アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

再度、「後期高齢者医療制度」について思うこと-2

2007年10月09日 | 万帳報
来年4月からはじまる「後期高齢者医療制度」とはどのようなものかをまとめると
(1).対象となる方は、
  ・後期高齢者(75歳以上)の全ての方
  ・前期高齢者(65~74歳迄)の方の内、老人保健法の対象者で一定の障害のある人
    →一定の障害とは 
     1.身体障害者手帳1~3級所持者
     2.身体障害者手帳4級の内、音声、言語障害の方と下肢機能障害の一部の方
     3.知的障害の程度が重度(A)の判定を受けた方
     4.精神障害者保健福祉手帳1級又は、2級所持者
     5.国民年金法による障害の程度が1級及び2級の方
            註:但し、生活保護受給者は除く。
(2).保険料は、
  ・現時点での全国平均は、月額6,200円(応益割3,100円+応能割3,100円)程度との厚労省の試算ですが、芦屋市では月額7,000円程度を見込んでいます。
   尚、医療給付費が増えれば保険料が上がる仕組みです。
  ・年金が月額15,000円(年額18万円)以上受取る場合は、介護保険料と同じく年金から天引き(特別徴収)されます。 尚、介護保険料と当該保険料の合算が年金額の1/2を超えれば天引きとせずに納入通知書による納入。
  ・保険料が支払えない場合は、保険証が交付されません。
   又、自分で納付する普通徴収(年金18万円以下の方)の場合において保険料を滞納すると、保険証を取り上げて代わりに資格証明書(窓口での10割負担)が発行されます。 要するに、病院での受診がし難くなるという事です。
  ・当該保険対象者全てが保険料を負担するのですが、前回の説明通り政府与党は、扶養家族該当者に限り負担を凍結する予定です。

(3).窓口負担は、医療費の1割負担となります。 但し、現役並み所得者は3割負担。

(4).病院への診療報酬は、包括評価方式による支払いとなります。
  保険者から病院へ支払われる料金を診療報酬と云いますが、その支払方法には「出来高払い方式」と「包括評価方式」があります。
  出来高払い方式は、ごく一般の病院で行われているもので個々の診療行為について点数を定め、単価を掛けて診療報酬を算出するお馴染みのものです。
  それに対し、包括評価方式は、病気ごとに一日当りの医療費を定め、その金額に入院日数を掛けた料金が診療報酬となります。 既に2003年から一部の病院に導入されていますが、問題がありそうです。

(5).この制度の運営は、都道府県単位の「広域連合」が行います。
  芦屋市では、兵庫県下の全ての市町村が加入する「兵庫県後期高齢者医療広域連合」が運営します。
  医療制度は来年の4月から始まりますが、この広域連合は既に本年からスタートしています。
  この広域連合は、保険料の決定や医療給付を行います。

概ね以上の通りですが、上記(1)の当該保険の対象者をみるだけで、この医療制度の本質がわかります。
『高齢者の医療の確保に関する法律』の第1条(目的)では、「…医療費の適正化を推進する」事を前提に「…国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図る」としています。
更に、第2条(基本的理念)では、「国民は、自助と連帯の精神に基づき、…高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとする」としています。

ここで云うところの医療費の適正化とは、『医療制度構造改革試案』(2005年)に基づき2006年の医療制度「改悪」の履行を意味しています。
75歳以上の社会保障給付費11兆6千億円(2006年度)を数年先には5兆円削減するために「後期医療制度」を創設したのです。その中心は、入院の大幅な削減で、高齢者が入院できる病床の23万床の切捨てです。75歳以上の医療の内容は、現行の半分におとしめられることになります。
更に、基本的理念は「自助」の精神です。大震災を経験した私達は決して忘れていない「自助努力」という言葉。自助努力可能な方は、「混合診療」という手厚い医療や病院・介護施設と併設する高級マンションなどが増え、選択肢が広がっています。

「弱者には自己責任を、企業には市場を」が今の政府与党の方針だと云われています。
元厚生大臣の渡辺美智雄(故人)が『老人に金をかけるのは、枯れ木に水をやるようなものだ』と云ったのを思い出したのは、私だけではないと思います。


高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=RNWF,RNWF:2004-44,RNWF:ja&q=hoken83b


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