アモルの明窓浄几

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再度、「後期高齢者医療制度」について思うこと-1

2007年10月08日 | 万帳報
10月7日(日曜日)の読売新聞社説によると『高齢者医療費―限界に来た機械的な削減手法』との見出しにより、「…高齢者も含めて、広く薄く負担し合うしかあるまい。高齢者医療費の見直し案が浮上したことによって、消費税率引き上げが避けられないことが、より明白になったのではないか。」と結んでいる。

来年4月実施の後期高齢者医療制度は、現在加入している国民健康保険や健保・共済等から75歳以上の後期高齢者だけを切り離し、強制加入させる医療保険制度です。

福田政権発足と同時に公明党が自民党と政権協議を行った内に高齢者医療費の窓口負担増の凍結などを両党間で検討に入るとニュースになり、広く国民にこの医療保険制度を知る事となったと思います。

この高齢者の医療費負担を改めて簡単にまとめてみると、
・75歳以上の方々の保険料:現行は負担有り(但し、健保・共済の扶養家族は負担無し)→後期高齢者医療制度に移り、全ての方が負担有りとなる→自公合意で当面、扶養家族のみ負担を凍結する。
・70~74歳の方々の窓口負担:現行は現役並み所得が有る方は3割負担、その他の方は1割負担→現役並み所得者は3割負担据置、その他の方は2割負担とする。→自公合意で当面、1割負担者の負担増は凍結する。

社会保障負担増の見直しといっても、負担増の撤廃ではなく、「凍結」でしかありません。
厚労省の試算では、この負担増の凍結分の費用は、900億円程度(読売社説では一千億円規模)との事です。

そこで、前文の読売新聞の社説に戻るのですが、「政府・与党は、……これらの実施をいったん凍結するという。対象となる高齢者は歓迎するだろう。 問題は財源だ。……負担を軽減するというなら、穴埋めする財源のメドも同時に示してもらいたい。」といっておきながら、「高齢者も含めて、広く薄く負担し合うしかあるまい。」と決め付け、挙句は「消費税率引き上げが避けられないことが、より明白になったのではないか。」と締めくくる。

問われるべきは、日本の経済力をもってして何故、高齢者個人や不公平税制といわれている消費税にその財源を求めなければならないかということです。後期高齢者の多くは、年金生活者であり、63%は女性です。65歳以上の高齢単身者の7割が年間収入200万円以下であり、生活保護基準以下の高齢者からも保険料を徴収する後期高齢者医療制度そのものが問われるべきです。

奥田ビジョンといわれる2003年の日本経団連の提言では、高齢者医療・介護の財源には消費税を活用するよう求めています。読売の社説はこの提言に則ったものだと言わざるを得ません。

楢山祭りが三度来りゃよ
   栗の種から花が咲く

村では七十になれば楢山まいりに行く。
現在の日本は、食べ物にも事欠く貧しい国ではないだろう。
富の配分を間違えてはいないのか。

辰平が突然云った。
「おばあやん、来年は山へ行くかなあ」

姥捨て山をつくるような制度を許してはならない。
そして、辰平になるつもりはない。


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