたサンプル”になる」と書く。

 テミスの氷ができたプロセスについて、研究の著者カンピンス氏は次のように推測する。太陽光によってテミスが暖められて地下の氷が昇華し、その水蒸気が地表に放出された後、太陽光が届かない影に入って気温が下がると水蒸気が地表で再び凝結して氷になったのではないか。または、流星塵(りゅうせいじん)が地表に衝突して地殻を攪拌する“インパクトガーデニング”によって、地下の氷の層が徐々に露出したのかもしれない。あるいは、まったく別の原因の可能性もある。「情報があまりに少ないときの楽しみの1つは、いろいろな仮説が立てられることだ」。

 小惑星の組成については、さらに詳しいデータが早ければ6月にも得られる可能性がある。日本の小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星から直接採取したサンプルを初めて地球に持ち帰るとみられているためだ。

「はやぶさ」は2005年に小惑星イトカワに着陸した。当初に予定していたサンプルの採取には失敗したものの、イトカワの地表のちりが試料容器に偶然入っている可能性があると考えられている。

 一方NASAは、RQ36という小惑星からサンプルを採取して地球に持ち帰る「オシリス・レックス(OSIRIS-Rex、Origins Spectral Interpretation Resource Identification Security-Regolith Explorer)」と呼ばれるミッションを提案している。

「偶然にも、オシリス・レックス計画の主要な目的地はテミスと同じカテゴリーに分類される小惑星だ」とカンピンス氏は説明する。つまり、RQ36のサンプルにテミスで発見されたのと同様の水が含まれている可能性がある。

 初期の地球は非常に高温だったため、地球に元から存在した水を保持することはできなかったという説がある。そのため、地球の海の水は冷えた地球に小惑星や彗星が次々と衝突することによって運ばれてきたのではないかという見方もある。

 テミスの水と地球の水の化学的性質を照合すれば、この謎を解く手がかりになるかもしれない。さらに、オシリス・レックス計画で得られたサンプルに有機物が含まれていれば、隕石が生命の出発物質をもたらしたとする学説の信憑性が増すことになる。

「このRQ36も組成がテミスに似ていることは十分にありうる。したがって、地球近傍小惑星に乗って地球にやって来た、生命の素となる物質かもしれない原始的な有機分子を採取できる可能性がある」とカンピンス氏は期待する。

 この研究は2010年4月29日発行の「Nature」誌に掲載されている。

Illustration courtesy Gabriel Perez, Instituto de Astrofisica de Canarias

トウガラシが辛いのは菌類を撃退するためだった

2010-04-29 10:25:32 | ニュース
トウガラシの辛味成分は、有害な微生物の働きを阻止するために生み出されていることが新たに分かった。トウガラシは鳥などの動物に食べられれば種がまき散らされて繁殖につながるが、その前に微生物に食べられないように身を守っているというのだ。一部のトウガラシはそのような菌類を撃退するために辛味成分を増しているという。



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 トウガラシにはカプサイシノイドという化学物質が多量に含まれている。この物質は、昆虫が実に開けた穴から菌類が侵入する可能性がある場所で最も多く含まれることが示された。この事実は、シアトルにあるワシントン大学の生物学者、ジョシュア・テュークスベリー氏の研究で明らかになった。研究の結果は8月11日付けで、「Proceedings of the National Academy of Sciences」誌でオンライン公開されている。

 テュークスベリー氏は、ボリビア共和国の野生のトウガラシを調査した結果、今回の発見に至った。ボリビアの一部の野生トウガラシには、鋭い辛味のある個体と、少しも辛味のない個体が混在していたという。「辛いか辛くないかは実を噛んでみないと分からない。手ごわい調査だったよ」と同氏は笑う。しかし苦労のかいあって、同氏の研究チームは、ボリビア国内の300キロメートルにわたる調査地帯での辛さの変化を突き止めた。その結果、調査地帯の北の端では辛みのないトウガラシが多数を占めていた。そして南部のトウガラシは密度が高く、辛味も強いことが分かったという。

 研究チームはさらに、トウガラシの断面を観察するうちに、辛みのある個体にはアブラムシやコノハムシのような昆虫にかじられた跡が集中的に見られることに気付いた。「実の表皮は病原菌の侵入を防ぐ最初の壁になるが、かじられてしまえば侵入を阻止することはできなくなる。微生物は昆虫が穴を開けるたびに侵入してくる恐れがあり、穴を開けられる頻度が高まれば、侵入される危険も高まる」と同氏は説明する。

 室内実験を行ったところ、カプサイシノイドが菌類の侵入を妨げることは示したが、その一方、昆虫の攻撃は阻止できないことも明らかになった。同氏は「今回、調査対象としたトウガラシは、菌類の侵入を阻止する程度に辛く、その菌類の侵入は昆虫のなんらかの仲立ちがあって可能になるということのようだ」と述べている。

 また、同氏によると「この発見は、人類が抗菌のためにトウガラシを食べるようになったという仮説を支持するものだ」という。「トウガラシを食べている人の多くは赤道沿いの地域に住んでいるという。赤道沿いといえば微生物の活動が盛んで、さまざまな消化器疾患も引き起こされている地域だ。トウガラシと菌類ははるか昔から生存競争を続けていて、人類はその結果の恩恵を受けているということだ」と同氏は語っている。

 ワシントンD.C.にあるスミソニアン研究所国立自然史博物館の人類学者、リンダ・ペリー氏は、「このたび発表された研究で、カプサイシノイドが菌類を撃退するように進化したことが明確に示された」と話す。トウガラシの栽培植物化を専門とする研究者でもある同氏は、「しかしこの研究では、カプサイシノイドが食物の媒介する病気の防止や、防腐剤としての作用については証明されていない」とも述べている。「この研究で、トウガラシの抗菌作用がトウガラシ人気に深く関与していると示されたわけでもない。人類がトウガラシを食習慣に取り入れたのは、単においしいからではないか」。

Photograph by Tomas Carlo


バクテリアが貴重な金属を“採掘”

2010-04-29 10:16:01 | ニュース
最新の研究によると、ある種のバクテリアは、そのままでは役に立たない鉱石から、少量ではあるが貴重な金属を精製することができるという。鉱石を食べる微生物は、バクテリアの一種で、鉱石をエネルギー源にしている。こういった生物は代謝を通じて鉱石を分解する際、硫化した金属鉱石や精鋼を搾り出す。このプロセスは「バイオリーチング(生物冶金)」と呼ばれる。



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 近年、このプロセスは貴重な鉱石を抽出する重要な方法として注目を集めている。溶融精錬といった従来の方法では費用が掛かりすぎるようになっているからだという。また、電子産業が世界中から盛んに銅を求めるようになっていることも、バイオリーチング発展の大きな要因となっている。

 山形県にある慶應義塾大学先端生命科学研究所の冨田勝氏は、「微生物の中には金属イオンに反応するものがあり、うまく利用すれば低品位鉱石から銅を精製することができる。最終的な目標は、低品位鉱石から銅を精製するバイオテクノロジーを確立することだ」と話す。現在バイオリーチングは、既に世界の銅生産の20%を占めていると見積もられており、世界のおよそ20の銅山で活用されている。

 数千年前の昔から、坑水や赤さび色の川でバイオリーチングが起きていることは知られており、その“結果”自体は目にしていた。しかし、その“原因”がバクテリアにあることが判明したのは1947年のことであった。

 1947年、アメリカ西部のユタ州にある鉱山で、バクテリアが、採鉱廃棄物の岩石を積んだ山から銅を含む青みを帯びた溶液を生み出していることが発見された。その発見以降、ウラン鉱山や火山、温泉地など世界中でバイオリーチングに利用できる微生物が数十種類見つかった。

 初期のバイオリーチングは仕組みも非常に単純で生産量もごくわずかであったが、分子技術の発展に伴い、現在では、金属を好む微生物の増殖や機能を最適化する方法の研究が進んでいる。

 今年初め、冨田氏が率いる研究チームはチリのベンチャー企業バイオシグマ社(BioSigma)の科学者と共同研究を開始した。バイオシグマ社は、世界最大の銅生産者であるチリの国営銅公社コデルコ社(CODELCO)と日本の非鉄金属メーカー日鉱金属が共同出資して設立した会社である。共同研究の目的は、バイオリーチングにかかわるバクテリアの遺伝子やタンパク質、代謝産物を特定して“小さな採掘者”の速度と効率を改善することである。

 研究チームではバクテリアの消化システムの分析が進められており、現在のところ、エネルギー源として鉄や硫黄のみに依存する3種類の微生物のゲノム配列解読が完了している。こういった一連の研究により、目的のバクテリアを特定して増殖することが可能になる。

 微生物を利用した最初の産業レベルの採掘工場は2009年末に操業を開始する予定である。コデルコ社では、今後10年以内にバイオリーチングで年間10万トン以上の銅生産を達成することを見込んでいる。

 バイオリーチングは鉱業に伴う環境への負荷を軽減することもできるといわれている。宮城県にある東北大学の環境学者井上千弘氏は「バイオリーチングや生体酸化を利用した精製プロセスは、従来の溶融精錬に代わるものだ。溶融精錬では、二酸化炭素や二酸化硫黄が大量に排出され、砒素などの有毒物質も数種類発生する。さらに、消費するエネルギー量も膨大なものとなる」と話す。バイオシグマ社のリカルド・バディージャ氏は「バイオリーチングにより、従来の技術と比較してガス排出は10分の1、エネルギー消費量は2分の1、使用水量は5分の1に削減される」と話す。

 また、バイオリーチングは費用を抑えることも可能で、典型的な操業規模の場合、従来の溶融精錬の半分しか費用が掛からないという。ただし、バディージャ氏は次の点も指摘している。「研究しなければならないことがまだたくさんある。バイオリーチングの精製プロセスの改良が進めば、徐々に従来の技術に置き換わっていくだろうが、それまでには15年以上掛かるかもしれない」。

Photograph by Joel Sartore/NGS

降雨バクテリアが雲に乗って世界を巡る

2010-04-29 10:12:58 | ニュース
新しい研究によると、雲に生息している“雨を作るバクテリア”は、その生息域を世界中に広げる手段として雨を降らせるようになったのかもしれない。



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 今回の発表で科学者たちは初めて、生物学と気候の関係、そしてその小さな生物有機体が天候サイクルと共に世界を駆け巡る生態について垣間見ることになった。

 アメリカ、ルイジアナ州立大学の微生物学者ブレント・クリストナー氏による以前の研究では、氷核形成体と呼ばれる有機体が世界中の雨、雪、雹(ひょう)の中で見つかっている。この有機体が十分な濃度になると、雲中の氷を形成する効率的な要因になる可能性が高いことがクリストナー氏の研究で知られている。

 氷が雪や雨の基になるには、「氷核」と呼ばれる微粒子の1種に付着する必要がある。摂氏10度を超える温度で活性化する氷核形成体の大部分は、生物学的(バクテリア)氷核であることが確認されている。

 同氏はこれまでこの有機体の発生源を特定することができていなかった。しかし、最近の研究で南極大陸、カナダのユーコン準州、フランスのアルプスといった広い範囲の雪、土壌、そして苗木にその起源があることを確認した。

 この有機体は、各地の生態系と雲の間で連続的に行われるやり取りの一要素であるかもしれない。「大気科学のコミュニティ全体に広がる波紋だ。大気プロセスで生物学が役割を果たしているかもしれないなどという発想は、25年前なら一笑に付されていただろう」とクリストナー氏は言う。

 氷核形成体は、地上付近でもエアロゾルと同時に見つかっている。エアロゾルとは空気中に浮遊している小さな粒子のことで、大きさや化学組成、形状、光学的・電気的特性など多くの要素によってその性質は異なる。場所によっては、それらの氷核形成体はほとんど土壌生態系や植物生態系を起源としていることが、今回の研究成果で明らかになっている。

 クリストナー氏によると、氷核形成体が大気や降水を利用してその生息域を拡大している可能性があるそうだ。まるで植物が花粉粒を風で飛ばして新しい生息地に移住するように。例えば、植物だけに生息する有機体・生物が空気で運ばれ、雲の中で氷の形成を刺激し、降雨によって地球に戻ってくることも考えられる。

「これはバクテリアの通常のライフサイクルにおける、まだ知られざる重要な一過程であるかもしれない」とクリストナー氏は説明する。

 今回の研究成果は、「Proceedings of the National Academy of Science」誌において2008年11月に発表された。

 “生物起因の降水”(bioprecipitation)と呼ばれる理論は、1980年代にモンタナ州立大学の植物病理学者デイビッド・サンズ氏によって最初に提唱された。しかし、クリストナー氏の研究チームが2005年に研究を始めるまで、雨を作るバクテリアが大気中を移動する方法については誰も目を向けなかった。

 サンズ氏がナショナルジオ グラフィックニュースに語ったところでは、この有機体は型破りな移動手段さえ利用するかもしれないという。例えば、花粉や昆虫の移動に“便乗”することも可能かもしれないというのだ。「単なる植物の病原菌だと思われていたが、山上湖や滝、そして南極大陸でも見つかっている。このバクテリアはあちこち移動しているんだ」とサンズ氏は言う。

 大気中にある重要な氷核形成体のほとんどはまだ識別されていない。例えばほかの多くの有機体も、花粉粒、真菌やほかの生物と同じように氷核形成体を生じさせているのかもしれない。

 コロラド州ボルダーにあるアメリカ大気研究センター(NCAR)の研究主任ロイ・ラスムセン氏は、冬季における地球の水循環を研究している。バクテリアが水の循環を左右するという理論については、「面白い仮説だが、まだ確認されていない問題は、そのような細胞の濃度が降水形成に有意義な影響を与えるほど高くなるのかどうかということだ」とラスムセン氏は電子メールで述べている。

Photograph by David Alan Harvey