アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

位置指定道路について

2007年03月25日 | すまいのこと
先般、近隣にマンションが建つので、日照が心配との相談を受けました。
建築基準法の日影規制と民法上の日照権とは、必ずしも一致しない事の話をしていたのですが、自宅の窓にどの程度の影が影響するのか検討して貰いたいとの依頼を受けた次第です。

早速、自邸の図面を送ってこられたので拝見すると、敷地に接している道路に「位置指定道路」との記載がありました。私は、こちらも気掛かりなので問い合わせてみると、やはり予想通り公道としての移管手続きを行っていないようでした。

ミニ開発された分譲住宅地などで、公道に面した敷地を開発し、敷地内を数区画に分けるため、公道から1本敷地内へ伸ばした道を見かけることがありまが、これが「位置指定道路」と呼ばれるものです。これは、建築を目的とする敷地は区画ごとに原則、道路に2m以上接しなければならなという建築基準法の規定があるためです。

このように、位置指定道路は既存の道路に面しない宅地をつくる場合に、建物の建築を可能とするために設ける建築基準法によって定められた道路(私道)のことです。公道にするために市などへ移管しない限り、私道として扱われます。勿論、私道であっても位置指定道路である限り、所有者の勝手な変更や廃止には制限を設けられているので、日常的な利用には問題はありません。但し、あくまで私道であることに代わりはなく、分譲地区画の所有者がこの私道を区分所有していたり、第三者の所有地であったりします。

一般のユーザーは、建物に目を奪われやすく又、道路についての認識が薄いために、見逃しやすいものです。将来の建替えを考えた場合に所有する土地への制限や私道所有者の承諾が必要か等も含めて確認しておくことが必要かもしれません。又、住まいを替わる場合に転売しにくいこともあるかもしれません。購入される時は、建物の仕様だけでなく、その土地や土地に接する道路についても販売元や仲介者から十分説明を受けたり、行政(建築指導課等)に確認しておくことが大切です。

諸外国では、このような事も含めて建築地を購入する場合は、建築士などの専門家と共に土地探しをするケースもあるようです。この様に、我々建築士などにとっては、常識的な事柄でも一般の方々にとっては、わからない事が多々あるようです。例えば、「道路」と「道」は違うといわれても一般人にとっては、形態が同じである限り違いを認識することは無理からぬ事です。特に、建物や敷地、道路などは身近すぎて疑問を持つことすらないのが普通かもしれません。

このカテゴリー”すまいのこと”欄では、住まいにまつわる身近なことを話題に取上げたいと思っています。


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